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na85さん のコメント

 ちょっとこの場とテーマにそぐわないと思われるかもしれませんが、後段まで読めば「保守」につながってきます。「保守」バブルへのカウンターの意味でも左側だと思われていた議論にも耳を傾けてみるのも一興です。興味がおありの方は、現在では左翼の類義語のように扱われることの多い、以下のフェミニズムを論じた文章を読んでみてください。

 イギリスの女優で国連「UNウィメン」親善大使のエマ・ワトソン(映画ハリー・ポッターシリーズのハーマイオニー・グレンジャー役など)が、2014年9月20日にニューヨークの国連本部で行われた「UNウィメン」の「He For She」キャンペーンで演説を行いました。以下に、一部抜粋して掲載させていただきます。
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 私は6カ月前、大使に任命され、フェミニズムについて語ることが多くなりました。話せば話すほど、女性の権利に対する闘いは、ほとんどの場合、男性嫌悪と同義語になってしまっていることを実感するようになりました。私が確信できることが一つあるならば、こうした問題に終止符を打たなくてはならないということです。

 参考までに、フェミニズムとは定義上「男性と女性が平等な権利と機会を持つべきだとする信念で、これは両性の政治的、経済的、社会的平等の定義である」とされています。

 フェミニストであろうとする決断が、自分にとって難しい事態を招くとは思っていませんでした。しかし最近、自分なりに調べた結果、フェミニズムは好ましくない言葉として使われていることがわかりました。

 なぜこの言葉がそれほど不快なのでしょうか?

 私はイギリス出身ですが、自分が男性の同業者と同額の報酬を得ることは、女性として正しいと思っています。私は自分の体のことについて、自分で決められることは正しいと思います。

 私は、私に代わって女性たちが我が国の政策と決議に参加することは正しいと思います。私は、社会的に男性と同じくらい尊重されることは正しいと思います。

 しかし残念ながら、こうした恩恵を全ての女性が受けられる国は世界中に一つもないと断言できます。世界中のどの国も、未だに男女平等を確立したと言えるところはありません。

 男性の皆さん、私はこの場を、皆さんへの正式な招待状を送る機会にしたいと思います。男女平等は皆さんの課題でもあるのです。

 男らしくないと見られるのを恐れ、助けを求められず精神的に病んでしまう若い男性たちを見てきました。実際に、イギリスでは自殺が20歳から40歳までの男性の間で、最大の死亡原因となっています。これは交通事故、がん、そして心臓疾患をも上回ります。男性として成功に必要なものはこれだという歪んだ概念によって、男性が自信を失い、不安に陥る姿を見たこともあります。男性もまた平等の恩恵を受けてはいないのです。

 もし、男性が女性に認められるために、男らしく積極的に振る舞う必要がなければ、女性も男性の言いなりにならなければ、とは感じないでしょう。もし男性が女性を支配する必要がなければ、女性も男性に支配される必要はありません。

 男性と女性、どちらも弱さを感じる自由があります。男性と女性、どちらも強くなる自由があります。今こそ私たち全員が、性別を2つの対極的な理想としてではなく、繋がっているものとして認識する時です。

 もし私たちが、ありのままではないものとしてお互いを定義するのを止め、ありのままの私たちとして定義しはじめたら――全ての人々がもっと自由になります。そしてこれこそが「He For She」の核心なのです。これは自由に関することなのです。

 私は、男性にこの足かせを取り外してほしいのです。それによって彼らの娘、姉や妹、そして母親が偏見から解放されるだけでなく、彼らの息子たちも弱さを持つ人間であっても許されるように。彼らが手放した自分らしさを取り戻し、そうすることでより本物で完全な姿の自分になれるように。

 現実はもし私たちが何もしなければ、今後何十年先になっても、または私が100歳近くになっても、女性が同じ仕事をして男性と同額の報酬をもらえないかもしれません。世界の1550万人の女の子たちが、この先16年間の間に少女として結婚します。そして現在のスピードなら、アフリカ人の女の子たちが中等教育を受けられるようになるには2086年までかかります。

 私たちは、私たちを一つにする言葉を見つけられていません。しかし良いニュースもあります。私たちが一つになれる運動があることです。それを「He For She」と呼びます。私はみなさんが一歩を踏み出し、声を上げて、彼女のために彼になることを奨励します。そして自分自身に問いかけてください、私でなければ、誰がやるのか。今でなければ、いつやるのか。

 ありがとうございました。
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 エマ・ワトソンの国連本部での演説は、「フェミニズム=胡散臭い」という色眼鏡を外して見てみれば、非常にまっとうなことを言っているように、私には思えます。しかし、今まで男社会を形づくってきた人々には やはり受け入れがたいものだとも思えます。

 世界で最も影響力のある宗教はキリスト教ですが、アダムの肋骨からイヴが生まれたとする、この男尊女卑宗教が世界中に深く根を張り、世界中の国家国民に影響を与え、多くの権力を握っている限りは難しいように思われます。
 またキリスト教の影響が少ない地域においても、男性が陽で女性が陰だと定義する道教や、男尊女卑の本尊であるとすら思える儒教を中心思想に据える東アジアの国々も、これは到底受け入れがたいでしょう。
 つまり欧米諸国も中国やその周辺も、世界の覇権を握らんとする国家群は全て、最終的に拒否する類いのものであると考えられます。   (続く)
No.116
122ヶ月前
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第105号 2014.10.21発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…政界も言論空間も「保守」が大ブームの現在。親米・従米派、グローバリズム信奉者、科学力を盲信する近代合理主義の原発推進派、挙げ句の果てには排外主義や人種差別を公然と唱える極右運動集団までもが「保守」を自称している。そもそも「保守」とは何を保守し、「革新」とは何を革新しようとしているのか?誰も「保守」を知らない今、「保守とは何か」を考える! ※前回は、木蘭さんが“おもいッきり”暴走してしまった、若き頃のエピソードが明かされた「ザ・神様!」。今回はなぜか「ゴー宣道場」の翌日しか登場しないレアレシピ「炎のゴー宣チャーハン」の登場!ダイナミックに大脱線しながらも、海佐知&山佐知の物語は続く…!! ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!『天皇論』の文庫化のメリットとは?ドラマ『聖女』続編を作るなら、どんな話にする?「夢であってほしい」と思うのはどんな時?「真の童貞卒業」とは?日本に急速に拡がるハロウィンをどう思う?再生可能エネルギーによる発電は必要?枯れた熟女にならずに済むアドバイスを下さい!…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第103回「保守とは何かを考える」 2. しゃべらせてクリ!・第65回「こっち向いてクリ!艶子しぇんしぇ~の巻〈前編〉」 3. もくれんの「ザ・神様!」・第43回「炎のゴー宣チャーハン!~海佐知&山佐知 大脱線の4~」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 読者から寄せられた感想・ご要望など 7. 編集後記 【生放送予定】 http://live.nicovideo.jp/watch/lv196075083 第103回「保守とは何かを考える」  いつからか政界も言論空間も「保守」が大ブームで、誰も彼もが「保守」を名乗っている。  わしは既に10年前の2004年9月発売の「わしズム」で「 最近の保守論壇はバブルなのだ 」「 ステレオタイプの言説のたらい回しは強がりオヤジと保守オタクの癒しにしかならない 」と批判しているから、この「保守バブル」はもう10年以上も続いていることになる。  わしは2001年9・11の同時多発テロを機にいわゆる保守論壇とは手を切り、親米・従米の保守言論人を「 ポチ保守 」と批判したが、その後も、資本の暴走を規制しないグローバリズムの信奉者や、科学力が自然に勝てると盲信する近代合理主義の原発推進派や、挙句の果てには排外主義や人種差別を公然と唱える極右運動集団までが「保守」を自称するようになってしまった。  中には「靖国神社参拝が保守の条件」などと言い出す者までいるが、そんな定義が成り立つのなら、確かにどんなレイシストだろうと、グローバリズムに日本を売り渡そうとする者だろうと、どんな者でも靖国参拝さえすれば「保守」になれることになってしまうが、そんな馬鹿げた話はない。  ともかく、 こんな「自称保守」ばかりが蔓延している世の中だから、わしはあえて「わしこそが保守」という立場を演じるしかないのである。  ちょうどそんな時に、テレビ朝日のワイドショー「モーニングバード」のコーナー「そもそも総研たまペディア」から「 そもそも保守って何を保ち何を守るんですか? 」というテーマで取材を受けた。  番組は10月16日に放送されたが、なかなかよく出来ていたので、今回はその内容を紹介しつつ「保守とは何か」を考えてみたい。  政治の世界では戦後、ずっと「 保守 」と「 革新 」の対立と言われてきた。  最近では「革新」はすっかり影が薄くなって「死語」に近い観さえあるが、それはともかく、「保守」とは何を保守し、「革新」とは何を革新しようとしているのだろうか?  憲法に対する態度を見ると、「保守」「革新」の定義の混乱ぶりが端的に表れてくる。自民党は憲法を変える、つまり「革新」を目指しているはずなのに、「保守」を自称している。  一方で旧社会党、現在の社民党などは憲法を守る、つまり「保守」を唱えているはずなのに、「革新」を自称してきたのである。  東京大学名誉教授の御厨貴氏は、「 少なくとも日本に関して言えば、保守に明確な定義はありません 」と言い切った。  例えば アメリカの保守は、「 建国の時点のことを守る 」 ということが基本である。アメリカの保守派が銃規制に反対するのも、建国当時に市民が銃を持ち戦った精神に基づいている。   イギリスの場合は、王に対して貴族階級が反乱を起こし、近代議会政治を始めた時点のことを守るのが基本。 政治は貴族階級が行なうものであり、貴族の利益を一番反映すること、すなわち「 階級社会を守る 」ということがイギリスの保守である。  つまり、保守とは歴史上のある時点の体制を守るということなのだ。それでは 日本ではいつの時点の体制を守るのが「保守」なのだろうか?  御厨氏はそれを、「 戦後の占領体制から受益者として登場してきた人たちの利益 」だと言った。  要するに アメリカとは仲良くして、安全保障をアメリカに任せて、経済中心でやっていくという人たちが、戦後日本では「保守」と呼ばれたのだ。  そのために 戦後日本では日米安保体制を守ることが「保守政治」と言われ、吉田茂や池田勇人を源流とする政治集団が「保守本流」と言われてきたのである。  つまり、わしが「 親米ポチ 」と批判する者たちは、この定義によって「保守」を自称しているわけだ。それにしても「敗戦受益者の利益を守るのが保守」とは、あまりにも情けない定義ではないか。  ところで、番組では安倍晋三の言う「 戦後レジームからの脱却 」とは戦後体制の「革新」という意味であるから、これは保守ではないのではないかという疑問が出ていた。   だが、安倍晋三の「戦後レジームからの脱却」などは完全に言葉だけであって、有名無実とはこのことである。   安倍がやっていることはアメリカ依存で経済中心という戦後レジームそのものだから、実際にはこれこそがまさに「戦後保守」なのである。  しかも、集団的自衛権行使容認によってどこまでもアメリカの戦争の手助けをするようにまでしてしまうというのは、「 戦後レジームの強化・完成 」と言っていいほどの行為ではないか。  番組ではもう一人、新右翼・一水会最高顧問の鈴木邦男氏にインタビューして、「右翼」と「保守」の関係について聞いていた。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!