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キマイラ鬼骨変 一章 獣王の贄(にえ) 4 (3)
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キマイラ鬼骨変 一章 獣王の贄(にえ) 4 (3)

2013-08-14 00:00
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 吐月――
 かつて、本気で覚者になろうとした男だ。
 高野山で修行をし、チベットに入ってカルサナク寺で、陳岳陵――つまり、久鬼玄造と出会っている。
「わたしはね、外法の中に、その手がかりがあるのだと、ずっと考えていた……」
 カルサナク寺の地下で見た、アイヤッパンを中心とした『外法曼陀羅図』。
 そこで見たのは、八番目、九番目、十番目のチャクラであった。
 チャクラ――人体の背骨に沿って上から下まで並ぶ、力の発動部位である。
 解剖学的には存在しない存在だ。
 瑜伽(ヨーガ)においては、上から順に、次のように呼ばれている。
 頭頂にあると言われている王冠(おうかん)のチャクラ、サハスラーラ。
 眉間(みけん)のチャクラ、アジナー。
 咽喉(のど)のチャクラ、ヴィシュッダ。
 心臓のチャクラ、アナハタ。
 臍(へそ)のチャクラ、マニプーラ。
 脾臓(ひぞう)のチャクラ、スワディスターナ。
 根のチャクラ、ムーラダーラ。
 玄道――つまり、仙道では、これは次の部位に相当する。
 やはり、上から順に――
 泥丸(でいがん)。
 印堂(いんどう)。
 玉沈(ぎょくちん)。
 膻中(たんちゅう)。
 夾脊(きょうせき)。
 丹田(たんでん)。
 尾閭(びろ)。
 瑜伽(ヨーガ)でも玄道でも、これを呼吸法で活性化させる。
 呼吸し、天地の気を取り入れ、これを体内で上下させるのである。
 それに、使用されるのが、背骨に沿って存在するスシュムナーと呼ばれる管(ナデイ)である。
 この管(ナデイ)は、玄道では気道と呼ばれる。
 スシュムナー管(ナデイ)もまた、解剖学的には存在しない管(くだ)だ。
 チャクラは、この管(ナデイ)から開いた回転する花のようなものである。
 呼吸し、気(プラーナ)を一番下方のムーラダーラチャクラに集める。
 そのプラーナを、スシュムナー管(ナデイ)に沿って上に持ちあげてゆく。持ちあげて、また下ろしてゆく。ムーラダーラチャクラに溜まったこの気(プラーナ)を、また、スシュムナー管(ナデイ)の中で持ちあげてゆく。
 これを繰り返すことによって、チャクラが回転を始めてゆく。その回転速があがる。
 体内の霊的エネルギーがあがって、これによって、ムーラダーラチャクラの裡(うち)に眠っていた力――クンダリニーの蛇が目覚め、これがスシュムナー管(ナデイ)の中を駆け昇ってゆくのである。
 このようにして、チャクラを覚醒させ、人の持つ筋力、認識力、智恵――そういったものをレベルアップさせるのだ。
 仙道では、小周天,しょうしゅうてん)の法とも呼ばれる。
 鬼骨(きこつ)――というのがある。
 ムーラダーラチャクラよりも、さらに下にある八番目のチャクラだ。
 瑜伽(ヨーガ)的に言うなら、アグニチャクラ。
 このアグニチャクラ、鬼骨が発動すると、人はその存在形態を変えてしまう。人が、進化の過程の中で捨ててきた、あらゆる形質が、無秩序に、爆発的に生じてしまうのである。
 仙道の世界では、これまで、鬼骨は、伝説上のものであると考えられていた。
 かつて、千年、二千年以上も前、中国において、赤須子(せきしゅし)という者がこれを発動させ、獣と化して、多くの人を喰らった。
 これを、捕えて収めたのが、仙道の祖とも言われている老子であると。
 それは、神話や伝説の類(たぐい)であるとこれまでは考えられてきたのだが、その鬼骨が存在するとわかったのである。
 真壁雲斎(まかべうんさい)は、自身でそれをたしかめている。
 しかし、吐月がカルサナク寺で見た『外法曼陀羅図』には、鬼骨よりもさらに下方にもうひとつのチャクラが、サハスラーラチャクラのさらに上方に、もうひとつのチャクラが描かれていたのである。
 八番目の鬼骨のみならず、九番目、十番目のチャクラがあることになる。
 相撲のしきりのように、蹲踞(そんきょ)して腰を落とす、尊神アイヤッパン。
 ヒンドゥーの神、シヴァの化身(アーヴアタール)である。さらに、シヴァの化身であるハリハラとも、同じ存在と言っていい。
 そのアイヤッパンの絵の、腕と足とが、カルサナク寺の図では消されていた。
 その、九番目のチャクラ――ソーマチャクラは、この物語の中ですでに明らかになっている。
 それは、ソーマチャクラだ。
 月のチャクラ。
 右手、左手に、念玉(ねんぎょく)を作る。
 作ったらば手を合わせて、これをひとつにする。
 その合わせた手を、頭の上で立てる。
 これが、九番目のチャクラ、ソーマチャクラだ。
 これをもって、キマイラ化を押さえることができるというのである。
「しかしね、九十九くん、わたしは今は違う考えを持っている……」
 吐月はつぶやいた。
「違う考え?」
「人はね、仏陀になどなれなくともいいのだと思うようになった」
「―――」
「人は、人でいいのだよ」
 吐月はつぶやいた。

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画/今野隼史


初出 「一冊の本 2013年8月号」朝日新聞出版発行

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他83件のコメントを表示
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http://ch.nicovideo.jp/sakitsurumura/blomaga/ar315483#comment
釣りじゃなくてミスだなこれ
52ヶ月前
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おいふっざけんな運営、おい
もこっちの記事だからクリックして来たんだぞ

関係ねー記事に誘導してんじゃねえぞ
52ヶ月前
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                    おれは今やつのスタンドをほんのちょっぴりだが体験した
                  い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
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        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |
52ヶ月前
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もこっち…('・ω・`)
52ヶ月前
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これはプロの釣り師ですわ…
52ヶ月前
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これだから運営はダメなんだ
52ヶ月前
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最近運営のミス多いな・・・
52ヶ月前
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上で本当のURL貼ってくれた人にマジ感謝。
一応。↓がわたモテ。
http://ch.nicovideo.jp/sakitsurumura/blomaga/ar315483#comment_area
52ヶ月前
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あいかわらず、話がなかなか進まない・・・。
いや、そこがまたいいんだけど。
52ヶ月前
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オルトの雲まで太陽系級にチャクラを回してください。
51ヶ月前
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