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na85さん のコメント

 よしりん師範、木蘭師範、みなぼん編集長、スタッフの皆様、今号も執筆・編集・配信ありがとうございました。とくに木蘭師範、今回も心に突き刺さるような福島ルポをありがとうございます。

 私は以前からウインウインの関係という言葉が大嫌いなのです。お互い利益を分け合って良い関係を続けましょうという意味で使われますが、ウィナーたちに収奪されるルーザー(敗者)の存在をわざと等閑視しているからです。大企業同士(公害事件に多い)、政府と大企業(無駄な公共事業が典型例)、外資と国内大企業(構造改革を政府に迫る場合)といった関係がウインウインになると、必ず中小零細企業・商店街・地域住民・庶民といった存在が割を食う結果を招いてきました。
 福一事故のケースでは、政府と東電、東電と関連企業・各種利権団体、東電と東京周辺住民、東電と原発立地自治体といった関係がウインウインとなり、その結果、補助金漬けにされて感覚を麻痺させられながら膨大なリスクを背負わされてきた、東京から遠く離れた原発立地住民が究極のルーザーだと言えます。また、福島県内の自治体と県民が補助金ジャンキーにされてきた大本の理由は、エネルギー(石炭→石油)と食料を輸入に頼るという政策、つまり政府による産業の重厚長大化(重化学工業重視)とグローバル化(国際分業志向)が大きいと思われます。
 このように考えれば、この事故で被災者が被害を被った原因は国策の誤りであり、被災者に故郷を失わせ、生活基盤を失わせ、放射能による健康被害を与え、希望を失わせたのは、東電や御用学者といった原発ムラ住民ばかりでなく、政府や大企業、都市住民も加害者の一味だと言えます。原発を電力供給の中心に据え置く方針を変えないばかりか、再稼働と新設を粛々と進める電力会社と政府に反省の色は無く、また一時のブームが過ぎたかのように思って被災者を顧みず電力消費し、原発推進を堂々と掲げる政権与党を支持してしまう都市住民にも反省の色はありません。
 復興にも除染にも国のカネが突っ込まれていますが、利権亡者が被災者を置き去りにして利権に群がる姿は醜悪極まりないです。安倍の汚染水コントロール宣言で世界を騙したつもりになり、2020東京五輪の招致が決まりましたが、そろそろ内外のたかり屋が蠢動し始め、利権目がけて押しかけてくるでしょう。そして、この先5年ほどは被災者のことなど一切省みられないのでしょう。
 イザナミが死と引き替えに生んだ大八島の一部にして広大な天皇の公地を禍津火(原発)で穢し、そこに住まう多くの天皇の赤子を徐々に死に追いやりつつ、反省もなく各地の禍津火を再点火しようと目論み、その主な理由はカネと国内の因習を守るためであり、また宗主国の唱える世界標準化経済(グローバリズム)への適応であり、さらに禍津火を卒業する宗主国のために役夫(作業員)を供給するためなのです。このような行いは、どう正当化しようとも歴史や伝統を保守する態度ではあり得ません。戦後の日本政府や電力会社には国賊の名が相応しく、それを許容してきた国民もそれに準じる名が宛がわれても文句は言えません。
 補助金ジャンキーにする方策を採られているのは何も福島ばかりでなく、原発銀座の福井県もそうであり、米軍基地を押し付けられている沖縄県も同様と言えるでしょう。少子化が止まっている県として沖縄県と福井県がよく挙げられますが、これは沖縄県民がてーげーで楽観的だからという理由ばかりではなく、両県の共同体がしっかりしているという理由からでも無いと思われます。子育て支援や共働き支援といった政策の原資に原発マネーや基地マネーが宛がわれているからではないでしょうか。
 住民が麻薬を許容すれば地方政府は大胆な政策を打ち出すことができますが、拒否すれば政府によって兵糧攻めにされるわけです。自称ホシュや与党政治家が沖縄県民を悪しざまに言うのをよく聞きますが、追い詰めたのはお前たちではないか?と言いたくなります。「基地を許容している住民もいる」と言うホシュどもには、忸怩たる思いを持ちながら基地を許容せざるを得ない状況に追い込まれている県民への想像力が徹底的に欠如しています。骨の髄まで奴隷と化した自分たちを基準に置いているため、基地反対派の知事を支持する独立志向のウチナーンチュの心情など一生解らないのです。
 「信仰の告白」とは本当に恥ずかしい言葉です。「地震の多い国だけど原発は安全なんだい!廃棄物問題も技術革新で何とかなるんだい!」、「僕らが奴隷でいる限りアメリカ父様は悪いようにはしないんだい!」、「皇室が絶えそうって言われてるけど、医学の進歩すれば男系でつなげるんだい!」「私たちが運動で庇ってあげたいアイヌの人たちや元慰安婦たちは純粋で弱い存在のはずよ!弱い人を守る運動をしてたら世界中の人も判ってくれて戦争もそのうち無くなるのよ!」…。こういった右や左の信仰、これらの信者は同じお花畑に開いたそれぞれの穴に仲良く住まう貉たちでしょう。右と左の殉教者の巻き添えになりそうな状況です…。

 右と左の親米派はウインウインだが、反米派の反撃はなるか? na85
No.28
114ヶ月前
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第129号 2015.4.21発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ザ・神様!」…引き続き、原発収束作業のつづく福島県双葉郡についてレポートします。今回は、東京電力が電源立地地域対策交付金制度を使って建設した、巨大スポーツ施設「Jヴィレッジ」を紹介。必死の収束作業が続く裏で、再度始まった招致レースと利権争い。そこに正義はあるのか? ※「ゴーマニズム宣言」…現在の日本では「議論」が成立しにくくなっている。これは、民主主義の危機と言うべき状況である。「信仰の告白」ばかりで「議論」が一切できないという状況の、まさしく典型的なケースとして現われたのが「アイヌ『民族』問題だ。小林よしのりが提示した3つの質問に、香山リカは何と答えたのか?「アイヌ民族」が存在すると信じる者たちの正体が明らかに! ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!利き腕に悪性腫瘍ができたらどうする?AKB48グループも生歌を増やした方が良いのでは?オススメの古典小説を教えて!沖縄県の翁長知事は信用できる?「職業に貴賎なし」と思いながらも自分の娘には性風俗の仕事に就いてほしくない…こんな私はやはり蔑視しているということになる??…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. もくれんの「ザ・神様!」・第55回「福島ルポ・終わらない収束作業となくならない利権②」 2. ゴーマニズム宣言・第125回「議論の出来ない『信仰の告白』が多すぎる」 3. しゃべらせてクリ!・第89回「どぼちて~!?モテる男はつらかぶぁ~い!の巻〈後編〉」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 読者から寄せられた感想・ご要望など 7. 編集後記 【生放送予定】   http://live.nicovideo.jp/watch/lv217806309   今週23日(木)20時 から 「よしりんに、きいてみよっ!」 を生放送予定!  テーマは 「自民党の言論封殺を分析する」 です。 〔よしりん談〕  泉美さんの福島原発利権のレポートも絡めて、権力者の鈍感で横暴な態度や、マスコミの弱点、そしてコメンテーターに対する辛辣な批評まで、幅広くざっくばらんに話せたらと思っています。  やっぱり「ゴー宣道場」で話すマナーと、ラジオでの話し方と、ネット生放送での話し方は、全部違うわけです。  自然にそうなってしまう。  なぜ自己規制が、メディアによって働くのかも含めて論じれば、この問題、もっと見えてくるものがあるのではないでしょうか?  木曜午後8時、生放送でお会いしましょう。  お見逃しなく! 第55回「福島ルポ・終わらない収束作業となくならない利権②」  引き続き、原発収束作業のつづく福島県双葉郡についてレポートしたい。  前回紹介した、原発のない原発作業員タウン・広野町に建設されている、除染作業員のための宿舎(※)は、あれから2週間、さまざまな利権亡者の妨害をくぐりぬけて荒れ地を均し、コンテナハウスをビシバシ組み立て中。 (※ 第54回「福島ルポ・終わらない収束作業となくならない利権①」 を参照)     なんと二階建てだった! 猛スピードで1500名分組み立て中。  窓があるとは言え、コンテナ住まいは狭苦しいだろう。しかし、多くの除染・原発作業員は、大部屋で雑魚寝するか、被災者から借り上げた一軒家に大勢で押しこまれ、男所帯で寝床やトイレの争奪をするという状況。この宿舎は待ち望まれている。  近隣では、この日も除染作業が行われていた。マスクをした作業員たちが、モーター音を響かせながら、ブレードカッターで雑草を刈っている。 事故から4年経っても、いまだ草木を「放射性廃棄物」として扱わねばならないのだ。  広野町の北、楢葉町の海辺にあるすすき野原で行われていたのは、除染作業で使用した放射性物質除染布を土嚢に詰める作業だ。     重機で除染布をつまみあげ、作業員の手作業と連携して土嚢のなかへ詰めていく。     使用済み除染布は、野原に山積み状態。せめて雨が降る前に片づけなければ…。     楢葉町の放射性廃棄物仮置き場。画面左側にも莫大な敷地が広がっている。  楢葉町の放射性廃棄物仮置き場は、もとは稲穂の実る豊かな田園だったそうだ。終わりのない除染作業、覆い尽くすグリーンのシートは、震災直後の遺体安置所の光景を思い出させもした。  今回は、広野と楢葉、この二つの町にある、 原発マネーの代名詞であり、震災後は、原発事故収束の対応拠点となった施設 を訪れた。 ◆電源立地地域対策交付金施設「Jヴィレッジ」  火力発電所を抱える広野町、そして、福島第二原発を抱える楢葉町。この二つの町をうまくまたぐように建設された巨大スポーツ施設がある。     東京電力が総事業費130億円で建設し、福島県に寄贈した日本初のサッカー・ナショナルトレーニングセンター『Jヴィレッジ』 だ。  サッカーのことはよくわからないが、世界レベルのトップ選手をトレーニングする特別強化施設らしい。総敷地面積49.5ヘクタール、全11面の天然芝ピッチ、5000人収容のスタジアム、フィットネスクラブ、ホテル、レストランなどが併設されている。1997年の開設以来、日本代表はもとより、各国の代表チームが合宿や大会に利用してきた。  2011.3.11発災以降は、福島第1原発から20km地点にありながら、比較的被ばく線量が低いという条件が重なり、政府と東京電力の管理下に置かれ、事故収束の最重要拠点として使用され続けている。     巨大さ、伝わる? 赤枠がJV。画面中央、薄紫の破線が、楢葉町と広野町の境界。  地図を眺めると、「ここもかよ!」と思う。  原発マネーを効率よく流すために、2つの町にまたがって建設された第1原発、第2原発と同じく、Jヴィレッジもまた、広野町と楢葉町を巧妙にまたぐ立地になっている。  実際に敷地のなかへ入ると、主要施設はほとんど北側の楢葉町にあり、南側の広野町は山林しかない。くねくねと車道を進むと、最南端にようやく巨大なスタジアムが出現するというかなりのムリヤリ感がうかがえるのだが、このスタジアムのおかげで、広野町は「サッカーの町」として胸を張ることができていた。     薄汚れてしまった、物悲しい、サッカーボールのオブジェ…。     ホテル棟。現在は、作業員の放射線防護教育やホールボディカウンター施設等が入っている。  東京電力がJヴィレッジ構想をほのめかしたのは 1994年、Jリーグ設立の翌年 のこと。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!