多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるDropkickニコ生配信コーナー。深くてタメになるトークを活字でもお届けします!(11月に配信された一部を加筆編集したものです)。

今回のテーマは、なんと! 
アメリカ連邦議会がUFCを「おまえらちゃんとやれ!」と問いただす!



――4年振りに復帰したGSPがマイケル・ビスピンを破ってUFCのミドル級チャンピオンになりましたが、凄い試合でしたね!

シュウ TJディラショーvsコーディ・ガーブラントも凄かったですし、ニューヨーク大会は神大会でしたねぇ。でも、GSPがチャンピオンになってしまったことで、UFCの副社長が連邦議会に呼ばれて大変な目に遭ったんですよ(笑)。

――ああ、どうやら凄いことになってたみたいですけど、詳しく教えてください!

シュウ 要は「4年間も試合をしてない奴がなんでタイトルマッチをやるんだ?」と詰問されたんですね。なぜ連邦議会がそんなことを聞くかといえば、UFCというのは商品として消費者に提供されていて、アメリカの各州を渡り歩いて開催されている。なので連邦議会の管轄になるんです。連邦議会としては正しい商品であるべきだと消費者に伝えないといけない。問題がない商品だとモニターする役目があるんですね。

――話を聞くと「なるほど!」と納得できますが、さすがアメリカはロジカルすぎますね(笑)。

シュウ UFC副社長を詰問していた議員は自分でもMMAをやっていたのでかなり詳しくて。ダンヘンがビスピンのタイトルマッチに挑戦したときも、「ダンヘンはランキングに入ってなかった。1位から9位の選手はオファーを断ったのか?」と攻撃するんですよ(笑)。

――面倒くさい!(笑)。でも、スポーツとしてのあり方をどう重んじてるかということですね。

シュウ 「じゃあ、UFCはチャンピオンとランキングの意味がないってことだね。ホントの意味のチャンピオンじゃないってことだね?」と問い質されたUFCの副社長は「そうですね。世界チャンピオンではないです」と。

――認めてしまった!!(笑)。

シュウ 副社長の言い分としては「我々から見てファンが望む、その日の世界のトップと思われる人、それがUFCの世界チャンピオンだ」と。ランキングも完全なる第三者がコントロールしてるわけではないですしね。

――興行的要素はどうしても入ってしまいますよね。

シュウ なぜこんなことが行われたかというと、アメリカにはモハメド・アリ法というのがあるじゃないですか。そのルールをMMAに適用するかどうか議論されてるんですね。


モハメド・アリ法とは――

・選手とプロモーターとの契約は強制的なものであってはならないとしており、具体的には契約期間は最長でも1年と定めている。

・プロモーターは大会売り上げ(ゲート収入、テレビ放映収入、PPV収入)の一切について、情報開示しなければならないと定めている。

・タイトルはプロモーターではなく、王座認定団体が管理しなければならないとされている。また、タイトルマッチは、それらの組織が決定するランキングに基づき、トップコンテンダーに挑戦権が与えられなければならない。別々のプロモーションに属する選手のタイトルマッチが組まれる場合も生じる。タイトルとランキングは、ボクシングコミッション協会と連邦取引委員会の承認を受けなければならない。

参考記事
米MMAがボクシング化? モハメド・アリ法がMMAにやってくる?■MMA Unleashed



シュウ 連邦議会にはランディ・クートゥアも参考人として呼ばれたんですけど、「自分がピークのときに本当はヒョードルとやりたかったけど、UFCとの契約のせいで戦えなかった。あの契約はおかしい」と発言してるんですね。

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――UFCの契約形態が見直される流れに……。

シュウ どうなるかはわからないですが、議会の記録に残るかたちにはなったのは凄いことです。だからってプライベート企業の方針を変えることはできないと思うんですよ。この例えはちょっと極論なんですけども、国がラーメン屋さんに「このラーメンの作り方を変えろ!」と命令はできないじゃないですか。いまのUFCのやり方がスポーツとしてフェアじゃないってところに行き着くかといえば、そうでもないですしね。



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