漫画の「才」はあるも、世に出ようとしない人たち

というツイッターまとめにインスパイアされました。

私が美術大学という場所で多くの学生を見て痛感した事は「才能は存在する」という事であり、「才能の9割は水子になって消えて行く」という恐ろしい事実である。 ― 竹熊健太郎(京都)さん (@kentaro666) 11月 7, 2012
 私が子供の頃は男の子の大半は野球に憧れてました。私には才能のかけらもないのに、毎日家の壁に投球練習してたのよく覚えています。これくらい誰もが憧れ挑戦していれば、かなり効率よく「才」のある人を見つけ出していたことでしょう。一方で、本当はサッカーやバスケや水泳にものすごい才能があったもしれない子供達はほとんどが埋もれたことでしょう。

 人気が集中しやすかった過去は、その分野は才能ある人を見つけやすかったかもしれないけど、他の分野はその分見つけにくかったり、私のようなまったく才能ない人の努力がべらぼうに無駄になっているという問題がありました。

 それに比べれば今はずっとずっと状況は良さそうです。ニコニコ動画やpixivなど自分の作品を発表する場がたくさんあります。私が応援しているMYTRACKsでは、例えバンド仲間がいなくても、自分のパートをアップロードするだけで他の人とセッションができたりします。今では発表する場がないことを言い訳にするのはむしろ難しそうです。竹熊さんは「投稿も持込みもしない才能」を嘆いていますが、昔は投稿したくても敷居が高く過ぎたことと比べればずっとましではないでしょうか。

 しかし、発表の場が整備されればされるほど、新たな問題が発生します。レベルが高くなりすぎます。ニコニコ動画でボーカロイドの曲をアップロードしようとすると、昔は曲だけで画像は一枚の静止画というのもたくさんありましたが、今では最初から素敵なPV付きのが多く、一枚絵だといい曲でも埋もれがちです。主題のマンガについては今ニコニコ静画など発表の場が整備されつつありますが、整備されてしまえば、ボーカロイド曲のように敷居が高くなってしまうかもしれません。

 しかし、悲観する必要はありません。簡単です。小さなコミュニティを作ってしまえばいいのです。村ぶろというサービスがあります。和歌山県の北山村という小さな村が始めたソーシャルネットサービスです。村に住んでいなくても村人になれるという不思議なルールで運営されています。でも効果ははっきり。若い人がやるブログはちょっとと引いてしまう年配の方でも村のブログならと始められるそうです。始めたら覚醒する人もいるとか。

 そんな村ぶろは日本各地に点々と飛び火し始めています。

村のブログ「村ぶろ」とその仲間達 - NAVER まとめ 

あなたの町に村ぶろができる日も近いかもしれません。

 こんな風に小さいソーシャルネットサービスはどんどん増えるでしょう。一つ一つは小さくても同じようなのが横展開して無数にできるのです。そこでは投稿のレベルが低くても構いません。学園祭のバンドは仲間が盛り上がってくれれば実力はそんなになくたって楽しめます。小さなコミュニティの作品はそのコミュニティが盛り上がれば質は二の次です。

 そういう敷居の低いコミュニティが無数にできれば、作品発表の敷居は低いままにできます。マンガであれば、自分ではマンガを描く気ない人でも誰かに頼まれてとか些細なことがきっかけで、そういうサイトに投稿、評判が良くって何度が繰り返すうちに、ニコニコ静画に出してみれば?ってなって、大ブレイクなんてことが起こることでしょう。

 したがって、例えばソーシャルネットサービスがFacebookだけになるなんてことは絶対起こりません。Facebookでは折り目正しくよそ行きの気持ちで行動し、もっと小さな居心地のいいソーシャルネットでくつろぐような切り替えが普通になるでしょう。

 誰でも小さなソーシャルネットサービスが作れるようなプラットフォームができれば、この動きは加速しそうです。そんな日が楽しみですね〜。

この記事には、【馬車目線】からの解説


があります。