magomeさん のコメント
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第94号 2014.7.22発行 「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…今、NHK連続小説ドラマ『花子とアン』で話題の柳原白蓮。華族(当時)であった白蓮が起こした“世紀のスキャンダル”の真実とは?さらに、もう一つの史実を紹介しておかなければならない。それは昭和33年(1958)、美智子皇后陛下が皇太子妃になる際、猛反対を唱えて妨害工作に奔走したのが白蓮だったのである!その理由とは?
※「ザ・神様!」…アマテラスから三種の神器を受け継ぎ、筑紫の日向の国の高千穂の峰へと降り立った天孫ニニギノミコト。この天孫降臨の最中、ある一つのラブストーリーが誕生!…がしかし、その愛の行方には思いがけない悲劇が待っていた!?
※『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて、一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてくり!」へきゃきゃーっしゅ!ついに夏休み突入ぶぁ~い!ということで、今回は特別企画!第1回からのMVP作品、20作をどと~んと紹介しちゃいましゅ!秀逸な作品群、爆笑の連続ぶぁい!!
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第95回「柳原白蓮が美智子妃ご婚約に反対した理由」
2. しゃべらせてクリ!・特別企画「MVP作品特集!」
3. もくれんの「ザ・神様!」・第37回「その愛の行方 ~サルタヒコとアメノウズメ~」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記
【生放送予定】 http://live.nicovideo.jp/watch/lv185971058 明日23日(水)20時 から 「よしりんに、きいてみよっ!」 を生放送予定!
テーマ 『保守も知らない靖国神社』
〈よしりん談〉
『保守も知らない靖国神社』 (ベスト新書)について、泉美さんの感想を聞いて、話したいと思います。
靖国神社にとって、この新書は決して都合のいいものではないとも思っています。
靖国神社にとっては、安倍首相が参拝して話題にさえなれば、参拝客が増えるのだから、「不戦の誓い」だろうと「慰霊」だろうと何だっていいやと思ってるのかもしれません。
田母神俊雄氏が、 保守の条件は「靖国参拝」 と文芸春秋で答えていましたが、果たしてそうでしょうか?
わしは「保守の条件」とまでは言えないと思っています 。
その理由も、生放送で話しましょう。
しかし、ネトウヨ連中は『保守も知らない靖国神社』を読めるのでしょうか?
「保守も知らない」ってどういう意味だろう?
知らなきゃいけない知識があるのだろうか?
8月15日になったら、お祭り騒ぎで行ってる場所だから、知らないことがあったら恥ずかしいので、知っておこうとか考えるのだろうか?
それは当然、「みんなで参拝すれば恐くない会」なんて作って、ぞろぞろ自民党の政治家が参拝してるのを見ても、思うことです。嘘や誤魔化しを放置して、国家が守れるとは思いません。
考えることは色々あるけど、横道にそれてアホ話になってもいいや。
ネットの生放送は楽しく、くだけてないとダメだね。
第95回「柳原白蓮が美智子妃ご婚約に反対した理由」 NHKの連続テレビ小説『花子とアン』では先週、仲間由紀恵演じる蓮子が美輪明宏の『愛の賛歌』をBGMに駆け落ちした。
今後、ドラマではどのように描かれていくかわからないが、今回はまず、そのモデルとなった史実を簡単に紹介しよう。
蓮子のモデルは「大正三大美人」のひとりと謳われた歌人・ 柳原白蓮 (やなぎわら・びゃくれん)、本名・ 燁子 (あきこ)。華族の名門・柳原家の出身で、父は伯爵・柳原前光(さきみつ)、母は妾の芸妓であった。
父の妹・柳原愛子(なるこ)は明治天皇の側室で、大正天皇の生母であり、燁子は大正天皇の従妹にあたる。
15歳で遠縁の北小路家の7歳年上の跡取りと結婚、翌年長男を出産するが、望まない結婚であった上に、夫が粗暴であったことなどから、20歳の時に子供を北小路家に残すことを条件に離婚。
実家に戻った燁子は4年間幽閉同然の生活を強いられ、その間にまたも望まない縁談の話が進められたことから家を飛び出す。
そして、親族の世話によって23歳で東洋英和女学校に編入し、ここで後に翻訳者・ 村岡花子 となる 安中はな と出会う。
卒業後、燁子に再び望まない縁談の話が進められる。相手は九州の炭鉱王、 伊藤伝右衛門 だった。
伝右衛門は前妻を亡くした直後。無学文盲の労働者あがりの炭鉱王と皇太子の従妹、しかも年齢差25歳という異例の結婚は連日大々的に報道される。2万円(現在の約6000万円)の結納金を始めとする大金が動き、燁子は「金で買われた華族」と話題になった。
もともと全く不釣り合いな二人の結婚生活である。しかも前妻との間に子はいないと聞かされていたが、伝右衛門は妾との間に娘があり、妹の息子二人を養子にしていて、燁子はいきなり二男一女の母となる。
そしてさらには伝右衛門の妾で家を取り仕切る女中頭のおさきとの確執などから、燁子は孤独を深めていった。
燁子はその思いを短歌に託し、「 白蓮 」の名で歌人としての地位を確立。また、九州の文化人を集めたサロン活動を始め、「筑紫の女王」と呼ばれるようになる。
そんな中で燁子は7歳年下の帝大生で、社会主義の雑誌「解放」の責任編集者をしていた 宮崎龍介 と出会い、恋に落ちる。
宮崎龍介の父は『大東亜論』の第3部には必ず登場することになる、辛亥革命を支援した大陸浪人・ 宮崎滔天 である。
やがて燁子は龍介の子を宿し、二人はついに駆け落ちを決意する。
だが、当時は「 姦通罪 」があった時代である。姦通罪とは、配偶者のいる女性が夫以外の男性と関係を持った場合、夫が告訴すれば、男女双方が2年以下の懲役に罰せられるというもの。
逆に正妻のある男が他の女性と関係を持っても罰せられない、完全に男尊女卑の法律である。
そこで龍介は友人の大阪朝日新聞記者らと共に、マスコミを利用して燁子に同情的な世論を喚起し、伝右衛門が告訴できないようにしようと画策。
かくして大阪朝日に「 筑紫の女王失踪 」のスクープ記事が載り、 燁子が伝右衛門に宛てて書いた絶縁状が掲載された。
掲載された絶縁状は、燁子が書いたものに龍介らが手を加えたもので、
「愛なき結婚が生んだ不遇とこの不遇から受けた痛手のために、私の生涯は所詮暗い暮らしのうちに終わるものとあきらめたこともありました。しかし幸いにして私にはひとりの愛する人が与えられ、そして私はその愛によって今復活しようとしておるのであります」
「私は金力を以って女性の人格的尊厳を無視するあなたに永久の決別を告げます。私は私の個性の自由と尊貴を守り、かつ、つちかうためにあなたの許を離れます」
といった、激烈な内容だった。
この大阪朝日のスクープは大反響を巻き起こし、「 白蓮事件 」の名で全国の話題となる。
ライバル紙の大阪毎日新聞は面目をかけて伝右衛門のインタビューを取り、絶縁状に対する反論の連載記事を掲載した。
伝右衛門は記事の公開を渋り、事後承諾で載せられたのだが、3回目になって伝右衛門側から中止要請があり、連載は4回で終了した。
結局、伝右衛門は姦通罪に訴えることもなく、事件からわずか10日後、離縁を発表した。
その理由は、大正天皇の従妹である燁子を投獄することは避けたかったからとも、龍介が社会主義思想を持っていたことから、事を荒立てれば炭鉱で労働争議を焚きつけられる恐れがあったためとも言われるが、実際にはそれ以上の理由があったように思えてならない。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
まず、林業というのは中山間地では欠かせない事業であり、中山間地にある山林を含む山林の大半は林業を前提に杉や檜が植えられた檜林です。これら杉、檜林は面積、量ともに材木としては十分にあり、持続性さえ保てれば現在の材木消費量でも国内だけで賄い、林業を続けていくことも十分に可能なわけです。
しかし、ここで問題なのは林業への取り組み方で現在の林業の99.9%ほどが林野庁傘下の森林組合による大型機械導入の大規模型皆伐林業であり、この林業のやり方では持続は経済的にも物理的にも不可能であり、経済的に採算が合わない森林が増える一方で山林は荒廃していくばかりで、中山間地の過疎化も止まりません。
なにしろ、現在行われている林業では機械の導入に一億円、整備費に一千万円、燃料が一日に最低200L必要で、さらに人員も最低3人は必要となります。それいでいて、皆伐をするとして手元に残るのは10ヘクタールあたりに立った700万円でありどう考えても補助金なしではやっていけません。しかも、いちど、皆伐をしてしまうと60年間はその山で林業はできないわけで、経営としてはまったく成り立たないわけです。さらに、大型機械を導入するために大規模な山道を作る必要があり、そのための経費も掛かる傍ら、山道が大きすぎるために土砂は地滑りが多発し、自然災害の源になるばかりか、この災害が基でアユやイワナ、ヤマメが生息するような清流が土砂で埋まってしまうという事態にまでなってしまうわけです。もちろん、この影響は海洋にまで及ぼし、適切な養分が海にながれずに魚介類の減少に繋がり、水産業の衰退にも繋がります。
この大規模林業に対して現在、高知県を始めとする中山間地で取り組まれているのが自伐型林業であり、これは家族、または一人から数人規模で行う林業です。この林業の特徴とはまず、投資設備が極めて少額で済むことで(全額投資しても最高で400万)で、しかも、間伐によって伐採できる木を選ぶことが出来るので労働条件も全然厳しくありません。なにしろ、すごい所になると一日5万円の収入が入り、中には1000万円の年収を得ながら三日に二日は休んでいるというまるで嘘としか思えない自伐林業家もいるほどです。さらに、大型機械の導入も必要ないし、皆伐もないので大規模山道の建設や皆伐による土砂や地滑りの発生の心配もありません。大規模林業では大型機械の導入と同時に人員の労働条件も悪く、装備は最先端で高価な安全装備を支給される一方で従事者一人一人の道徳観は悪質な労働条件で低下を招いてしまい、その結果、山火事となる喫煙を現場で行い、山火事の発生の源となってしまうなど問題も度々発生していますが、自伐の場合は労働条件は先ほども述べたとおり、粗悪とはほど遠い内容なので山火事の心配もありません。
また、間伐を行うと山林の土壌は杉や檜が生えていることから良質であることが多く、自然と潜在自然植生の植物が生えてきて、生物の多様性を復活させています。
実は、昭和40年に木材の自由化が発表された時に林業を近代産業化による大規模化にさせるか、家族経営を維持し、強化させるかで論争が起こりまして、その結果、近代産業化による大規模化を推進し、いまの大規模林業にいたるのですが、この大規模林業が導入された昭和40年に中山間地の過疎化が始まりました。これはいかに林業が中山間地によって重要な産業であったかが見て解ります。そして、この大規模林業が導入された結果、それまでなかった土砂や地滑り、水害が頻繁に起こり、昭和43年には土砂が起因となる飛騨川バス転落事故が発生しています。実際には山林は皆伐して3~4年後に土砂が発生すると言われているのでこのような痛ましい事故も無縁とは言えません。
以前にna85さんがリンク先で紹介した「鎮守の森」
http://ch.nicovideo.jp/yoshirin/blomaga/ar383710/172
にこの自伐林業を組み合わせれば日本の中山間地における活動はほぼ解決するのではと思いますし、さらには使えない材木を薪ストーブ、薪バイオマス発電へと昇格させ、そして加工材木をCLTやこれに伴う加工材木として活用すればもはや中山間地は都心部に頼らない循環型経済を成立させることが出来ます。また、この自伐林業を持続的に行っていくには70~80haが必要であることから20haから70haまでは一時的な自伐林業を行い、さらにはその後は潜在自然植生で鎮守の森を活発化させ、20ha以下から都心部には鎮守の森を活用化させる。そして70ha以上は自伐型林業による林業と雇用の推進を行う。大規模林業に比べて雇用が10倍であることから、もはや林業が衰退産業とは自伐林業ではだれも思わないと思います。
これで島根県のように住いの確保と林業を含む職業の斡旋、地域とのやりとりを町ぐるみでやってくれれば新たなる未来は里山にあるという我が國の将来性が完全に導かれることとなるでしょう。
さて、長々と林業について述べることとなりましたが、この自伐林業を通して今後の事業の在り方を見てみますと、近年は合併や吸収を繰り返しては合理化、効率化による大量生産、大量消費を推進してグローバルに参入、または対抗していますが、昭和40年代から始まった林業の大規模化、効率化が何をもたらしたかと言えば林業の衰退でした。この林業の衰退は林材が平成元年までバブル状態で小規模、個人、または家族経営の林業が生活できるだけの収入を維持してきたことから外国産の林材に推されて衰退したという説は明らかに間違いであるとのことです。
TPPを含むグローバル産業に対抗するために農家も大規模農家に限定するという働きがありますが、たとえ経済的に外国産の農産物に勝てても林業の大規模化が山林の荒廃による自然災害を誘発させ、山間地の衰退と過疎化を招いたことからたとえどんなに優れた農業でも大規模化になればその時点でおしまいであることを林業が証明しています。そして、やがては農業も林業と同じく、一社独占の状態となり、東電やかつての日航のような惨状を齎すことは目に見えています。
もしかしたら、この林業の大規模化と効率化重視に見られる衰退と荒廃は一次産業だけではなく、多くの方々の現場にも所々で見られるのではないのかと思います。近年はグローバル戦略という名目で合併、吸収による大規模化、効率化を図っていますが、一刻も早く、この大規模化、効率化に対する強い警戒心と危機感を持ち合わせなければ近いうちにこれら企業や事業は皆、行き詰まり、林業と同じく補助金なしでは破綻するものと思います。
逆に自伐林業のように、家族や個人による事業を見直さなければならない日も同じ時期に到来すると思います。ベンチャーとは違う、自伐林業にみる、個人や家族労働の尊重をもう一度、見直してみては如何でありましょう。
参考文献「バイオマス材収入から始める副業的自伐林業」中島建造 林業改良普及双書出版
「林業新時代『自伐』がひらく農林家の未来」佐藤宣子 興梠克久 家中茂 農文協出版
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