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希蝶さん のコメント

 それでは今号の感想です。道場準備でお忙しい中、すみません。後で目を通していただけたら幸いです。

〇 ゴーマニズム宣言・第461回「生娘シャブ漬けと道鏡コンプレックス」
 実を言えば今回のタイトル、とても驚きました。なぜ吉野屋常務の牛丼事件と奈良時代の道鏡が結びつくのだろうか、と。記事を読んでなるほど、と思いました。確かに称徳天皇は僧侶である「道鏡」に宇佐八幡宮の神託と称して皇位を譲ろうとしています。
 しかし、それは道鏡に騙されたのではなく、女帝の意志で行われたこと、藤原仲麻呂の乱などで藤原氏に翻弄され、皇族を信じられなくなった女帝が有徳者である(と女帝が判断した)僧侶の道鏡を次代の天皇に指名しただけで、さすがにそれは通らなかったというだけのことだと、私は思います。男系派が称徳天皇を愚かだと言うのなら、そちらの方が不敬ではないのでしょうか?

 という話はさておいて(あまり面白くない話ですみませんでした)、今回の吉野屋元常務の発言を聞いて、こんなことを感じました。
 田舎娘など、人里離れた「楽園」・「聖域」で暮らす少女には純潔・純朴であって欲しい、それは都会に暮らし、世間擦れしてしまっている私たちの願望であるのでしょう。だから、そういう少女は世の中の動きには無知で、鈍感だから庇護しなければならない。ある意味、男の勝手な幻影、「これこれこうであって欲しい」という思い込みの産物でしょう。
 しかし、現実的な事実として、女の子の方が男を判定し、恋人を作る能力が高いのではないか、とうのが私の(勝手な)想像です。つまり、(一般的な場合において)女性は男性に体格などの点で下回り、体力面でもそうなのだから、「立派な男性をつかまえておいた方がいい」となり、経済面でも社会面でも能力のある男を押さえておいた方がいい、楽ができるからという判断になるのではないか。これも私の勝手な推定なので、外れている可能性は大です。あるいはそういう想定が「男尊女卑」に繋がっているのかも知れないです。
 正直言って、私も女性心理はまるで分からないので、思い込みのようなことしか記せないのですが、「女は騙されやすい」というのは上記の願望から来る男の勝手な先入観なのではないか、「結婚詐欺」という言葉もあるように、女性の方が生活能力が高く、いざというときの判断もできる位に賢いのではないか、と私は思います。女性が愚かだと誰が言えるのでしょうか?要は人それぞれなのではありますまいか。

 よしりん先生が辻説法で述べているように、「一目惚れ」が契機となる場合も大部分でしょうが、最終的に異性の何に惹かれるかというと、その賢さだろうと思います。他者の何気ない発言からヒントを得たり、みづからを省みることもあるわけで、賢愚の基準は規則性のあるものではなく、あるジャンルについては別の人の意見が参考になる場合もあり、そのことを自分の判断で見抜くことも必要とされるのかな、といったところです。「自分に分かることがどうして相手に伝わらないのだろうか」と不思議に感じることもあるのですが、まずは相手が理解できていないという「事実」の方を考え、説明の仕方や伝え方を工夫しないといけないのだろうと思う次第です。

 ちなみに、言はずもがなのことかもしれませんが、中国は「男女別姓」ですが、反面、歴史上の女性の名前がほとんど分からず、皇后や妃の名前が「〇〇氏」と実家の氏でしか伝わっていないところからしても、男尊女卑の典型例でしょう。しかし、実際には漢の呂后や唐代の則天武后、清の西太后などもいるように、女性の中にも権力者の座に上り詰めたものも存在するわけで、決して女性が愚かだったわけではないわけです。フランスにも北欧三国の君主になったマルグレーテ女王とか、サン=バルテルミの虐殺の王妃カトリーヌ・ドオ・メディシスなどもいるわけで、男系主義者、無意識の男尊女卑者に、こういう事実を理解したら、同じ発言ができるのか、と問いかけてみたいです。

〇 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第255回「ロシアメディアと陰謀論~コロナ&ウクライナ」
 つくづく、日本はエスピオナージに疎いのだな、と思いました。しかし、戦国時代には「忍びの者」がおり、江戸時代にも「お庭番」がいるのだから、時代劇などを見ている人はそういうことに敏感にならないのでしょうか?「007」シリーズなどでも良いと思うのだけれども。そういう人たちが「生娘」発言にも繋がるのかな、自分たちは騙されないけれども、女性は危ういから守ってあげなければいけない、という。「ドッキリカメラ」とかでも騙した側がさらに騙されている場合だってあるのに(笑)。
 …つくづく、自分もひとのことは言えないな、と自省します。

 これはコロナ報道のことについても言えるのだけれども、私たちがよく忘れてしまうのは、「ニュースを伝える方もボランティアではなく、商売でやっている」、あるいは「ほかに目的がある」ということです。ロシアメディアがコロナウイルスやワクチンの虚報を暴いているという話は木蘭さんの話を聞くまでは関心もなく、知りませんでしたが、それは自国の有利になるからしているのであって、親切心でしているところも稀にあるのかも知れないけれども、それだって、その人が「正義が大事」という信念があってしていることで、「無欲」だとか「聖なる存在」だとかいうのと違うのではないか、と思う次第です。みんな、おひとよしなんだな、といった感じです。
 人間が何かをするには「目的」がある。その事実を分かって、情報を利用すべきではないか、と思いました。

 ほかにも記したいことはあるのですが、とりあえずはやめておきます。長くなりそうなので。
 それでは本日の道場、期待しています。そろそろ準備しないと。
No.156
24ヶ月前
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第434号 2022.4.26発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…吉野家常務取締役が自社の若年女性向けマーケティングを「生娘をシャブ漬け戦略」と発言し炎上、後に解任された騒動。「生娘をシャブ漬け戦略」「田舎から出てきた右も左もわからない若い女性を無垢・生娘のうちに牛丼中毒にする。男に高い飯を奢って貰えるようになれば、絶対に食べない」…よくまあこんなに、いろんな差別意識がゴチャマゼに入り込んで、どこから手をつけたらいいのかわからない発言が出てきたものだ。しかもこの発言をした吉野家常務(当時)・伊東正明が49歳で、わしよりも20歳近くも若いというから驚きである。なぜこうした無意識の男尊女卑感覚が、若い世代にも受け継がれているのだろうか? ※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…コロナ騒ぎがはじまって以降、SNS上にいる一部の有志の人たちが、政府分科会のデタラメや、マスコミのデマ、ワクチン、マスクの強要に対して猛烈に反対してデータなどを拡散しつづけてきた。ところが、その同じ人たちが、いま、「ロシアは、ウクライナのネオナチを討伐している」等々、ロシアが発信するデタラメの言い分を信じて、ネット上で拡散する活動をしているのだ。なぜ彼らはロシアの手先のような活動にはまってしまったのか? ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!旅行は楽しいのに、自宅に帰って来ると疲れがドッと出るのは何故?レジ袋有料化は義務ではなく「強い推奨」に過ぎなかった?先生が今一番気に入っているギャグは何?皇統も消滅し戦争も始まった場合、日本から離れる選択肢はある?有事の際に天皇制という制度が国防の急所になってしまう場合もあるのでは?これまでに西側がロシアを止める機会はなかったの?虐められる側の責任と虐めをする側の責任について、どう考える?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第461回「生娘シャブ漬けと道鏡コンプレックス」 2. しゃべらせてクリ!・第390回「沙麻代ちゃ~ん!その深い愛でぽっくんを受け止めてクリ!の巻【前編】」 3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第255回「ロシアメディアと陰謀論~コロナ&ウクライナ」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 編集後記 第461回「生娘シャブ漬けと道鏡コンプレックス」 「生娘をシャブ漬け戦略」 「田舎から出てきた右も左もわからない若い女性を無垢・生娘のうちに牛丼中毒にする。男に高い飯を奢って貰えるようになれば、絶対に食べない」  …よくまあこんなに、いろんな差別意識がゴチャマゼに入り込んで、どこから手をつけたらいいのかわからない発言が出てきたものだ。  驚くのは、この発言をした吉野家常務(当時)・伊東正明が49歳で、わしよりも20歳近くも若いということだ。  しかも伊東は、マーケティング戦略のプロとしてヘッドハンティングされた「敏腕マーケター」だったというのだ。  それなのに、言っていることはものすごく古い昭和の感覚だ。田舎から出てきた女は世間ずれしていない処女だなんて、まるで昭和30年代の「集団就職」で上京してきた、赤いほっぺの少女みたいなイメージである。  その時代を知っているジジイが言うのならまだわかるが、49歳でそんなことを言っているのが不思議でならない。どういうわけだか、そんな偏見が世代を越えて引き継がれてしまっているのだ。  そもそも、田舎娘は無垢・生娘という認識がナンセンスすぎて笑うしかない。 「生娘」という言葉に至っては、江戸時代のスケベ代官がタイムスリップしてきたのかと疑いたくなる。  本当はヤンキー文化が残っている田舎の方が、若い娘がすぐ男とくっついたりするものだ。沖縄だって、若いうちにさっさと男と付き合って結婚して子供つくって離婚している女性が多い。むしろ今はそっちの方が「田舎娘」のイメージだとわしは思っていたのだが。  普通は時代がどんどん変わっていけば、感覚もいつの間にか変わるものだ。今じゃチョンマゲ姿には絶対なれない。わしの感覚だって、時代と共に自然に変化している。  ところがどんなに時代が変わっても、古い感覚のまま変わらない人間がいる。それどころか、新しい時代の人間のはずなのに、古い感覚をそっくり引き継いで「田舎から出てきた女は無垢な生娘」だなんて、本気で思っている者がいるのだ。   その感覚は、皇統の男系固執保守たちとそっくりである。これだけ男女差別は野蛮だという意識が浸透してきた時代にありながら、今なお女の血など認めない、男の血統しか許されない、男系男子しか国民の象徴にはなれないなどと、まだ言っている者がいるのだ。 この意識の古さ、意固地さにわしは愕然とするしかない。  たとえ「女性天皇はいいけど、女系天皇はダメ」と言っても、実質「女性天皇から生まれる子供は女系」として、女性天皇も拒否しているわけだから、奈良時代より感覚が古くなっている。肝心なのは「男の血」であって、「女の血」を否定しているのである。   天皇陛下の実の娘がいらっしゃるというのにそれではダメで、それよりも600年以上さかのぼらないと天皇陛下とはつながらない「男の血」の方が重要だなんて、到底理解のできない感覚だ。  600年も離れたら血が薄まり過ぎているはずだが、そんな感覚すら一切ない。結局は「神武天皇のY染色体」とかいうものを信じて、純粋なる「男系血統」なるものがあると信じ込んでいるのだ。  本当に医学的に考察すれば、「神武天皇のY染色体」を持っている人など日本中にいくらでもいて、誰でも天皇になれてしまうという結論になってしまう。  しかももっと本来的なことをいえば、「純粋血統」を追求しようという発想自体に、全く意味なんかないのである。  そもそも「純粋日本人血統」なんてものはあるだろうか?  今どきそんな感覚なんか通用するはずもない。もう今の日本人にはいろんな人々との混血が進んで、誰になに人の血が入っているのかわかったものではなくなっている。  試しに「外国人の血が流れていて驚く有名人」というサイトを見たら、ブラックマヨネーズ・小杉竜一(曽祖父がアメリカ人)、平野レミ(祖父がフランス系アメリカ人)、安室奈美恵(祖父がイタリア系アメリカ人)、布袋寅泰(父親が韓国人、母親が日本人とロシア人のハーフ)、宮沢りえ(父親がオランダ人)といった名前がズラッと並んでいる。この先、出会って好きになった相手に、実はロシアの血が入っていたとかいうことだって、いくらでも起こりうるのだ。  仮に外国人の血が入っていなければいいとしたところで、それなら琉球の血はいいのかとか、アイヌの血はいいのかとかいう話になっていくだろう。純粋血統種という発想自体がもう、ナンセンスとしか言いようのないものなのだ。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!