magomeさん のコメント
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第56号 2013.10.1発行 「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※2020年東京五輪のメインスタジアムと位置づけられる「新国立競技場」。「明治神宮の美観を壊す」として見直しを求める声があがっている改築計画、その驚くべき実態とは?デザイン公募の段階から、歴史や伝統文化、周囲の環境・調和を無視したこの「新国立競技場」に、明治神宮をめちゃくちゃにされて良いのか!?
※「人気投票を気にせず、自分が描きたい作品をのんびり描こう!」ジャンプの専属契約を打ち切り、週刊少年キングへ移ったよしりん。連載をスタートした作品は、「わなげ」を題材にしたスポ根ギャグ漫画『風雲わなげ野郎』だ!熾烈極まる競争社会から解き放たれ、マイペースに描いていたよしりん…が、しかし!!思わぬ事態に、物語は急展開を余儀なくされる…!!どうなるのか!?
※スサノオの地獄のシゴキを切り抜け、その娘のスセリビメと共に、死と再生の世界からカムバックを果たしたオオナムチ。スサノオの命によって大国主神となるや、兄弟神たちにイジメられ2度も殺された弱虫のオオナムチはどこへやら、勇猛でモッテモテの男神へと変貌!!今週の「ザ・神様!」から、オオクニヌシのめくるめく愛のドラマが始まる!!
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第58回「新国立カブトガニ競技場の異様」
2. しゃべらせてクリ!・第17回「沙麻代ちゃん、札束椅子に座らんね?の巻〈後編〉」
3. もくれんの「ザ・神様!」・第18回「めくるめく!オオクニヌシをめぐる愛のドラマ」
4. よしりん漫画宝庫・第52回「『風雲わなげ野郎』②やむなきどとーの大団円」
5. Q&Aコーナー
6. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
7. 読者から寄せられた感想・ご要望など
8. 編集後記
第58回「新国立カブトガニ競技場の異様」 2020年東京五輪のメイン会場として、現在の国立競技場等を取り壊して建設される新国立競技場のデザインを見た時、即座に「なんじゃこりゃ?」と思った。
これは自転車のヘルメットか? 宇宙船か? カブトガニか?
これをデザインしたのは、イラク・バグダッド出身でイギリス在住の女性建築家、ザハ・ハディドである。何でも彼女は「 現代建築における脱構築主義の旗手の一人 」だそうだ。
で、その「 脱構築主義 」とは何かというと、特定の形式や先入観(イメージによる把握)等々を解体して、既知と未知の世界のエッジに挑戦するとかいう思想なのだそうで、特定の何かに似ているようなデザインは絶対にしないのだそうだ。
だから、たとえこのデザインが「自転車のヘルメット」や「宇宙船」や「カブトガニ」のように見えたとしても、それは「偶然」でしかないんだそうだ。
今どきポスト・モダンか? 「あらゆる意味から逃げろや逃げろ」か!?
わしは80年代の昔懐かしい感覚がしてしまうのだが、若い人が聞いたって「中二病か?」と揶揄するんじゃなかろうか。
歴史も文化も破壊し尽くされたイラクからヨーロッパに逃れ、世界を舞台に個人の実力だけを頼りに生きてきた人がそういう思想に嵌るというのもわかりやす過ぎる構図であるが、それはこの際どうでもいい。
ここでは、このデザインコンセプトは歴史や伝統文化といったものとは全く無縁、というよりむしろ敵視しているということだけ確認しておきたい。
新国立競技場のデザインは国際的に公募が行われ、コンペの結果決定されたのだが、そもそも公募のあり方自体に問題があったのではないかと指摘されている。 というのも、その応募資格が次のような、とんでもなくハードルの高いものだったからである。
応募者の代表者若しくは構成員が次のいずれかの実績を有する者であること。
① 次のいずれかの国際的な建築賞の受賞経験を有する者
1) 高松宮殿下記念世界文化賞(建築部門)
2) プリツカー賞
3) RIBA(王立英国建築家協会)ゴールドメダル
4) AIA(アメリカ建築家協会)ゴールドメダル
5) UIA(国際建築家連合)ゴールドメダル
② 収容定員 1.5 万人以上のスタジアム(ラグビー、サッカー又は陸上競技等)の基本設計又は実施設計の実績を有する者
①で挙げられている賞は「建築界のノーベル賞」といわれるプリツカー賞をはじめ、国際的に権威のある賞ばかり。日本人受賞者は槇文彦、磯崎新、谷口吉生、伊東豊雄、安藤忠雄、SANAA(妹島和世+西沢立衛)だけで、安藤忠雄はこのコンペの審査委員長だから、応募資格のある日本人は5組しかいない。
あとは②に該当する、収容定員 1.5万人以上のスタジアムを設計した実績のある人だが、それもそんなにいるはずないだろう。 最初から応募資格をここまで限っているのに、主催する「独立行政法人日本スポーツ振興センター」は公募の際に新聞全面広告まで出していた。
①の賞のうち、高松宮記念、プリツカー、AIA、UIAの4つを受賞し、幕張メッセなどの作品で知られる 槇文彦氏 は、国際コンペは無名に近い建築家が歴史的建造物を作る可能性もあるという夢やロマンがあるべきだという理由から、このコンペには参加しなかったと語っている。
その槇文彦氏が、決定した新国立競技場建設案に異議を唱えたエッセイが話題を呼んでいる。
http://www.jia.or.jp/resources/bulletins/000/034/0000034/file/bE2fOwgf.pdf
槇氏はまずこの決定案を見て、美醜や好悪の問題以前に、この狭い敷地にこんな巨大なものを建てるということ自体に疑問を持ったという。 建築物はそれ単体で存在するものではなく、周囲の環境と調和し、人々に愛されるものでなくてはならないからだ。
「 巨大建造物は必ずしもそこに住むもの、通過するものにとって親しまれ、愛されるものであるとは言えないのだ 」と槇氏は言う。
国立競技場は、道路一本を挟んですぐ明治神宮外苑に隣接している。そのためまず明治神宮の説明をしなければならない。
明治神宮は、未曾有の国難を乗り越えてきた時代の中心にあった明治天皇を永遠に称えたいとの思いから創建された。
明治天皇の陵墓が遺言によって京都に作られることになったため、それならば御霊をお祀りする神社を建てたいという声が民間の側から澎湃として沸き起こったのである。
場所については、富士山をはじめ、筑波山、箱根山などの景勝地が名乗りを上げたが、明治を記念するには、明治に首都となった東京に建てるべきだという意見が通り、代々木御料地に決まった。
しかし当時のその地は「不毛原野」であり、近郊の発電所などの煙害もあり、神聖さに欠けると懸念された。
そこでこの地を人の手によって神域にふさわしい鎮守の森にしようという、前代未聞の大プロジェクトが行われたのである。
計画には西欧に留学した林学者たちの最先端の知見が投入された。 全国からは365種類10万本の樹木が寄付され、植樹は全国からのべ11万人の若者が上京し、ボランティアで行なった。そして、今では自然林としか思えないような豊かな森が作り上げられたのである。
明治神宮はこの鎮守の森や社殿などがある「内苑」と、その東側に位置する「外苑」で構成されている。
外苑はプロ野球ヤクルト・スワローズの本拠地である神宮球場(正式名称は「明治神宮野球場」)などのスポーツ施設で有名だが、ここはれっきとした明治神宮の一部である。
外苑はスポーツ公園として作られたものではなく、本来の中心施設は明治天皇のご誕生からご葬儀までの人生と、その間の歴史的出来事を描いた80点の絵画を展示する「 聖徳記念絵画館 」(以下「絵画館」)である。
この絵画館には、『江戸城開城談判』や『憲法発布式』など、誰もが歴史の教科書で見たことがある有名な絵画の実物が常設展示されている。
そして、そのすぐ隣に今度建て替えられる国立競技場が位置していることを、まず上の地図で確認してもらいたい。
青山通りから外苑に入ると見事ないちょう並木が続き、その焦点に絵画館が位置している。
槇文彦氏は「 その姿に強い印象を受けないものはないであろう。特に周縁が闇に包まれ、絵画館の灯りだけが夜空に浮かび上がるその光景は、東京の数少ない都市景観の一つに数え上げてよい 」と絶賛する。
これを見ると、神宮外苑がいちょう並木と絵画館を中心に設計されたことがよくわかる。
スポーツ施設は当初の計画にはなく、市民憩いの公園として整備していく途中で各スポーツ団体から陳情が相次いだため、「外苑創設の精神」に抵触しない範囲でということで受け入れたら、いつの間にか「軒を貸して母屋を取られる」状態になってしまったのである。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
http://www.nhk.or.jp/eco-channel/jp/satoyama/interview/motani01.html
前回及び前々回のライジングのコメント欄でna85さんが紹介した「里山資本主義」の著者である藻谷浩介氏が主に解説を務める動画で「里山資本主義」をすでにお読みの方、および時間のない方は「里山資本主義 神様を活かせ」と「里山資本主義 世界をつなぐ幸せのネットワーク」だけでも見てほしいと願います。また、著書では今一つ、想像が出来なかったおよび、画像や動画の方が本題を読み取りやすい方は、また、「里山資本主義」に興味があり、より一層知識を深めたい方は時間がある時にでも動画をすべて見ることをお勧めします。
お断りしておきますが、私はむやみやたらとリンク先をURL付きで紹介するのは極力避けたいのですが、本題はゴー宣道場、およびライジングの読者にはどうしても避けられない本題が紹介した著書、および動画に秘められていると思えてならないのです。
その理由としては
1.過疎化の再活性化、自然発生から成る郷土愛の復活の可能性
2.明治以降、断絶されてきた神話から成る各地域における江戸時代を通じた古代と現代の歴史の再連結
3.グローバリズム(マネー資本主義)および、大量消費からの脱却
4.これまで難題とされてきた現代技術、技術発展と伝統維持の共存
5.若者の里山への志願者数の増加
6.1~5による現代版江戸時代の到来
というゴー宣道場の方針である「身を収め、現場で戦う公論の場」とされる「身を収める現場」である郷土愛、地域愛、郷土、地域活性化のための本業である現場という基本を明確に表していることと、「公論」の本題である日本全國における神話から成る歴史と伝統の継続と連結に真正面に近い形で触れていることがあげられます。さらに、若者が新規就職先として志願者数が一番高いとされるITの2~3倍の志願者数に上っていることや大都市内における支援者を含めるとその数は計り知れない数になることから、これからの将来において無視できない存在になる筒あることがあげられます。
結論からして、「里山資本主義」は「道場の百年、坂の下の土地を耕す」という道場の本題としては避けて通れない存在か、あるいは道場の本題そのものを表しているのではないのかと思えてならないのです。一つ例にとれば、リンク先の動画である「里山資本主義 神様を活かせ」では宮崎駿氏の作品である「もののけ姫」と小林師範も絶賛した「千と千尋の神隠し」に触れて我が穀の製鉄、林業文明と日本神話について多くの番組時間を割き、里山資本主義と古代文明、そして神話が切っても切り離されない存在であることを詳細にわたって述べています。
日本における製鉄文明は日本刀を作るに至り、多神教は神話から成る皇室を中心とする國体を作るに至りましたが、その日本刀を作る製鉄技術および、多神教(アニミズム)は「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」に止まらず、次回の道場の本題となる「風立ちぬ」にも繋がっています。二郎が作成した零式艦上戦闘機はできるだけ、薄く、強度の高い金属によって航空機を設計して風の抵抗をなくすという日本刀の概念を用いて高性能化し、美しい航空機を作りました。また、冒頭に出てくる二郎少年の夢見る航空機は鳥を模した航空機であり、この航空機には多神教が取り入れられて初めて想像される航空機でもあるのだと思います。
よって、ゴー宣道場の方針が「身を収め、現場で戦う公論の場」本題が「道場の百年、坂の下の土地を耕す」ならば道場師範方および師範代も含めて「里山資本主義」について本気で議論するべきなのではないのかと思いますが、如何でありましょう?もし、「里山資本主義」について避けてしまうならば、我々は今後はグローバルマネー資本主義と大量消費という時代遅れの渦に巻き込まれて伝統ともども潰されるか「伝統」という名のもとにいらぬ固執という愚行を背負わされるかしかないと思いますし、攘夷と友好も見抜けずに國体ともども瓦解してしまうと思えてなりません。
「里山資本主義」は「ゴー宣道場」か?「里山資本主義」こそが國を救うか?否か?「里山資本主義」を道場でよりその意味を深めることは可能か?
一人でも多く、考えてくださる方がいれば幸甚です。
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