na85さん のコメント
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第105号 2014.10.21発行 「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…政界も言論空間も「保守」が大ブームの現在。親米・従米派、グローバリズム信奉者、科学力を盲信する近代合理主義の原発推進派、挙げ句の果てには排外主義や人種差別を公然と唱える極右運動集団までもが「保守」を自称している。そもそも「保守」とは何を保守し、「革新」とは何を革新しようとしているのか?誰も「保守」を知らない今、「保守とは何か」を考える!
※前回は、木蘭さんが“おもいッきり”暴走してしまった、若き頃のエピソードが明かされた「ザ・神様!」。今回はなぜか「ゴー宣道場」の翌日しか登場しないレアレシピ「炎のゴー宣チャーハン」の登場!ダイナミックに大脱線しながらも、海佐知&山佐知の物語は続く…!!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!『天皇論』の文庫化のメリットとは?ドラマ『聖女』続編を作るなら、どんな話にする?「夢であってほしい」と思うのはどんな時?「真の童貞卒業」とは?日本に急速に拡がるハロウィンをどう思う?再生可能エネルギーによる発電は必要?枯れた熟女にならずに済むアドバイスを下さい!…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第103回「保守とは何かを考える」
2. しゃべらせてクリ!・第65回「こっち向いてクリ!艶子しぇんしぇ~の巻〈前編〉」
3. もくれんの「ザ・神様!」・第43回「炎のゴー宣チャーハン!~海佐知&山佐知 大脱線の4~」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記
【生放送予定】 http://live.nicovideo.jp/watch/lv196075083 第103回「保守とは何かを考える」 いつからか政界も言論空間も「保守」が大ブームで、誰も彼もが「保守」を名乗っている。
わしは既に10年前の2004年9月発売の「わしズム」で「 最近の保守論壇はバブルなのだ 」「 ステレオタイプの言説のたらい回しは強がりオヤジと保守オタクの癒しにしかならない 」と批判しているから、この「保守バブル」はもう10年以上も続いていることになる。
わしは2001年9・11の同時多発テロを機にいわゆる保守論壇とは手を切り、親米・従米の保守言論人を「 ポチ保守 」と批判したが、その後も、資本の暴走を規制しないグローバリズムの信奉者や、科学力が自然に勝てると盲信する近代合理主義の原発推進派や、挙句の果てには排外主義や人種差別を公然と唱える極右運動集団までが「保守」を自称するようになってしまった。
中には「靖国神社参拝が保守の条件」などと言い出す者までいるが、そんな定義が成り立つのなら、確かにどんなレイシストだろうと、グローバリズムに日本を売り渡そうとする者だろうと、どんな者でも靖国参拝さえすれば「保守」になれることになってしまうが、そんな馬鹿げた話はない。
ともかく、 こんな「自称保守」ばかりが蔓延している世の中だから、わしはあえて「わしこそが保守」という立場を演じるしかないのである。
ちょうどそんな時に、テレビ朝日のワイドショー「モーニングバード」のコーナー「そもそも総研たまペディア」から「 そもそも保守って何を保ち何を守るんですか? 」というテーマで取材を受けた。
番組は10月16日に放送されたが、なかなかよく出来ていたので、今回はその内容を紹介しつつ「保守とは何か」を考えてみたい。
政治の世界では戦後、ずっと「 保守 」と「 革新 」の対立と言われてきた。
最近では「革新」はすっかり影が薄くなって「死語」に近い観さえあるが、それはともかく、「保守」とは何を保守し、「革新」とは何を革新しようとしているのだろうか?
憲法に対する態度を見ると、「保守」「革新」の定義の混乱ぶりが端的に表れてくる。自民党は憲法を変える、つまり「革新」を目指しているはずなのに、「保守」を自称している。
一方で旧社会党、現在の社民党などは憲法を守る、つまり「保守」を唱えているはずなのに、「革新」を自称してきたのである。
東京大学名誉教授の御厨貴氏は、「 少なくとも日本に関して言えば、保守に明確な定義はありません 」と言い切った。
例えば アメリカの保守は、「 建国の時点のことを守る 」 ということが基本である。アメリカの保守派が銃規制に反対するのも、建国当時に市民が銃を持ち戦った精神に基づいている。
イギリスの場合は、王に対して貴族階級が反乱を起こし、近代議会政治を始めた時点のことを守るのが基本。 政治は貴族階級が行なうものであり、貴族の利益を一番反映すること、すなわち「 階級社会を守る 」ということがイギリスの保守である。
つまり、保守とは歴史上のある時点の体制を守るということなのだ。それでは 日本ではいつの時点の体制を守るのが「保守」なのだろうか?
御厨氏はそれを、「 戦後の占領体制から受益者として登場してきた人たちの利益 」だと言った。
要するに アメリカとは仲良くして、安全保障をアメリカに任せて、経済中心でやっていくという人たちが、戦後日本では「保守」と呼ばれたのだ。
そのために 戦後日本では日米安保体制を守ることが「保守政治」と言われ、吉田茂や池田勇人を源流とする政治集団が「保守本流」と言われてきたのである。
つまり、わしが「 親米ポチ 」と批判する者たちは、この定義によって「保守」を自称しているわけだ。それにしても「敗戦受益者の利益を守るのが保守」とは、あまりにも情けない定義ではないか。
ところで、番組では安倍晋三の言う「 戦後レジームからの脱却 」とは戦後体制の「革新」という意味であるから、これは保守ではないのではないかという疑問が出ていた。
だが、安倍晋三の「戦後レジームからの脱却」などは完全に言葉だけであって、有名無実とはこのことである。
安倍がやっていることはアメリカ依存で経済中心という戦後レジームそのものだから、実際にはこれこそがまさに「戦後保守」なのである。
しかも、集団的自衛権行使容認によってどこまでもアメリカの戦争の手助けをするようにまでしてしまうというのは、「 戦後レジームの強化・完成 」と言っていいほどの行為ではないか。
番組ではもう一人、新右翼・一水会最高顧問の鈴木邦男氏にインタビューして、「右翼」と「保守」の関係について聞いていた。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
戦後日本における「保守」という言葉の混乱ぶりがとても分かりやすく整理され、勉強になりました。「わしこそが保守である!」宣言は清々しく格好いいですね。
それにしても、敗戦受益者の利益が続く状態(戦後レジーム=米国をはじめとする戦勝国による占領体制)を保守するのが日本の保守だとすれば、あまりにも情けなく格好悪いものです。右翼からも左翼からも嫌われて当然です。しかしその姿勢は、吉田茂から安倍晋三まで戦後の与党政治家では数人を除いて一貫しているように思われます。
安全保障をアメリカ様にお任せして経済一辺倒で小金を稼いでいたら、構造改革でそれを差し出す体制に変える約束をさせられ、またアメリカ様が世界の警察として振る舞うのがつらくなると、今度は自国の安全保障もそっちのけにして地球の裏側までついていく警察犬を命じられ、それでもまだアメリカ様についていくというのが戦後の日本が辿ってきた道筋であり、戦後レジームの姿です。
この「戦後レジーム」という米国による占領体制からの脱却を真剣に訴えると、敗戦受益者(高度経済成長で稼いだ団塊以上の富裕層とその相続者)の利益を損なうことになります。団塊世代は人口が最も多く、つまり大票田であるため、少しでも彼らの意向に逆らうことは容易に政治的な敗北に結びつくわけです。ちなみに前首相、民主党の野田佳彦氏は、中国での商売がしにくくなる尖閣諸島の国有化を行ったという理由で、未だに団塊富裕層から嫌われています。
「戦後レジームからの脱却」を訴える安倍は、意図して混乱させているのか、それとも本当に勘違いしているのか、戦後レジーム=近隣諸国の反発とそれに呼応するマスコミの政権批判体制のようなものと捉え、コアな支持層(ヘイトスピーチまで行うようなネトウヨを含む)を中心にそれを訴えています。つまり「経済一辺倒」を訴えて敗戦受益者としての団塊以上の利益を保守して支持を固めつつ、世代的に団塊から搾取されているはずの現役世代に対しては、その一部であるコアな支持層をタカ派発言で騙して支持をかさ上げしているわけです。
さらにネットに押され気味のマスコミが転向させられて反体制を放棄し、そういう空気や潮目を察した団塊・学生運動世代も革新反体制から体制保守に隠れ転向し、こうして安倍自民党の翼賛体制が完成しました。安全保障分野で米国から独立しないまま軍備だけ増強し、米国に従って自衛隊を地球の裏側まで送り出し、原発を推進しつつ原子炉を地震多発親日国に売って反日に変え、TPPで労働者を受け入れつつ排外主義を煽り、とことん日本の公から乖離した政府がリニア新幹線のように暴走を続けています。
以前なら閣僚の不祥事で簡単に退陣に追い込まれた政権ですが、マスコミも世論も大政翼賛会の状態では人々の関心は日々の経済大本営発表にばかり集まり、男性脳を持つ女性大臣の大活躍も完全スルーです。既得権者は資産が減らないことだけを願い、被搾取者は搾取する主体を勘違いし続けたままヘイトな主張をネットや街頭でがなるだけです。こうして膨張した保守バブルは、グローバル化の果ての破局的経済敗戦か、近隣でのリアルな局地戦開始、あるいは天災その他を契機とする再度の原子炉爆発といった、カタストロフィーまで続くのでしょう。嗚呼…。
ところで木蘭師範、ヤマサチそっちのけで誌上クッキングとレシピ公開とは、実に「ワイルド」ですね。
破局すると判っていながら支持するとは、日本国民も…ワイルドだねぇ~ na85
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