新連載「ズンドコ・トラブル興行研究会」!! プロレス格闘技のウラに精通する書き手たちがマット界を騒がせたズンドコな事件を振り返ります! トップバッターは昭和プロレス研究家の小泉悦次さん。テーマはダフ屋と興行師の哀歌!! 





「はい、余り券買うよ、ない人あるよ」

夕空に響くダフ屋さんのダミ声です。

本日は、おなじみダフ屋とある興行師との悲しい悲しい物語です。

ダフ屋さんの仕事は会場周辺でのチケットの転売だけではありません。興行師からチケットを安く仕入れ、売ることもあります。興行師とは世間的にはプロモーターのことです。しかし、プロレスでプロモーターというのは普通、団体の長を指します。ここではプロモーターという言葉は避け、興行師で通します。

プロレスの興行には「手打ち」と「売り」と「歩」というのがあります。「手打ち」とは団体が直接興行を打つことです。「売り」とは団体の提供するものが試合だけで、会場の手配、チケットの販売などを興行師が行うものです。興行師は団体から試合を仕入れ、売上げの中から仕入れ代金を団体に支払います。「歩」とは「手打ち」と「売り」の間の形態です。

1971年9月25日の「NWAタッグリーグ戦」第2戦が、岩手県の今は奥州市となっていますが当時の水沢市、そこでの日本プロレス興行は「売り」でした。買ったのは興行師Nさんでした。



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