na85さん のコメント
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第100号 2014.9.9発行 「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※寄稿「『おらっちなんら』にハマり中!!!」…ライジング100号を記念して、フリージャーナリストの笹幸恵さんが特別登場!昭和21年、佐渡島で起きた実話を元に描かれた映画『飛べ!ダコタ』。不時着したイギリス空軍の要人機「ダコタ」を通じ、少し前まで敵国同士だった日英の交流が描かれる…のだが、この作品の真の価値は別にあった!現代を生きる我々へのメッセージとは!?
※「ゴーマニズム宣言」…朝日新聞が自社の慰安婦報道を検証した記事をめぐる騒動の余波が、1ヶ月を経過してもまだ収まらない。ジャーナリスト・池上彰のコラム掲載拒否を巡っても、みっともなく迷走している。朝日バッシングをする者たちは朝日新聞に「謝罪」を求めるが、そんなものは無意味である!日本の名誉を回復するために必要なことは何なのか、真剣に考えよ!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!絶対正義や全体主義に感化されない方法は?本能や感情のうち消したいものは何?消費税増税の影響は軽微で景気は回復している?よしりん作品の電子書籍化の予定は?海外レスラーでお気に入りは誰?注目している映画監督や脚本家は?陛下のお考えが護憲だとしたら承詔必謹するべき?漫画が原作を超えることはあり得る?最近できた彼女が、ある宗教に入っていることが判明!どうするべき?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. 特別寄稿!笹幸恵「『おらっちなんら』にハマり中!!!」
2. ゴーマニズム宣言・第100回「朝日新聞の『謝罪』は意味がない!」
3. しゃべらせてクリ!・第60回「夏休み明けで電池切れぶぁ~い!の巻〈後篇〉」
4. よしりんウィキ直し!・第27回「ゴーマニズム宣言⑭:『天皇論追撃篇』(新天皇論)⑬」
5. Q&Aコーナー
6. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
7. 読者から寄せられた感想・ご要望など
8. 編集後記
笹幸恵「『おらっちなんら』にハマり中!!!」 突然ですが、 『飛べ!ダコタ』 という映画をご存じでしょうか。2013年に公開された映画なのですが、私は全然知りませんでした。HPを見ると、都内でもわずか数ヵ所で公開されたのみ。先日、ある航空会社の方と食事をしていたとき、この映画のことが話題になりました。
昭和21年、日本の敗戦からわずか5ヵ月後のこと。
佐渡島の高千(たかち)という村の海岸に、イギリス空軍の要人機『ダコタ』が悪天候で不時着しました。日本人もイギリス人も、互いに恐る恐るの対面。それはそうです。ついこの間まで、敵同士だったのですから。しかし村長をはじめとする村人たちは「困っている人がいるなら助けなければ」と、イギリス人たちの世話をするようになりました。そして『ダコタ』が再び飛べるよう、村をあげて石を運び、それを海岸に敷き詰めて滑走路をつくったのです。
村の中には、ビルマ戦線で息子を失った母がいました。また『ダコタ』には、同じくビルマ戦線で兄弟が戦死し、日本人に憎しみを抱いているイギリスの若者が乗っていました。しかし『ダコタ』を通じ、日英の交流が生まれてきます。そして4ヵ月後、ついに手づくりの滑走路から『ダコタ』は飛び立っていく――。
これは実話をもとにした映画です(でも監督によると、佐渡の人でも知っている人は少ないとか)。
ちょっと感動的な話ではありませんか!
さっそくDVDを買って観てみました。
ちなみに海軍兵学校在学中に事故で足を失って帰郷した一本気な青年役を、窪田正孝(「花子とアン」にも出てますね)が演じています。思わず「あさいち!」と叫んでしまいました。
いい話でした。
いい映画でした。
でもこの映画のすごいところは、その感動秘話じゃないんです!!!
柄本明 です。
いえ、正確には 柄本明演じる、高千村の村長さんです!
村人たちが滑走路づくりに励んでいるときのこと。村のおばちゃん二人が、村長さんと話をはじめます。イギリス人はいい人たちなのに、なんで戦争なんかしてたのかなあと、おばちゃんたち。
「イギリス人が鬼だなんて、誰が言うとんら」
「軍部に騙されとっただっちゃ」
「軍の人間が勝手に戦争はじめたっち、陛下もおらたちも悪い軍人に騙されとっただっちゃ」
私はそのセリフを聞いて思いました。
オイオイ、感動の日英交流秘話の結論がそれかよ……と。
しかし、それを黙って聞いていた村長さん(柄本明)は、「うんにゃ」と言って、こう続けるのです。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
笹師範の100号記念映画評『飛べ!ダコタ』について「『おらっちなんら』にハマり中!!!」、大変興味深く読ませていただきました。当時を知る方からの生の声を誰よりも多く聞き、おそらく誰よりも戦史に詳しく、大東亜戦争は米国に追い込まれたため起こるべくして起きた、やらざるを得ない戦争であったことを十分承知であるはず笹師範が、「戦争を始めたのはおらっちなんら」という一見すると反戦平和的なセリフを大評価していることが見事だと思いました。
満州事変・支那事変から大東亜戦争に至るまでの間、翼賛マスコミが煽るまま戦争を支持したのは自分たちではなかったか?軍部だけのせいにして騙された風を装っていていいのか?もう一度同じような事態が起これば、同じ道筋を辿って戦争に突入するんじゃないか?そしてまた「騙された」と言うんじゃないか?と、明(村長)はあのセリフにこのような気持ちを込めて言ったのだと思うわけです。
そして、現在再び戦争の危機が近づいています。先の大戦は、米英支ソによって仕組まれ追い込まれて起こったという情状酌量の余地も、アジア独立解放という掲げるべき正義もあったわけですが、今度は単に隣国が怖いからとの理由で、世界覇権国に守ってもらうために、必要性も正義も無い戦争に引きずられて地球の裏側まで行こうとしています。『飛べ!ダコタ』は、こんな時代状況の中に生きる現代の我々こそ見るべき映画だと思います。「また騙された」と後で言わないためにも。
さて、現代に生きる我々の判断を狂わせ、再び戦争に突入させようとする勢力が2方向から迫っています。右側では盛んに隣国の脅威を煽りつつ米国への依存を「やむを得ない正義」だと誤認させ、左側では主に戦勝国へのご注進によって最早それがグローバルスタンダードなんだから謝罪するのも「やむを得ない正義」だと錯覚させています。
こうして危機感とフラストレーションを同時に高められた大衆は、為政者の威勢のいい物言いに喝采を送り、物言えぬ空気を自ら醸成して全体主義を加速させていきます。「中国が怖いから米国について行け」と言う本当は情けないはずの為政者までが頼もしく思えてくるのも、このような空気の効果でしかありません。そして、世界中で起こる対日謝罪要求というフラストレーションの原因をつくったのが、「慰安婦=性奴隷」という認識まで込みでブッシュに謝罪した第一次政権時代の安倍であるという事実もあまり知られていません。
謝罪したり、何らかの代償を払ったりすれば罪・咎・穢れがキレイに水に流され帳消しになるという考え方は、神道と共同体の国の民・日本人だけの感覚です。「自然に手を加えすぎればしっぺ返しを食らう」という真理に近い思想なら近年欧米人にも受け入れられているようですが、列島の中でのみ通じるジャパニーズ・スタンダードの中でも、特に幼児性の強い「謝罪」というものに対する感覚が、ルールの取り合いでしのぎを削る国際社会で通用するはずがありません。国際世論の中心をなす欧米キリスト教国が慰安婦を「戦時性奴隷」ともう決めてしまっているのですから。安倍のせいで…。
この甚だしい国益喪失をもたらした安倍の謝罪については一切を不問に付すくせに、朝日新聞のかなり勇気の要ったであろう訂正についてのみ、いつまでもネチネチと「謝罪せよ」「謝罪が足りない」と責め立てる商売第一の自称保守メディアと、それに快哉を送る自称ホシュやネトウヨ、それらをコアな支持層として活用する安倍一党、もう日本がどうしようもないところまで来ているのかもしれません。
そんな未来の無いとも思える日本の言論状況の中でも希望を失わず、現実に押し潰されそうになる人々の絶望感すら和らげ、発信され続けてきた「小林よしのりライジング」。それが今週めでたく100号に到達しました。本当におめでとうございます!そして有難うございます!
創刊号からの愛読者として、これからもコアな支持者でいたいと思います na85
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