こいらさん のコメント
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第67号 2013.12.24発行 「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※皇位継承の男系絶対を唱え、女性の皇位継承はおろか、女性宮家の創設すらも潰した自称保守派の平成25年は、こともあろうに皇太子殿下を皇位継承者の地位から追放してしまおうという謀略を画策し、ものの見事に失敗したという一年だった。今週の「ゴーマニズム宣言」では、尊皇派の仮面を被った朝敵たちが、皇室に対して行なった卑劣な言動を永遠に残すべく、今年一年の謀反を振り返る!
※コメント欄発!!読者投票で決定した「平成25年度ライジング版流行語大賞」&「『ザ・神様!』キャラクターグランプリ2013」を発表!!そして結果を受けて、よしりん&泉美木蘭さんの感想は!?
※『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて、一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」。おぼっちゃまくんもメリークリスマス!サンタお父ちゃまに何をおねだりしましゅか?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第69回「朝敵、この一年の暴言集」
2. しゃべらせてクリ!・第28回「サンタお父ちゃまにおねだりぶぁい!の巻〈後編〉」
3. よしりんウィキ直し!・第12回「ゴーマニズム宣言⑧:『沖縄論』」
4. 平成25年度ライジング版流行語大賞の発表
5. もくれんの「ザ・神様!」・「キャラクターグランプリ2013」結果発表
6. Q&Aコーナー
7. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
8. 読者から寄せられた感想・ご要望など
9. 編集後記
第69回「朝敵、この一年の暴言集」 平成25年も残りわずか、「小林よしのりライジング」も今年最後の配信となる。
そんなわけで今回は一年を振り返ってみるが、もちろんありきたりの回顧をしたってしょうがない。おそらく誰も振り返らないであろう事柄について、今年一年の動向をまとめておこう。
朝敵たちが、皇室に対して行なった卑劣な言動についてである。
保守を自称する朝敵どもの平成25年は、こともあろうに 皇太子殿下を皇位継承者の地位から追放してしまおうという謀略 を画策し、ものの見事に失敗したという一年だった。
自称保守の朝敵は皇位継承の男系絶対を唱え、女性の皇位継承はおろか、女性宮家の創設すらも潰してしまった。
その結果、このままでいけば、将来いまの皇太子殿下が天皇に即位した時には、「 皇太子不在 」という事態となる。
その時、国民は一気に事の重大性に気付き、「 愛子さまというお子さまがいらっしゃるのに、なぜ皇太子になれないのか? 」という声が沸き起こる可能性がある。連中はそれを恐れているのだ。
もはや男系主義者たちにとっては、皇太子殿下は「邪魔者」なのである。
皇太子殿下ではなく秋篠宮殿下が天皇になれば、その息子である悠仁さまが皇太子になれる。
また、秋篠宮殿下もすっ飛ばして悠仁さまを早々と天皇にしてもいい。
未婚のうちに天皇になれば、皇太子が不在でも当然ということになる。連中の本音は、そんなとこだ。
そして皇太子殿下を排除するための理由として、病気療養生活が10年目に入られた雅子妃殿下の存在を挙げ、皇太子殿下と妃殿下を共にバッシングする。
今年は両殿下のご成婚20年という節目の祝福すべき年だったにもかかわらず!
そしてもちろんこれは、 皇族はどんなに事実無根のバッシングを受けても 反論する権利がない ことがわかった上でやっていることである。
これを 朝敵 、 逆賊 、 謀反人 、 反逆者 と言わずして、他に何という呼び方があるだろうか?
今年の皇太子・同妃バッシングの皮切りとなったのは、週刊文春1月31日号「 天皇『秋篠宮はわかっている』の衝撃 」と題する記事だった。
記事には、皇后陛下に面と向かって「このままでは国民が皇太子殿下に対して統合の象徴として尊敬の念を持つことが難しいのではないでしょうか」と放言した匿名の人物が登場する。
「すると、皇后さまは一瞬、ギクッとした表情をされました」というが、そんな無礼なことを言われりゃ驚いて当然だ!
ところが週刊文春は、それがまるで「図星を指された」反応であるかのように示唆し、さらに全く曖昧な根拠で、 天皇陛下も皇太子殿下にではなく、秋篠宮殿下に対する期待が膨らんでいるようだと書いたのだった。
そして、今年の皇太子バッシングの火付け役として決定的な役割を果たしたのは、新潮45・3月号に掲載された宗教学者・山折哲雄の『 皇太子殿下、ご退位なさいませ 』だった。
いまの天皇皇后は日本の伝統を受け継いだ「象徴家族」であるが、皇太子・同妃は「近代家族」の方にぶれはじめているのではないか。だから皇太子は退位して、一家で「象徴家族」の重荷から解放され、新たな「近代家族」への道を歩む「第二の人生」を選んだほうがいいという、わけのわからん意見なのだが、宗教学者として一応権威のある人物の発言であり、大きな反響を呼ぶことになった。
歴史学の泰斗・ 田中卓 氏は、これを放置すれば今後どのような不敬な発言が続発するかもしれないという危機意識から、齢90にしてウェブサイト「 戀闕の友へ 」を立ち上げ、山折の無知や誤りを詳細に論じている。
http://www.seiseikikaku.jp/special/renketunotomohe/index.html#hajime
一方、週刊文春3月7日号には、「 皇太子『退位論』にご友人が怒りの猛反論 」という、山折論文批判が載っている。
山折と五十歩百歩の皇太子バッシングを載せているくせにどのツラ下げてという感もあるが、週刊文春は内部で皇太子派と反皇太子派に分裂しているのか、それとも二股かけてどう転んでもいいようにしているのか、皇太子・雅子妃両殿下を擁護する記事も載せる。その代表が、 友納尚子 氏の連載『 ザ・プリンセス 雅子妃物語 』である。
4月30日の国王即位式に出席するためのオランダご訪問に際しては、週刊文春は毎週毎週バッシング記事を載せ続けた。
ご訪問前は、直前までご訪問が決まらないことを批判し続け、ご訪問が決まれば随行する主治医の大野裕医師を、ご訪問後は、現地で雅子妃殿下が会われた父・小和田恆氏をバッシングしている。
叩ければ何でもいいとでもいうような様相だが、記事の最後には必ず取ってつけたように、「何より雅子さまのご快復にとって最良の選択がなされることを祈るばかりだ」だの「実り多き海外行啓となることを祈るばかりである」だの、心にもない一言で結んでいるのが、本当に気色悪い。
直前までご訪問が決まらなかったのは、ひとえに雅子妃殿下の体調に波があり、判断がつかなかったからであり、それを週刊文春が批判したところで事態が改善するわけがなく、逆に余計なプレッシャーをかけてご病状を悪化させかねなかった。
本当に雅子妃殿下のご快復を祈っているのなら、そもそもこんな記事書くわけがないのである。
さらに週刊文春は6月13日号では「 雅子さまと紀子さまのどちらが皇后にふさわしいか 」という無礼千万なアンケートで「雅子さま38%、紀子さま62%」という結果が出たと載せた!
皇后はあくまでも天皇のお后だから皇后である。
紀子妃の方が皇后にふさわしいというのは、皇太子殿下より秋篠宮殿下の方が天皇にふさわしいと言うのとほぼ同じである。
これは、国民の人気投票で天皇まで決められると思っているかのような、「 国民主権病 」の極致だった。
なお、週刊文春はこの後「安藤美姫の出産を支持しますか?」というアンケートをやって大ヒンシュクを買い、謝罪している。しかし「皇后にふさわしいのは」のアンケートについては、今なお何とも思っていないようだ。
そして週刊新潮6月20日号に、本年最大の問題記事が載る。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
そして今年一年お世話になりました。
さて、週刊誌が皇室のバッシング記事を書いて、大衆がそれを鵜呑みにしてしまう背景には、戦後民主主義教育の下での天皇・皇室についての正確な知識が教育現場などの公の場所できちんと教えられいなかったことがあると思います。当時は左翼が教育現場とマスコミを牛耳っていて、天皇陛下のことを「戦争の原因を作り、長い間庶民を苦しめて来た専制君主」みたいな「民主主義にとっての悪役」みたいな感じで語り「今の憲法の下では国民主権で国民が一番偉いのだから天皇の地位なんて国民の意思でどうとでもできる」みたいな驕りを戦後の大衆の中に植え付けたのです。その結果、左翼がネトウヨのように保守を偽装しはじめて(実のところちっとも彼らは保守ではないのですが)、週刊文春や週刊新潮は偽装保守の「男尊女卑」「男系絶対」の「空気」になびいた大衆に受けるための誌面を部数のためだけに作っている構図が見えます。
ですが天皇陛下をはじめ皇室の方々の意思として女系公認・直系相続は決まりきったことで、よしりん先生の『天皇論』の通りなのです。しかし、文春や新潮や偽装保守はその事実を見たくないのか、あるいは「反天皇」っていうスタンスはかっこいい、みたいな古くさい左翼の不良を演じていたいのか、そのくらい脆弱な根拠でバッシングを続けているのです。
私の小学校の校長先生は戦前の師範学校の出身で、世代としては戦中派よりも上の世代でしたが、戦後民主主義者みたいに天皇を否定することもなく、かと言って少国民世代みたいに天皇を現人神みたいな形で過剰に崇拝するスタンスでもなかったのです。やはり戦前の教育の中で、天皇・皇室に対する正確な知識をきちんと会得されて、学校教育の現場で教員の立場として子供に向き合って教えてこられたのだと思います。もっとも、今のようにマスコミやネットが発達しているワケでもなく、今みたいに「開かれた皇室」を当時の天皇陛下が目指されたわけでもなかったのでしょうけど。ですが、天皇陛下や皇室のことをバッシングするメディアは戦前にはほとんどなかったし、ましてやネットで天皇陛下のことを匿名で中傷するような輩もほとんどいなかった時代でもあったのですが…。
せめて、たたき台として教育現場に教員一人一冊はよしりん先生の『天皇論』が行き渡り、文部科学省は研修の段階で、天皇や皇室についてのきちんとしたレクチャーを教員の卵に義務づけることが大事なのではないのでしょうか。
長文失礼しました。
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