• このエントリーをはてなブックマークに追加

諫議大夫さん のコメント

Vol.138 配信ありがとうございます。

実は、これを書くまで他の読者さんのコメントを見ていません。
コメントを見たら、なんか他の人の意見に流されそうな気がしたので。
ゴー宣本編に出ていた重要な個所でいったん立ち止まって、自分の考えを白い紙に書き写してそれをまた、PCの「ノートパッド」で清書して、最終的に清書してペーストしたものを、コメントとして表現するという思いに至りました。

まず、宮台氏の「日本国民は悪くない。日本国民も中国国民も、共通して日本の軍国主義者の被害者である」という点については、わたしはこう考えます。
たとえばもし日本があの時ドイツがユダヤ人にしたようなことをしても、現在の日本と日本人は過去の政権に罪をかぶせてはならないと思います。
それは、戦前の日本と戦後の日本は連続したものとして罪を日本人全体で負うべきだと思うからです。

次に、「極東国際軍事裁判(東京裁判)図式は不可避。それ以外の図式で日本が民主主義国として再出発することはありえない。これまず認める必要がある」という宮台氏の意見ですが、これは「東京裁判を受け入れた」と「東京裁判の諸判決を受け入れた」の認識の違いで、わたしは宮台氏は前者の立場に立っていると感じました。「不当な裁判だが日本が国際社会に復帰するにはこれしかない」ではなく、宮台氏は日本国は「不当な裁判を受け入れる”不実な国家”であれ」という考えなのでしょうか?

「中国の危惧」についてですが、感情的なバカというより、中国政府がしたたかなんだと思います。
中国政府が本気で軍国主義を懸念しているはずはなく(もし懸念しているのなら核兵器一発で世界を大混乱に陥れる覚悟を
中国政府が持ち合わせているかの話になる)、これは日中国交正常化と同時期であった中米接近と中国の海外進出に加え、
中国の外交が大東亜戦争における日米の認識のずれを見抜いていたのでしょう。そうでなければ中国共産党はソ連と同じ崩壊という道をたどったかもしれません。

そして宮台氏の「信頼醸成」ですが、宮台氏は「戦後の日本は戦前の日本と切れているように、(相手に)見せかける」ことが大切だと説く。
宮台氏がそう考えるのは、日本が易姓革命を繰り返したシナと違って歴史が連続していることを、彼は知っているのでしょう。
だから「そんなこと当たり前だっちゅーてるでしょ!」と高森さんにまくしたてるのでしょう。しかし、易姓革命を経験したシナや朝鮮もおそらくそのことを心の中では知っているはずで、だからこそ中国や韓国が僻みで日本を攻撃するのだとは宮台氏は考えないのでしょうか?

宮台氏は「ヤクザの手打ち」論を持ち出して、各国との信頼醸成に努めるというが、そもそも彼の言う「信頼醸成」ってなんなのでしょうか?
宮台氏はさきに「戦後の(現在の)日本は戦前の日本と切れている(ように、見せかける)」ことが必要だというが、そうなると現在の日本の状況について過去の、戦前の日本の状況と明らかに違う状態を作ることが、信頼を醸成するということに他ならない。
現在が過去と違う状態とは、歴史が連続しない─易姓革命─に行きつくことに他ならないのですが。
信頼醸成するには易姓革命しかないのでしょうか?

宮台氏は休憩後の質問の答えに「歴史の捏造なんてダメだよ。だって、それは捏造じゃねえかって世論が内外から噴き出して、正当性が一瞬で失われるじゃん。そんなものは全く持続可能性がない」と発言した。それに対して小林さんが今号ゴー宣で「1部と2部で言ってることが完全に矛盾している」と疑義を呈した。
これをわたしはこう考えます。
歴史の捏造が世論=国民にあからさまに見えるやり方、そんなものはダメダメで、いくら情報を統制しようともバレる。
しかし歴史の捏造を捏造と国民が見抜けないくらいに政府がごまかすとすれば?
前者はダメで、後者なら宮台氏はOKとでも言うのだろうか?
具体的に言えば、暴力革命における「天皇制」 打倒はダメだが、男系固執による「皇統」断絶はOKなのでしょうか?
後者の「皇室消滅」は時浦さんも書いているように、渡部昇一や中川八洋が唱えているが宮台氏は渡部・中川両氏の立場に立つつもりでしょうか?
現に安倍政権は第二次内閣発足後、ひっそりと女性宮家案を握りつぶし、ネトウヨと自称保守が「皇室の危機回避」とトチ狂った雄叫びを上げて国民を騙しているのではないか?

最後に「性もロジスティックス(兵站)の対象になる」の件ですが、わたしも『戦争と性』の本は未読ですが、わたしは、
たとえ日本が国家が率先して、積極的に関与して慰安所を設置したとして、そのことを現代の国際社会に宣伝したところで、果たして国際社会が納得するだろうか大いに疑問が残ります。
なぜなら現代の国際社会は、アメリカを中心とする価値観で白人優位、キリスト教優位がまかり通る社会そのものだからです。G7のうち日本以外の6か国はキリスト教の国で、性風俗に対するおおらかさを理解できない国ばかりです。
ただでさえ現今の日本で、マンガやクジラ・イルカ等で摩擦が生じているのに、「日本は積極的に国家が率先して慰安所を設置した」などと堂々と発言する余地はあるのでしょうか?
まずは東京裁判史観を克服して戦後の国際社会の仕組みを根底から覆すのが先であるし、国民にその覚悟を問うのが先決ではないでしょうか?

長くなりましたが、結局宮台氏は、「尊皇」といくら唱えても、無意識に戦後の国際社会に迎合して、それが国民にばれない形で信頼醸成という名の「歴史の断絶」にソフトランディングしてやり過ごす、それを内心願っているのではないかと思いました。

もしそうでなければ、宮台氏は本当に変わったんだなと受け入れることができる気がします。

長文失礼しました。


No.49
115ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
第138号 2015.6.23発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…第48回ゴー宣道場は6月14日、「戦争と道徳」をテーマに、思想家・東浩紀氏と社会学者・宮台真司氏をゲストに迎えて開催された。敗戦国である日本が戦勝国のレジームを引き受けるのは当然なのか?国際社会からの信頼を得るためには、連合国と交わした「手打ち」を今さら蒸し返すべきではないのか?何が正しく何が真実なのか、思考せよ!! ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!ファンからの批判で考えを改めたことはある?自分の才能を超えていると思うような商売敵が現れた時、どう感じる?柏木由紀はどうすれば復活できる?革命を題材にした傑作といえば何?「ふしだら」「尻軽」な女性と、「性に奔放」「自由恋愛を謳歌している」女性の境界線って何?…等々、よしりんの回答や如何に!? ※新企画開始!ネット上に匿名で書かれた、タダで読めるクズみたいな文章なんか相手にするのはもう止め止め!やっぱり本です!これからは著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍に記された、立派な御意見を拝聴して、思いっきり誉めそやし、持ち上げよう!記念すべき第1回に拝聴する御意見は渡部昇一・中川八洋両氏の『皇室消滅』。さぁ、よいしょするよー!! 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第133回「宮台真司氏との対立点は何か?」 2. しゃべらせてクリ!・第98回「KOぶぁい!ハードパンチャーぽっくんの巻〈前編〉」 3.  新企画! 御意見拝聴・よいしょでいこう!・第1回「『皇室消滅』①〔男系男子天皇制度〕はGHQも支持した皇室の神髄?」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 読者から寄せられた感想・ご要望など 7. 編集後記 第133回「宮台真司氏との対立点は何か?」  第48回ゴー宣道場は6月14日、「戦争と道徳」をテーマに、思想家・東浩紀氏と社会学者・宮台真司氏をゲストに迎えて開催された。  東氏が主宰する「ゲンロンカフェ」がゴー宣道場をジャックするというコンセプトで、第1部では司会を東氏に任せ、宮台氏とわしらの議論を自由に仕切ってもらうという初の試みに挑戦した。  試みは成功したようで、参加者のアンケートを見ても好評なものが多く、特に二人の人柄の面白さに好感を持った人が多かったようだ。  だが、言うまでもなく東・宮台両氏とわしの意見が完全に一致しているわけではない。むしろ、相違点があるからこそゲストとして招く意味があるのだ。  会場が和気あいあいの雰囲気になったのはいいが、それに流されてしまわぬように、当日の宮台氏の発言の中で、わしが疑問を感じた部分を挙げておこう。  宮台氏は、「 戦争に負けたんだから、戦勝国のレジーム引き受けるのは当たり前 」という。そうしなければ、誰も戦後復興に協力してくれなかったからだという。  その上で、「東京裁判史観」とは日中共同声明で周恩来が繰り返した「 日本国民は悪くない。日本国民も中国国民も、共通して日本の軍国主義者の被害者である 」というものだという。   つまり「A級戦犯」とは天皇陛下や日本国民から戦争責任を免罪するためのスキーム(仕組み)だというのだ。  要するに宮台氏は、東京裁判の図式を認めれば中国と友好関係が築けると考えている。  村山談話のような謝罪を繰り返して、靖国神社からいわゆるA級戦犯を分祀するか、国立追悼施設を作るなどしてしまえば、首相の靖国参拝も天皇陛下の御親拝も許されるし、宮台氏の言う重武装中立が可能になるというわけだ。  まあ、いわゆるA級戦犯の方々に申し訳ないが、軍部=悪、国民=犠牲者の図式を建前上だけ認めておくという偽装ができれば、確実に自主防衛が出来るというなら、妥協してもいいかもしれない。  だが、わしは宮台氏の意見に異論を呈しておいた。  わしは、中国には日本を「永遠の敗戦国」にしておきたいという意図があると見ている。  日本を、ポツダム宣言に言われているような「世界征服を企んだ悪の国」だったことにして、国連の「敵国条項」の中に封じ込め、国際社会の覇権ゲームに参加させないというのが中国の意志であり、それはアメリカもロシアもそうであり、そして韓国も事大主義で日本のプレイヤーとしての復活を願っていないと思うのだ。  この意見に対して、宮台氏はこう言った。 「 それはわかる。しかし問題はね、その状態からどうやって僕たちが脱することができるかということだよね。そこから脱するという目標を立てた場合はですね、基本、政治家がやってきたことは非常によくないことなんだよね。  まず、僕たちは敗戦しました。で、僕たちが民主主義国として再建できるためには、日本国民は駄目な国民ではないという枠組みを作る必要があるので、まあ、極東国際軍事裁判(東京裁判)図式は不可避。それ以外の図式で日本が民主主義国として再出発することはありえない。これまず認める必要がある 」  さあ、読者諸君はこの意見をどう思うか?  さらに宮台氏は、中国は日本を単に「永遠の敗戦国」にしておきたいと思うほど感情的なバカではなく、偉い人はたくさんいると言った。  そして大事なことは、 中国が危惧しているのは、日本が本当に戦前と手を切ったのかという問題なのだという。  中国はそのことに危惧を抱き続け、1970年代、田中角栄の日中国交正常化の頃には、もうそろそろ危惧するのはやめてもよいかなと思った時期もあったが、すぐその危惧は復活し、現在に至っているというのだ。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!