武藤さん のコメント
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第110号 2014.11.25発行 「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…大義などなく私利私欲・党利党略だけで「今なら勝てそう解散」に踏み切った安倍晋三首相。「解散は総理の専権事項」と言うが、実はこれに憲法上の根拠はない。そもそも衆議院の解散が「天皇の国事行為」と規定されている意味を理解しているか?解散権の私物化を許した先にあるのは、憲法の形骸化と三権分立の崩壊、そしてナチス政権の登場である。安倍ヒットラー政権の誕生を断固阻止せよ!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!高倉健さん出演の映画で好きな作品は?虐待されている子供を助けるにはどうしたら良い?先生が描く日本の未来ってどんなイメージ?今回の解散総選挙、民主党は何をすべき?不倫は不道徳だと思う?水道橋博士の「小林よしのりは猪木とそっくり」という意見をどう思う?今の時代、天才すらもお金持ちの家に生まれないと成功しない?…等々、よしりんの回答や如何に!?
※『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて、一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてくり!」。恐怖ハロー警報発令中―――!怒玉勝悪の襲来ぶぁ~い!ドタマ、カチ割らんでクリ~~~!ぽっくん、この現実からどう逃避すればよかでしゅか―――!!
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第108回「衆院解散になぜ大義が必要なのか?」
2. しゃべらせてクリ!・第70回「怒玉勝悪来襲!ぽっくん絶体絶命!の巻〈後編〉」
3. よしりんウィキ直し!延長戦・第2回「『ゴーマニズム宣言スペシャル・天皇論追撃篇(新天皇論)』過去版」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記
第108回「衆院解散になぜ大義が必要なのか?」 わしもブログに書いたし、多くの識者も指摘していることだが、今回の衆議院解散・総選挙の理由は、安倍晋三首相が「 今なら勝てそう 」と踏んだからだ。
来年になったらもっと状況が厳しくなるから、まだ支持率が高く、野党の足並みが揃わないうちに解散総選挙に打って出ようとした。それだけである。
そもそも内閣改造からたった2ヵ月半で解散というのもデタラメだ。文庫化された『天皇論』を読んでほしい。
新内閣が発足する際には、天皇陛下は首相から人事についての説明を受けた上で、首相、大臣、副大臣ら40枚以上にもなる官記一枚一枚に署名押印するという大仕事をなさるのである。
しかし安倍はご高齢の天皇陛下に負担をかけることなど何とも思っていない。改造内閣で噴出した政治とカネの問題を、とにかく早くリセットしたいだけだ。 安倍政権の唯一の目標は、政権自身の延命。それしかないのだ。
よく「解散は総理の専権事項」と言うが、実はこれに憲法上の根拠はない。
衆議院解散を定める憲法の規定は、7条と69条の二つだけである。
第7条は、衆議院の解散を「天皇の国事行為」と規定しており、天皇陛下の「解散の詔書」がなければ解散はできないことになっている。
もちろん国事行為は内閣の「助言と承認」が必要だと第3条に規定されているので、実際に解散を決定するのは内閣総理大臣である。
では何故、憲法上、内閣総理大臣“単独”の専権事項とされないのか。
高森明勅氏は以下のように解説している。
国権の最高機関たるべき国会の衆議院の任期満了前に、
全議員の資格を奪う解散は、国家にとって重大な意味を持つ。
よって、それがその時々の首相の私利私欲、党利党略など、
恣意的な理由によってなされてはならないからだ。
歴史に担保された「公」の究極の体現者で、
国民統合の象徴たる天皇の尊厳と神聖を汚すような振る舞いは、
決してしてはならないという規範意識を、
政治指導者が普通に備えていれば、天皇の国事行為への
「助言と承認」にあたり、道を踏み外すことはないはず―
との前提に基づく仕組みと言えよう。
従って、この仕組みが有効に機能するか否かは、
専ら首相の「公共の利益に奉仕する者」としての、
プライドと嗜みにかかっている。
それでは、どういう時に首相は衆議院を解散できるのか。
憲法69条は、衆議院で内閣不信任案が可決されるか、あるいは信任案が否決された場合に、内閣は衆議院を解散して民意を問うか、もしくは総辞職しなければならないと定めている。
憲法に明文化されている解散の条件はこれだけだ。
内閣が不信任を突き付けられた場合に行なう解散を「 対抗的解散 」という。
これに対して、首相が自分の都合のいい時に勝手に解散することを「 裁量的解散 」というが、これを行なう根拠は憲法上にはない。
ただし、中には「第7条」が根拠だとする意見もある。
7条によって天皇の国事行為として解散され、その解散は「承認と助言」という形で首相が決めるのだから、事実上、首相が勝手に解散を決められることになっているというのだ。
そしてこの議論においては、裁量的解散は「7条解散」、対抗的解散は「69条解散」と呼ばれる。
だが、この「7条解散」という考え方はあまりにも牽強付会であるばかりでなく、実に不敬である。
上に紹介した、天皇の国事行為とされていることの意味を全く理解せず、天皇は首相の決定にただ「めくら判」を押してるだけで、その存在はオミットしてよいと言っているに等しいのだから。
現行憲法下で今回23回を数える解散のうち、内閣不信任による対抗的解散は4回しかなく、残る19回は首相の専権事項として発動された裁量的解散である。
裁量的解散は本来違憲行為であるだけでなく、行政権(内閣)が一方的に立法権(国会)を侵害するものであり、三権分立の原則にも反する。
ところが司法権(最高裁)が昭和35年(1960)、その合憲性を争った裁判の判決で「 衆議院解散の効力は、訴訟の前提問題としても、裁判所の審査権限の外にある 」として判断から逃げ、そのまま今日に至っているのだ。
首相が自分に有利な時を狙って自在に行える解散は、対等な競争条件が確保されるべき選挙にふさわしくなく、ここまでフリーハンドで解散権が行使できる国は他にあまり例がない。
あえてこれを是認するとすれば、解散するにふさわしい明らかな理由があり、総選挙で国民の審判を仰ぐべきだという「大義」が存在するということが絶対的な条件となる。
今回の解散に当たって「大義がない」という非難が相次いだのも、安倍が必死に「何のための解散か」の理由づけをしていたのも、そのためである。
ところが安倍シンパには「大義がない」という批判に対して「大義なんか必要ない」と居直る者までいる。
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!
この時は一応は「対抗的解散」が行われていましたが、問題の「7条解散」は日本が独立を回復した昭和27年に行われました。
原彬久氏によると一応は「総選挙によって人心一新を図るべしという声が政界のみならず国民一般に強かった」らしいです。また、衆議院の任期が終わりそうであったことも関係があったでしょう。
この時の吉田は同じ党内にいる鳩山グループの「政権奪回」を警戒していました。「どちらにしろ、総選挙があるが、その時になんとか、鳩山の勢力を削れないものか?」そこで吉田は奇策を考えました。鳩山らの準備が整わぬうちに「奇襲攻撃」をかけて解散を仕掛けたのです。俗にいう「抜き打ち解散」です。これは吉田側近にも知らされておらず、当然、鳩山グループからは「非立憲的、非民主的であり、党情を無視したもの」と大批判されました。結局は、鳩山グループが議席を伸ばし、吉田の目論見は頓挫しました。
「臣茂」と戦後にも認識しており、尊皇芯が強かった吉田茂こそが、陛下の国事行為である解散を自分の政権維持の為に使った初めての人物というのは皮肉ですが、後の総理は右に倣えで吉田をマネをして裁量的解散を行いました。
憲法学的には解散判断は裁判所ではなく、政府、国会等の政治部門の判断に任され、最終的には国民の政治判断に委ねられているという考えられています。しかし、今回の解散総選挙は、国民は望んでおらず、大義も一切ない。立憲主義を破壊したい安倍政権らしい選挙だと思います。
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