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Dropkickのプロレス格闘技本読書会!!  今回取り上げる本はボブ・サップ『野獣の怒り』と、谷川貞治『平謝り』。この2冊の本からK-1を振り返ります! この記事は
Dropkickニコ生配信で語られた『プライド』の感想を再編集・加筆したものです(語り・ジャン斉藤)
いきなり話は脱線しますが、『平謝り』という題名もそうですし、頭を下げっぱなしの人生だったと過去を綴る谷川さんですけど、印象的な“平謝り”なエピソードがあって。これはボクが『kmaipro』の編集者だったときのことなんですけど、ボクが聞き手を務めたインタビューで谷川さんが武蔵の悪口を言ったんですよね。「試合がつまらない」とかそういう類の。それを読んだ武蔵が大激怒したらしくてですね、慌てた谷川さんから電話があって「斉藤くんが無理矢理言わせたってことにしてよ〜」とお願いされまして(笑)。

それもずいぶんムチャクチャ話なんですけど、仕方がないから武蔵のマネージャーに謝罪の電話を入れたことがありますね。谷川さんじゃなくてボクが平謝りしていたんですよ!!(笑)。

というわけで本題に入りますと、旧K-1は未払い問題が解決してないこともあるので、谷川さんのことを悪く言う選手や関係者はいまだに多いんですが、なぜ谷川さんだけが悪く言われるかといえば、この2冊を読むといろいろと見えてくることがあるんですね。

まずボブ・サップ本のほうから触れたいんですが、この『野獣の怒り』はもの凄く面白い本です! かなりの完成度。ボブ・サップ本人しか知り得ないことが事細かに書かれていて。まあ本人が書いてるから当たり前なんですけども、そうじゃない本もあるじゃないですか。これはあくまでもボクの憶測ですが、この本は元K-1関係者がサポートしてるんじゃないかなって。いくらボブ・サップいえども、ここまでK-1の内部に詳しくないと思うんですよね。え〜、サップにアシストしたのは誰なんでしょうか?(笑)。

この本のバランスの良さは、サップ本人の都合のいいことばかり書いてるんじゃなくて、たとえばプライベートも赤裸々に明かしてるんです。おしっこプレイが快感だったこととか! K-1の関係者の人間評も面白いんですね。こういうときってポジショントークになりがちというか、仲がいいから褒めるとか“政治”が見えるんですけど、業界の評判どおりの書き方で。

たとえばジョシュ・バーネットのことをエゴイストとけっこうな批判をしたり、谷川さんのことはもちろん無能扱いなんですけども。こうやって「アンチ谷川貞治」のスタンスの人って石井館長を絶賛するケースが多い。でも、サップの石井館長評は絶妙なんです。石井館長を最大限にリスペクトしつつも、ビジネスライクな面があると指摘している。サップ誕生パーティーにおけるエピソードは興味深いので、そこはぜひ本を手に取って確かめてください。

この『野獣の怒り』最大のポイントは、ファイトマネー等の金額を明らかにしていることなんです。多少盛っているかなーと思える箇所もあるんですけど、限りなく事実は多いんじゃかなと。たとえばサップはPRIDEの買収金額を約60億円と書いてますが、これはほぼ当たってるんですね。のちにUFCとのあいだにトラブルが発生したらしくて、榊原さんに全額支払われてないみたいですけど……。


サップの格闘家デビュー当時のギャラは、1年間で10万ドルだったと書かれてます。試合数はとくに決まってなかったり、けっこうザルな契約内容。サップの人気が爆発してもギャラは安かったらしくて、2002年大晦日の高山善廣戦はたったの1万ドル。さすがに交渉して、契約金50万ドル1試合1〜5万ドルの変動制に結び直してるんですね。当時からすれば妥当な額かもしれません。


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