• このエントリーをはてなブックマークに追加

na85さん のコメント

 香山リカ氏のアイヌ民族肯定派運動と時浦師範代への不誠実絡み問題は未だ収束不能という感じですが、ではココで、なぜ彼女が運動に嵌ることになったかを、少し別の角度から検討してみたいと思います。

 香山氏は社会的ステータスとしては精神科医ですが、彼女の属す精神医療の世界は実はなかなか厄介な状態に陥っているようなのです。精神医療を批判し続けている内科医・内海聡氏のいくつかの著書を参考に書きます。

 精神疾患の三大疾患として、統合失調症(精神分裂病)、鬱病、癲癇がありますが、これらの多くは脳内の神経伝達物質の過不足で起こるとされています(モノアミン仮説という)。鬱病ならセロトニン(不安を解消して心身を安定させる)の不足、統合失調症ならドーパミン(意欲を高め、快感・高揚感をもたらす)の過剰といったことです。しかし、実はこのモノアミン仮説は科学的には相当根拠が怪しいもののようです。なぜなら、生きている患者の脳を開いてその物質の増減を調べたわけではないからです。ですので、仮説に過ぎない状態のまま、神経伝達物質の過不足を解消するとされるクスリが処方されているのが精神医療の現状なのです。
 しかも、その処方薬自体も相当怪しい代物だというのです。鬱病患者に最もよく処方されるSSRI(セロトニン再取り込阻害薬)は、脳神経シナプスで分泌されたセロトニンが再吸収されないようにしてセロトニン量を保ち、それによって鬱や不安の症状を和らげるもののようですが、この薬理作用は脱法ドラッグMDMAのそれと大差ないものです。そのため、断薬を試みれば当然禁断症状が出てきます。それにより攻撃性が増して犯罪を犯したり、衝動的な自殺を企図したりするわけです。
 その他の精神薬も多幸感・高揚感をもたらすものが多いのですが、いずれも精神的・身体的依存性が強く、その効果と依存性は麻薬・覚醒剤・LSDのそれらと大差ないものだとされています。つまり、合法化された違法ドラッグが精神薬の正体だというわけです。最近起こった大量殺傷事件などの犯人の多くに精神薬が処方されていたようなのですが、おそらく無関係ではないでしょう。さらに精神薬を処方され続けた患者は、進行した認知症患者なみに脳が萎縮するようです。
 精神疾患は、患者と社会との関わりを原因として起きてきた心身の不調なのですから、その原因が取り除かれない限り解決しない問題です。つまり薬の処方は対症療法に過ぎないもののはずです。それなのに怪しい仮説に従ったまま、マニュアル的に精神薬が処方され、患者はその依存性のため脱却もできず薬漬けにされ、製薬企業と精神科医の飯のタネになり続けているわけです。
 もちろん良心的な精神科・心療内科の医師もいて、できるだけクスリの処方を行わず面談やカウンセリングを重視する方針を取るはずですが、クスリを処方しないと儲からないシステムが現代日本の保険医療ですから、どうしても限界があると思われます。しかし、医師ばかり責めるわけにはいきません。日本では精神病者を出したら家系の恥だとする風潮が長年続いてきたため、家族が患者を薬漬けにするような精神病院であっても一生隔離しようとしてきたからです。香山リカ氏は、元々精神疾患患者という弱者を救いたい一心から精神医療の道に進まれたものと思いますが、その世界はどうしようもない袋小路に嵌り込んでいたと言えます。
 現代という時代は、国の行く末など大きな事象だけでなく、実は各個人の前にも右と左にそれぞれ世間に守られた大通りがあり、その間に細い細い道が用意されているのかもしれません。最近では特に右の道ばかりが拡幅されている気もしますが。香山氏のような精神科医の場合、右側には毒物かもしれないと知りつつも精神疾患患者にバンバン投薬し、メーカーを儲けさせて自分も儲けるような道があり、左側には「もーやーめた」と言ってドロップアウトし、別の分野で売文しつつ左の世間で知名度を上げ電波芸人(タレント)を目指すような道があり、その間の極細い隘路では極力処方を少なくしてカウンセリングなどを重視し、精神医療を取り巻く世間の方を何とか変えようと模索するのではないかと想像します。
 そして、その右と左の間の細い道の幅を拡げる超人がもし現れるとしたら、製薬メーカーや医療界・医学会といった同業者の世間を敵に回して戦うのではないでしょうか。前掲の内海聡氏や、癌治療を批判し続ける近藤誠氏などがこれに当たるかもしれません。以上のような考察から、もし香山氏が言論人として運動をしたいのなら、北海道出身であること以外ほぼ無関係なアイヌ問題に首を突っ込むのではなく、精神疾患患者を余計に苦しめている精神医療の闇を炙り出し、他の悪徳精神科医やグローバル製薬メーカーと対決する方へ進んでもらえれば良かったと思うわけです。。
 しかし、結局香山氏は精神科医として医療界、医学会、グローバル企業といった超強力な敵を相手にすることを避け、比較的安全そうで無関係なフィールドでモノを言うことを商売にしつつ、安易に正義認定してもらいやすいサヨク運動で実存も得ている、つまり楽な戦いに逃げたわけです。しかも、弱者だと思っていた対象(アイヌ民族?)が実は弱者を騙って利権を貪る小賢しい悪であり、つまり間違った戦い、間違った運動だったということが知れたわけですが、それでも転向することができず進退窮まっているわけです。
 今、香山氏は医師というクレバーな肩書きでタレント活動などもしていますが、今後は左の運動臭が付きすぎたことでテレビ界からも敬遠されていくかもしれません。ゆえに、これから彼女が言論人として生きたいのであれば、アイヌ民族肯定派というニセモノ言論人としての活動を即刻停止し、全ての関係者および自分が罵倒した相手にも自らの非を詫び、しかる後に元の精神科医(自分の現場)に戻り、その上で本当の弱者(精神薬による医原病患者)を救うため、精神医療界やグローバル製薬企業の闇に切り込むような活動において真の言論人を目指す、そのような道しか残されていないと考るわけです。

 世間に守られた左右の道を避け、間の細い道を往くのが個の確立であるなら、現代とは何とも生きにくい世です… na85
No.52
118ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
第128号 2015.4.14発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…一昨日の12日(日)、第47回ゴー宣道場「第2弾『新戦争論1』と戦後70年」が開催された。なぜ現在の日本では民主主義の基本である「議論」が成立しにくくなっているのか?そもそも、日本に民主主義は根付くのか?在日米軍の存在から見える日本の実態とは?左翼・リベラル派が考えるように「国民」と「民主主義」は相反する概念なのか?議論の中から浮かび上がった「希望」を元に思考を続けよ! ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!戦前の映画で好きなのはどの作品?パワフルかつエネルギッシュな男になる秘訣は?「東京に原発を!」という意見をどう思う?フィギュアや模型を愛でる趣味はありますか?フィリピンで12000人以上の女性を買春した元校長、その背景には何が?日米修好通商条約の調印に強硬に反対していた孝明天皇や水戸斉昭は「現実が見えていない狂信的な攘夷主義者」なの?…等々、よしりんの回答や如何に!? ※“集合痴”ウィキペディアの記事を徹底的に添削しちゃう大好評「よしりんウィキ直し!」。今回は「国民を説得できるかどうか、に関する間違い」と題する項目をウィキ直し!次々と明らかになる男系固執派の正体。詭弁、スリカエ、印象操作の果てに、極左もビックリの記述が登場!! 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第124回「日本は主権なき従属国である」 2. しゃべらせてクリ!・第88回「どぼちて~!?モテる男はつらかぶぁ~い!の巻〈前編〉」 3. よしりんウィキ直し!延長戦・第11回「『ゴーマニズム宣言スペシャル・天皇論追撃篇(新天皇論)』過去版 ~「国民を説得できるかどうか、に関する間違い」の間違い~」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 読者から寄せられた感想・ご要望など 7. 編集後記 第124回「日本は主権なき従属国である」  第47回ゴー宣道場「第2弾『新戦争論1』と戦後70年」は4月12日開催された。  創設師範・堀辺正史氏が久々に登壇。『新戦争論1』に収録した対談が大好評の堀辺師範がさらに何を語るかという関心も高く、会場は満員となった。  最初にわしは、 現在の日本では民主主義の基本である「議論」が成立しにくくなっている ことを指摘した。  テレビのコメンテーターも、最近では自分の「意見」を言う人は忌避され、池上彰のように、ただ世の中のことをわかりやすく「解説」する人が好まれている。   いまは人の「意見」なんか聞いたって仕方がないという空気が出来上がっていて、しかもそれは安倍政権誕生以後、特に強まっているのだ。  安倍政権が長期安定政権になることが見えている以上、集団的自衛権でも、原発再稼働でも、辺野古への基地移転でも、どうせ粛々と進められてしまうんだから、反対意見なんか聞いたって虚しいだけという感覚で、もう「議論」が起こらない。民主主義の根幹である議論が成立しなくなっているのである。  こういう時に、何か危ないぞと察知して、人の意見を聞いてみよう、そして自分の頭で考えてみようという人が、これだけ道場にやってきてくれるということは非常に貴重である。とにかくこれからは、モノを考えるチャンスを逃がさない方がいい。そうしなければ、どこに連れて行かれるかわかったものではないと、まず警告しておいた。   民主主義が機能するかどうかは、国民の側の問題である。意見を聞きたくない、議論もしたくないというのでは、国民としての劣化が激しすぎる。 そもそも、日本に民主主義は根付くのか?という疑問が湧いてくる。  これに対して、堀辺師範は日本人全員の感覚が異常になっていると指摘した。   戦後70年の間、日本の民主主義は全く機能していない。その根本の原因は、今なお日本に在日米軍が存在していることにある と堀辺氏は言う。  世論調査では在日米軍基地について、特にそれが沖縄に集中していることに対しては、軽減もしくは撤廃すべきという意見がずっと多数を占めている。しかし日本政府は常にその世論に背いてきた。  それはなぜか。 在日米軍とは、占領軍が名前を変えて今なお居続けているものだからである。  日本はサンフランシスコ講和条約で主権を回復し、独立したことになっているが、これは形式上だけのこと。   講和条約と同時に安保条約が結ばれ、それと共に「行政協定」(現在の「日米地位協定」)が結ばれたが、その際に自衛隊は米軍の指揮下に置かれるという密約が交わされている。 密約は条約と同じで、文書化されていなくても今日まで生きている。   近代国家における主権の重要な部分は、軍隊によって確保されているものである。 それが米軍の指揮下にあるということは、日本人自身が討論をしてものを決めることは原則できないということを表している。  米国にとって些細なことや、見逃してもいいことは日本人の議論で決めることができるものの、 主権の重要な要素である防衛・安全保障については日本人に決定権がない。そういう意味で、日本は未だ主権を失ったままなのだ。  このことが具体的な事実として現れたのが、 2004年、沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事件 だった。 その時、墜落現場は米軍が封鎖して日本の警察も立ち入れない、治外法権の状態となった。  これは沖縄に限った話ではない。もし仮に米軍機が国会議事堂に墜落したら国会議事堂が封鎖され、皇居に墜落したら皇居が封鎖されて、そこに日本人は入れなくなる。日本全土が潜在的に米国の支配下にあり、主権はないというのが現状なのである。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!