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na85さん のコメント

 ライジングのテーマが森林に関わることを良いことに勝手に環境の持論を展開させていただいてきましたが、いよいよ最後です。昨今の日本における巨大台風の頻発や異常な高温、そして世界的な渇水・砂漠化・森林火災・巨大低気圧・豪雨・豪雪・異常寒波といった異常気象は、本当に二酸化炭素による地球温暖化が原因だと片づけて良いのでしょうか?これを考えたいと思います。
 実は太陽熱を受けて最も熱を溜め込む気体は水蒸気だとされます。温室効果が最も高い気体は水蒸気だということです。水蒸気が地球温暖化の原因として騒がれないのは冷えれば水や氷になるからでしょう。つまり熱を含んだ水蒸気が空気とともに膨張して(密度が低くなって)軽くなり、どんどん舞い上がって上空の冷えた大気に触れ、急速に冷やされ密度が高くなって水や氷に戻ったものが雲であり、地上に雨や雪を降らせます。水蒸気が持っていた熱は最後は絶対零度の宇宙空間に捨てられたわけです。太陽光が熱とともに降り注いだことによる地表の熱は、水蒸気によって宇宙に捨てられて熱収支が均衡しているわけです。この水蒸気を伴った空気の上昇が上昇気流をつくり、地上の空気の密度が低くなった上昇気流の発生場所には周りから渦を巻いて空気が流入してきます。このようにして発生する上昇気流こそが低気圧の正体です。海で発生した低気圧に、周囲から湿った空気が大量に流入して巨大化すれば台風やハリケーンなどになります。ちなみに太陽熱で水蒸気が発生しやすい場所は海や湖、大河など水のある場所ですが、地上では熱を吸収しやすい黒っぽい色をして水分の蒸発も多い場所、つまり森林が挙げられます。実は森林は大きな湖と同じくらい上昇気流が発生しやすい場所なのです。
 上昇気流が上空に引き上げた空気で密度が高くなると、空気は地上に下降できる場所を求めることになります。地上においては黒っぽい森林に対して色が白く水分もほとんどない砂漠は太陽熱を吸収せず、逆に光と熱を乱反射して周囲に熱とともに空気を拡散します。そして地上で空気の密度の低い場所ができると上空から重い空気が押し寄せて下降気流が発生し、地上に降り注いだ空気は外向きに渦を巻いて噴射することになり、こうして高気圧が発生します。出来た砂漠がどんどん拡がっていくのは上空から降り注ぐ乾いた空気を外に押し出す力のせいです。海においては風や海流、海面の温度などで空気の密度がまばらになり、密度の低い場所に重い空気が降り注いで下降気流が発生し高気圧になりります。ちなみにコンクリートでできた大都市も光と熱を乱反射する高気圧の発生しやすい場所だと言えます。
 さて近年では世界中で夏には数年ごとに猛暑・渇水と冷夏を繰り返し、冬には数年ごとに暖冬と極寒を繰り返すという現象が起こっています。これには偏西風蛇行が関わっているとされます。偏西風は北半球と南半球の北緯30度~60度の中緯度域で西から東へ南北に蛇行しながら吹いている風です。異常気象のある年にはこの偏西風の蛇行が大きくなる傾向があります。例えば日本周辺では夏に偏西風が大きく北に蛇行すれば暖かい太平洋高気圧が日本全域を覆って猛暑をもたらし、逆に南へ大きく蛇行すれば冷たい大陸高気圧が張り出して冷夏になります。また太平洋高気圧と大陸高気圧が列島上空で拮抗していれば、南の海上で発生した熱帯低気圧が北上しても列島になかなか近づけません。しかし勢力を強めて台風となり日本列島に上陸しても高気圧に阻まれて遅々として進まないため、台風が南海で取りこんだ湿った空気によって大雨を列島に降らせながらいつまでも居座り続けます。山の保水作用が弱くなったせいで上陸した巨大台風による豪雨被害が大きくなり、すぐに激甚災害レベルになるのは以前書いた通りです。
 なぜ最近は高気圧も低気圧も巨大化しやすくなったのでしょうか。これは前述したように偏西風が大きく蛇行するようになったせいでしょう。南北に大きく蛇行して吹いている偏西風の北あるいは南の頂点に高気圧や低気圧が嵌まり込んで大きく成長するのではないかと考えます。蛇行の振幅や周期が以前より急激に大きくなっているからだと考えます。偏西風が蛇行しているから高気圧や低気圧が成長すると以前書きましたが、逆に高気圧・低気圧が大きいから偏西風の蛇行が大きくなると言えるかもしれません。
 低気圧は海・湖・大河・森林など上昇気流の発生しやすい場所で生まれます。人間活動による森林の伐採が進み、砂漠化と湖や大河の渇水も進み、このため大陸においては上昇気流の発生場所が極めて少なくなっており、逆に砂漠と都市の巨大化で下降気流の発生場所ばかりが増え続けています。降り注いだ太陽熱を水蒸気とともに上昇させることができるのは太平洋・大西洋・インド洋といった大洋しかないという状況になれば、海で発生する低気圧は必然的に巨大化し、その周辺では偏西風の流れを大きく南北へ蛇行させるほどの勢いになると思われます。こうして大陸では下降気流ばかり、海では上昇気流ばかりとなれば、偏西風は振幅が大きくなり周期も少なくなるしかありません。そうなれば海面温度の高低差(エルニーニョ・ラニーニャなど)や海流の流れ、その他の風の流れにも異常をきたすでしょう。こうして世界のどこかが暑ければ他のどこがが寒く、地球全体の熱収支は均衡が取れているのに生物にとっては非常に居心地が悪い環境になってくるわけです。気温や海面温度が上がったところばかりを取り上げて温暖化が進んでいると言われても困るわけです。温暖化を持ち出さなくても異常気象の説明が付いてしまいました。
 さて確かに世界の平均気温は上がる傾向にはありますが、特に都市部の観測地点ではヒートアイランド現象なども加味せねばなりませんし、前述したような世界的な海面や地表の温度のムラによる異常気象こそが問題だと言えます。また現実に起こっている気温上昇は二酸化炭素排出量よりも1年ほど早く起こっており、二酸化炭素排出が気温上昇を起こしているのではなく、気温上昇が起こったから海中の炭酸が遊離して大気中の二酸化炭素が増えたとみるべきです。原因と結果が逆にされて起こった「不都合な真実」に騙されたフリをする理由は別にあります。
 二酸化炭素温暖化説とは石油が枯渇すると噂されたときに言い出された化石燃料節約論の一環ですが、石油の枯渇が嘘であることが判明し、石油火力が原子力に首位を明け渡しそうにない状況に焦った原発推進派が再び持ち出した妄説でしょう。米仏の原発マフィアが国連の機関を牛耳っているから二酸化炭素温暖化説に誰も異を唱えられないわけです。そして二酸化炭素を減らすというテーゼが盤石であれば、熱帯雨林を切り拓いてサトウキビ畑やトウモロコシ畑に替えてバイオエタノールを生成するビジネスにも大義が生まれるわけです。前述したように森林減少こそが異常気象の主原因であるため、二酸化炭素削減という間違った大義に基づいて森林を減少させ、世界の砂漠化を進めるのならば、これは確信犯的環境破壊です。食糧供給が不安定になればなるほどアグリビジネスや穀物メジャーが儲かり、先物市場・金融市場も活況を呈するでしょうから。

 今すぐ世界中で潜在植生に合った植林を開始しなければ地球は滅びる na85
No.171
132ヶ月前
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第56号 2013.10.1発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※2020年東京五輪のメインスタジアムと位置づけられる「新国立競技場」。「明治神宮の美観を壊す」として見直しを求める声があがっている改築計画、その驚くべき実態とは?デザイン公募の段階から、歴史や伝統文化、周囲の環境・調和を無視したこの「新国立競技場」に、明治神宮をめちゃくちゃにされて良いのか!? ※「人気投票を気にせず、自分が描きたい作品をのんびり描こう!」ジャンプの専属契約を打ち切り、週刊少年キングへ移ったよしりん。連載をスタートした作品は、「わなげ」を題材にしたスポ根ギャグ漫画『風雲わなげ野郎』だ!熾烈極まる競争社会から解き放たれ、マイペースに描いていたよしりん…が、しかし!!思わぬ事態に、物語は急展開を余儀なくされる…!!どうなるのか!? ※スサノオの地獄のシゴキを切り抜け、その娘のスセリビメと共に、死と再生の世界からカムバックを果たしたオオナムチ。スサノオの命によって大国主神となるや、兄弟神たちにイジメられ2度も殺された弱虫のオオナムチはどこへやら、勇猛でモッテモテの男神へと変貌!!今週の「ザ・神様!」から、オオクニヌシのめくるめく愛のドラマが始まる!! 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第58回「新国立カブトガニ競技場の異様」 2. しゃべらせてクリ!・第17回「沙麻代ちゃん、札束椅子に座らんね?の巻〈後編〉」 3. もくれんの「ザ・神様!」・第18回「めくるめく!オオクニヌシをめぐる愛のドラマ」 4. よしりん漫画宝庫・第52回「『風雲わなげ野郎』②やむなきどとーの大団円」 5. Q&Aコーナー 6. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 7. 読者から寄せられた感想・ご要望など 8. 編集後記 第58回「新国立カブトガニ競技場の異様」  2020年東京五輪のメイン会場として、現在の国立競技場等を取り壊して建設される新国立競技場のデザインを見た時、即座に「なんじゃこりゃ?」と思った。  これは自転車のヘルメットか? 宇宙船か?  カブトガニか?    これをデザインしたのは、イラク・バグダッド出身でイギリス在住の女性建築家、ザハ・ハディドである。何でも彼女は「 現代建築における脱構築主義の旗手の一人 」だそうだ。  で、その「 脱構築主義 」とは何かというと、特定の形式や先入観(イメージによる把握)等々を解体して、既知と未知の世界のエッジに挑戦するとかいう思想なのだそうで、特定の何かに似ているようなデザインは絶対にしないのだそうだ。  だから、たとえこのデザインが「自転車のヘルメット」や「宇宙船」や「カブトガニ」のように見えたとしても、それは「偶然」でしかないんだそうだ。   今どきポスト・モダンか? 「あらゆる意味から逃げろや逃げろ」か!?    わしは80年代の昔懐かしい感覚がしてしまうのだが、若い人が聞いたって「中二病か?」と揶揄するんじゃなかろうか。  歴史も文化も破壊し尽くされたイラクからヨーロッパに逃れ、世界を舞台に個人の実力だけを頼りに生きてきた人がそういう思想に嵌るというのもわかりやす過ぎる構図であるが、それはこの際どうでもいい。   ここでは、このデザインコンセプトは歴史や伝統文化といったものとは全く無縁、というよりむしろ敵視しているということだけ確認しておきたい。  新国立競技場のデザインは国際的に公募が行われ、コンペの結果決定されたのだが、そもそも公募のあり方自体に問題があったのではないかと指摘されている。 というのも、その応募資格が次のような、とんでもなくハードルの高いものだったからである。 応募者の代表者若しくは構成員が次のいずれかの実績を有する者であること。  ① 次のいずれかの国際的な建築賞の受賞経験を有する者 1) 高松宮殿下記念世界文化賞(建築部門) 2) プリツカー賞 3) RIBA(王立英国建築家協会)ゴールドメダル 4) AIA(アメリカ建築家協会)ゴールドメダル 5) UIA(国際建築家連合)ゴールドメダル ② 収容定員 1.5 万人以上のスタジアム(ラグビー、サッカー又は陸上競技等)の基本設計又は実施設計の実績を有する者  ①で挙げられている賞は「建築界のノーベル賞」といわれるプリツカー賞をはじめ、国際的に権威のある賞ばかり。日本人受賞者は槇文彦、磯崎新、谷口吉生、伊東豊雄、安藤忠雄、SANAA(妹島和世+西沢立衛)だけで、安藤忠雄はこのコンペの審査委員長だから、応募資格のある日本人は5組しかいない。  あとは②に該当する、収容定員 1.5万人以上のスタジアムを設計した実績のある人だが、それもそんなにいるはずないだろう。  最初から応募資格をここまで限っているのに、主催する「独立行政法人日本スポーツ振興センター」は公募の際に新聞全面広告まで出していた。  ①の賞のうち、高松宮記念、プリツカー、AIA、UIAの4つを受賞し、幕張メッセなどの作品で知られる 槇文彦氏 は、国際コンペは無名に近い建築家が歴史的建造物を作る可能性もあるという夢やロマンがあるべきだという理由から、このコンペには参加しなかったと語っている。  その槇文彦氏が、決定した新国立競技場建設案に異議を唱えたエッセイが話題を呼んでいる。   http://www.jia.or.jp/resources/bulletins/000/034/0000034/file/bE2fOwgf.pdf  槇氏はまずこの決定案を見て、美醜や好悪の問題以前に、この狭い敷地にこんな巨大なものを建てるということ自体に疑問を持ったという。 建築物はそれ単体で存在するものではなく、周囲の環境と調和し、人々に愛されるものでなくてはならないからだ。  「 巨大建造物は必ずしもそこに住むもの、通過するものにとって親しまれ、愛されるものであるとは言えないのだ 」と槇氏は言う。  国立競技場は、道路一本を挟んですぐ明治神宮外苑に隣接している。そのためまず明治神宮の説明をしなければならない。   明治神宮は、未曾有の国難を乗り越えてきた時代の中心にあった明治天皇を永遠に称えたいとの思いから創建された。  明治天皇の陵墓が遺言によって京都に作られることになったため、それならば御霊をお祀りする神社を建てたいという声が民間の側から澎湃として沸き起こったのである。  場所については、富士山をはじめ、筑波山、箱根山などの景勝地が名乗りを上げたが、明治を記念するには、明治に首都となった東京に建てるべきだという意見が通り、代々木御料地に決まった。   しかし当時のその地は「不毛原野」であり、近郊の発電所などの煙害もあり、神聖さに欠けると懸念された。   そこでこの地を人の手によって神域にふさわしい鎮守の森にしようという、前代未聞の大プロジェクトが行われたのである。  計画には西欧に留学した林学者たちの最先端の知見が投入された。 全国からは365種類10万本の樹木が寄付され、植樹は全国からのべ11万人の若者が上京し、ボランティアで行なった。そして、今では自然林としか思えないような豊かな森が作り上げられたのである。  明治神宮はこの鎮守の森や社殿などがある「内苑」と、その東側に位置する「外苑」で構成されている。      外苑はプロ野球ヤクルト・スワローズの本拠地である神宮球場(正式名称は「明治神宮野球場」)などのスポーツ施設で有名だが、ここはれっきとした明治神宮の一部である。   外苑はスポーツ公園として作られたものではなく、本来の中心施設は明治天皇のご誕生からご葬儀までの人生と、その間の歴史的出来事を描いた80点の絵画を展示する「 聖徳記念絵画館 」(以下「絵画館」)である。  この絵画館には、『江戸城開城談判』や『憲法発布式』など、誰もが歴史の教科書で見たことがある有名な絵画の実物が常設展示されている。  そして、そのすぐ隣に今度建て替えられる国立競技場が位置していることを、まず上の地図で確認してもらいたい。  青山通りから外苑に入ると見事ないちょう並木が続き、その焦点に絵画館が位置している。       槇文彦氏は「 その姿に強い印象を受けないものはないであろう。特に周縁が闇に包まれ、絵画館の灯りだけが夜空に浮かび上がるその光景は、東京の数少ない都市景観の一つに数え上げてよい 」と絶賛する。  これを見ると、神宮外苑がいちょう並木と絵画館を中心に設計されたことがよくわかる。   スポーツ施設は当初の計画にはなく、市民憩いの公園として整備していく途中で各スポーツ団体から陳情が相次いだため、「外苑創設の精神」に抵触しない範囲でということで受け入れたら、いつの間にか「軒を貸して母屋を取られる」状態になってしまったのである。  
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!