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monmonさん のコメント

「大東亜論第二部」買いました。「卑怯者の島」同様、物語の世界に一気に引き込まれ、3時間以上かかって一気読みしてしまいました。この作品を読んで、僕の明治維新観が大きく変わりました。
軽率で後先考えずに行動してしまう越智彦四郎と、決起の機会を必死に見極めようとしている武部小四郎という対照的な二人が、福岡の変でともに決起するまでの過程がとても面白かったです。処刑を前にした越智の清々しい表情や、武部の「行くぞー!!」と咆哮する場面は思い出すたびに、胸と目頭が熱くなります。
読み終えてなお、越智・武部や西郷隆盛・江藤新平・前原一誠らが命を賭けて守りたかった物、後世に残したかった物は何だったのかと考えない訳にはいきません。明治維新のおかげで日本は近代国家になったものの、その過程で失われた物も沢山ある。その「失われた物」を取り戻すために、彼等は政府と戦ったんだと僕は思います。彼等の戦いを「不平士族の乱」で片付けるのは、大東亜戦争を「無謀な誤った戦争」とレッテル張りする愚行と同じではないでしょうか。
あと特別描き下ろしの「妻妾同居の時代」も楽しかったと同時に、近代化・文明とは何かという事も考えさせられました。多くの妾を抱えたせいで、明治天皇に叱責された伊藤博文の言い訳は可笑しかったです。この章は現在話題になっている、NHK朝ドラ「あさが来た」の「妾問題」にも関わってくるのかなとも思いました。
大東亜論第一部が国の為に殉じた男の物語なら、第二部は道義の為に殉じた男達の物語だと思います。第三部は「自由民権運動」が軸になっていますが、今度はどんな男達の物語が描かれるのか、とても楽しみです。
No.61
101ヶ月前
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第158号 2015.12.8発行 「小林よしのりライジング」 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行) 【今週のお知らせ】 ※「ゴーマニズム宣言」…明日・12月9日、『大東亜論』第二部「愛国志士、決起ス」が発売される。この作品で描いているのは明治初期に起きた動乱、いわゆる「不平士族の反乱」である。しかし、この動乱を「不平士族の反乱」と呼んだ時点で、もう日本人ではない!!明治維新以後、失われた「日本人のエートス」とは何か?西洋文明に対して負けることを覚悟で蜂起した、志士たちの気持ちを理解できるかどうか?それは日本人としてのアイデンティティを持っているかどうかを判断するリトマス紙となるのだ! ※「ザ・神様!」…ついに恋しいミヤズヒメとの再会を果たし、めでたく男女の契りを結んだヤマトタケル。しかし、そこで生まれた小さな心の緩みが、運命の大きな分かれ道に!?父・景行天皇の愛を渇望し、哀しい戦いに身を投じ続けたヤマトタケルの物語、いよいよクライマックスへ! ※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!モノの見方はどのように育んできた?ストーカー行為を繰り返す老人が増えている!?日本が対テロの有志連合に加わる可能性はある?友人に『ゴー宣』を勧めたい!どの作品から読ませるべき?「ふるさと納税」をどう思う?史実を元にフィクションを作る場合、史実通りに描くべきでは?…等々、よしりんの回答や如何に!? 【今週の目次】 1. ゴーマニズム宣言・第154回「『大東亜論』【愛国志士、決起ス】について」 2. しゃべらせてクリ!・第118回「最高ハッピー!艶子サンタのラブラブクリスマスぶぁ~い!の巻〈前編〉」 3. もくれんの「ザ・神様!」・第70回「ヤマトタケル物語・その11」 4. Q&Aコーナー 5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど) 6. 読者から寄せられた感想・ご要望など 7. 編集後記 第154回「『大東亜論』【愛国志士、決起ス】について」 『大東亜論』第二部「愛国志士、決起ス」が明日・12月9日に発売される。  日本人は明治以降、急激に西洋化を推し進め、近代主義・合理主義を受け入れることで、ずいぶん精神性を変化させた。 日本人ならではの道徳や信仰など、魂(エートス)の部分が薄まってきた。   エートスというのはアリストテレス倫理学では、人間が行為の反復によって獲得する持続的な性格・習性のことだと分析される。ある社会的集団・民族を支配する倫理的な心的態度のことである。  武士のエートスは、「恩義に厚い」「自己犠牲の精神がある」「潔い」「恥を知る」「惻隠の情がある」など、封建的な忠義の精神から出来上がってきた。  だが、明治維新以来の近代化は、当然、武士のエートスを揺るがせずにおれない。  現代の日本人は大東亜戦争の敗戦後、GHQの占領統治によって、さらなる洗脳を受けているので、もはやエートスなき日本人に頽落したかもしない。  そんな中で、果たして『大東亜論』がどう読まれるか?興味深い実験である。 「愛国志士、決起ス」で描いているのは明治初期に起きた佐賀の乱、萩の乱から西南戦争に至る、いわゆる「不平士族の反乱」である。  だが、そもそもこの一連の内戦を「不平士族の反乱」と称するところに一番の問題がある。その名称で呼んだ時点で、もう「日本人ではない=日本人のエートスを持っていない」と認定してもおかしくないくらいだ。   当時の士族たちは、西洋文明にすり寄る政府を打倒しようとしたのであり、その点においてはイスラム原理主義者と共通する部分がある。   これを単なる「反乱」としか理解しないのは、要するに「西洋文明こそが正しい」という価値観に染まりきっており、西洋文明に異を唱える者は「反文明」の単なる不平分子だという評価しかできなくなっているということだ。  つまり、既に日本人の価値観を喪失しているのである。  明治初期の動乱を「不平士族の反乱」の一言で片づけ、その意義を考えてこなかった戦後日本人は堕落しきっていたのだ。  だからこそ9.11テロが起きた時も、フランスでテロが起きた時も、途端に準白人化して「テロとの戦い」を叫び出す自称保守が続出するのである。一体、これのどこが「保守」だというのだろうか?  本当に日本人の感覚を持っているのなら、あんなに簡単に西洋人の方に同化できるわけがない。やはり、日本人のエートスが希薄になっているのである。 「愛国志士、決起ス」に登場する者たちは、いずれも負けることを覚悟で蜂起し、次々に死んでいく。  主人公たる頭山満以下、後に玄洋社を興す面々も、たまたま蜂起の前に手入れを食らって獄につながれていたから生き残っただけで、そうでなければ全員萩の乱か福岡の変に参戦し、死んでいただろう。   命を懸けて、抵抗せざるを得ない者たちがいた。   西洋文明に対して、負けることがわかっていても戦わざるを得ないという「誇り」を持つ者たちがいた。  その気持ちがわかるかどうかが、日本人としてのアイデンティティを持っているかどうかを判断するリトマス紙となるのだ。   決起した志士たちには、時の藩閥政府はまるで西洋に洗脳されてしまっているかのように見えたであろう。  単に断髪し、洋装して、西洋文明を受け入れているからということだけではない。 
小林よしのりライジング
常識を見失い、堕落し劣化した日本の言論状況に闘いを挑む!『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりのブログマガジン。小林よしのりが注目する時事問題を通じて、誰も考えつかない視点から物事の本質に斬り込む「ゴーマニズム宣言」と作家・泉美木蘭さんが圧倒的な分析力と調査能力を駆使する「泉美木蘭のトンデモ見聞録」で、マスメディアが決して報じない真実が見えてくる! さらには『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成させる大喜利企画「しゃべらせてクリ!」、硬軟問わず疑問・質問に答える「Q&Aコーナー」と読者参加企画も充実。毎週読み応え十分でお届けします!