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消極性研究会(SIGSHY)による連載『消極性デザインが社会を変える。まずは、あなたの生活を変える。』。今回は簗瀬洋平さんの寄稿です。ECシンポジウムで毎年恒例となっているオーガナイズドゲームでの昨年のチャレンジ。そして、講演依頼で発生する気を遣うやりとりを軽減する「講演依頼フォーム」のアイディアについて語っていただきました。

オーナガイズドゲーム2018

 みなさんこんにちは。消極性研究会の簗瀬です。第2回メールマガジンからだいぶ時間が経ってしまいました。前回のメールマガジンでは学会を楽しくし、記憶に止めるための工夫としてゲームデザインの知見を使うことについてお話ししました。その最後にオーガナイズドゲーム2018の報告は次回、と書いていましたので早速その話に入りたいと思います。

 前回までのおさらいをすると、エンターテインメントの研究をしている学会なのだから、学会そのものを楽しませる仕組みにしようということで始まったのがオーガナイズドゲームです。それまでは講演者を殺した犯人を探す脱出ゲーム形式のもの、参加者同士でパーティを組んで強いチームを作り、最後に魔王と戦うRPG形式のものなどいろいろやってみましたが、消極性研究会の視点から見ると「積極的に情報交換をし、参加していかないと十分に楽しめない」という欠点がありました。そこで新しい試みをしてみようと考えたのがオーガナイズドゲーム2018でした。

 情報処理学会エンタテインメントコンピューティング (EC) シンポジウム2018は東京都調布市にある電気通信大学で行われました。今回のオーガナイズドゲームはシンポジウムのスポンサーである架空の大富豪を満足させるためにコインを集めるという体で、発表や質問、デモの体験など学会の基本的な活動に参加するとポイントが得られるというシステムを導入しました。最終的にポイント総量が一定を超えると目標クリア! と、いうことです。

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情報処理学会エンタテインメントコンピューティング (EC) シンポジウム2018 オーガナイズドゲーム

 これだけではゲームに興味ない人が参加する動機が面白みだけになってしまうので、使用するアプリケーションにはそれぞれの発表に対して匿名で質問できるシステムや、良い質問に対していいね!がつけられるシステムも実装されています。このように、消極的な人たちだけを対象にするのではなく、誰もが便利に使えるようなシステムが積極的になれない人に対して効果を及ぼす、という形になっていればみんなに楽しく使ってもらえるはず……でした。

 結論から言うとこのシステムを使った盛り上がりは「まあまあ」というところでした。
 それまでのオーガナイズドゲームはやはりゲームという形を使うことにより参加者に対してワクワクさせるものがありました。それを日常使うシステムの中に溶け込ませてしまうと、非日常感がなくなって実務的なソフトウェアとして目の前のシステムを見るようになります。このシステムそのものは電気通信大学の学生さんが短期間で作ってくれたものなのですが、やはり我々が日常的に使っているシステムのような完成度を持っているわけではありません。私自身はゲーム開発の経験から得てきた「楽しい、面白い」という感情が様々な技術の未熟さを隠してくれるということをよくわかっていたはずなのですが、その辺りを軽視してしまったのは大きな反省点です。

 積極的になれない人のためにちょっと変わったサービスやシステムを作る、というのはShyhackの中でも大きな仕事の部類ですが、当然それらは導入障壁が低く、使い続けやすいものでなければ多くの人に使ってもらうことはできません。大きな大義の前に当たり前のことを忘れないよう気をつけたいと志を新たにしています。

 なお、最近様々なカンファレンスで使われていますがイベント用のルームを作り、匿名で質問をするシステムがいくつか出てきていますね。例えばSli.doなどが代表的です。

 自力でシステムやサービスを作れることはそうそうありませんから、日頃からこういった外部のサービスを活用するShyhackの知見を積み重ねて行くのも良いですね。

 オーガナイズドゲーム2018のポイントは以下でした。

 ・システムを使って学会への参加をポイントとして評価する
 ・ポイントを使った協力イベントを用意し一体感を高める
 ・実用システムには一定以上のクオリティが必要
 ・逆に「遊び」感を出すとクオリティの負担が下がる

講演依頼に関するやりとりの労力を削減する

 私は講演や講義、学生発表の講評などであちこち呼ばれる事が多くあります。数えてみたところ2018年の1年間でおおよそ70回ほど様々なイベント、学校などに行って話をしたり聞いたりしています。多くは必要な情報を過不足なく送ってくれるのですが、中にはあまり依頼に慣れないのかやりとりに手間と時間がかかってしまうケースもあるわけです。
 そこでこういった情報が欲しい、ということを簡単にまとめてTweetしたところ大きな反響がありました。


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