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Dropkickチャンネルが追いかけ続けている橋本真也vs小川直也、通称“1・4事変”から始まる伝説の3連戦。今回登場する永島勝司は当時新日本プロレスの取締役であり、長州力の右腕として90年代の新日本黄金期を作り上げた。永島氏は他媒体でもこの試合について言及することが多いため、新たな証言は期待しておらず、本命は橋本真也が新日本内部で追い込まれるきかっけとなった「選手会不正会計騒動」について掘り下げることであった。ところがいざを取材を始めると、これまでの表をなぞるものではなく、いわゆるケーフェイを超えた裏側を語り始めたのであった……。



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詰め合わせセットpar21 記事内容 
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――今日は“1・4事変”と呼ばれた小川直也vs橋本真也戦前後の新日本プロレスについておうかがいします。

永島 どこからしゃべればいいのかな。 

――まず当時の猪木さんの立ち位置ですが、猪木さんは引退後、新日本プロレスの隅に追いやられている印象があったんです。

永島 あれは隅に追いやられていたわけじゃなくて、猪木は自分のプロレス団体UFOを作ったじゃない。そこらへんから疎外感が生まれてしまったというか、新日本に対して「おまえらは何もわかってない!」という態度になってきたんだよ。

――でも、猪木さんは新日本プロレスの筆頭株主でもあったわけじゃないですか。

永島 当然そうですよ。

――猪木さんは筆頭株主なのに、当時新日本の現場を仕切っていた長州力には口出しできない状況がありましたよね。

永島 あの当時の猪木は新日本に負い目があったわけよ。政治家時代にいろいろと問題が表面化してね。

――新日本が猪木さんの尻拭いをしていたわけですね。新日本はUFOに協力するつもりはあったんですよね?

永島 あった。だから俺が新日本とUFOの真ん中に立っていた。それで活性化すればいいと思ってたから。UFO自体の話をすると、新日本の中の団体という意識があったんだよ。一番説明がわかりやすいのはそれだと思うんだけど。

――小川直也はUFOに所属していましたけど、プロデビュー時の小川直也は新日本と契約したんですよね。

永島 小川は新日本と契約したよ。坂口征二があいだに入って競馬界から転向してね。

――小川直也はJRA所属の柔道家でしたね。

永島 あのとき東京ドームで橋本vsケン・シャムロックが予定されていたのよ。そのシャムロックの出場がダメになったときに坂口征二が「小川でどうだ?」と。それで小川vs橋本になった。橋本に伝えたら「嘘だろ、オヤジ」って反発して説得するのに一晩かかったよね(笑)。
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作/アカツキ


――新日本としては、いずれは小川直也を巡業に帯同させるつもりだったんですよね?

永島 そこは小川の気持ちよ。小川がプロレスラーの道から外れていったんだ。小川は長州の練習方針に完璧に反発していたからね。「なんで受け身の練習ばっかりさせるんだ?柔道でずっとやってきた」と。小川の中に長州に対する不満が高まっていったのよ。

――だから小川直也はプロレスの受け身がいまでも不得意なんですかねぇ。そういえば元・横綱の北尾も長州さんとは対立しましたけど……。

永島 アレは心の問題。小川は練習のやり方。

――北尾は心の問題(笑)。

永島 小川は長州と考え方が合わないんです。小川は柔道の世界チャンピオンとしてのプライドがある。長州のプライドとぶつかり合うわけですよ。

――新弟子だとイチからプロレスの基礎を叩き込まれますけど、業界外の大物だとなかなか難しいんですね。

永島 そういうことなんだよな。

――新日本からUFOに移った小川直也は、デビュー時に世話を焼いもらった坂口さんと険悪な関係になりましたよね。記者の前で小川直也が坂口さんに襲いかかったことで。

永島 あれはね、俺が坂口征二に1から10まで伝えてなかったことが原因なの。小川が坂口に食って掛かったでしょ、マスコミがいる前で。あとでさ、坂さんが「こんな話は聞いてない!」って怒った怒った。そこは俺と猪木が作ったストーリーなんだけど、坂口征二には「小川が来るから、うまくやってね」としか言ってなかった(笑)。

――「うまくやってね」とは言ったんですね。

永島 そりゃそうだよ。

――でも、坂口さんはこんな話は聞いてないと怒った。

永島 小川は坂口征二の襟首を掴んだんじゃないかな。坂さんにとっては明治大学の後輩だろ。「なんで俺があいつにそんなことをされるんだ?聞いてねえ!」って。あの場にいたマスコミも「えっ!?」って困惑しちゃって。

――険悪なストーリーを作るつもりが本当に険悪な関係になってしまった、と。それで新日本とUFOは絶縁状態に陥ったんですよね(笑)。

永島 オレはオレでアングルに使えるなって思ったけどね。「もっとやれ!」と思ったよ。

――いまのプロレスみたいにきっちり練り込んでやるよりも、ある程度フリースタイルで仕込むことでの緊張感ってありますよね。簡単にいうと、マスコミや関係者でさえ「これは本当に揉めてるの?」と思わせるというか。

永島 それが最高のアングルなんだよ。それをアングルと理解する人間と、真正面から「ヤバイな」と思う人間がいたわけですよ。

――長州さんはこの件にどういう反応だったんですか?

永島 我関せず。「勝手にやれ」って感じ。

――そういった騒動を経て、永島さんは1・4に橋本vs小川をやろうとしてたんですね。

永島 そうよ。問題の試合をやったときは、新日本とUFOが完全に対立している状況だったからね。そうじゃなきゃ盛り上がらないよ。

――そこは小川直也や橋本真也ら試合をする当事者たちも“本当に揉めてる”感はあったんですか?

永島 あった。橋本は「オヤジ、(小川は)本気で来るのか?」って聞いてきたしね。

――あ、橋本さんもプロレスの範疇を超えるかもしれないという緊張関係があったんですね。

永島 試合当日さ、来賓席にいた猪木のところに俺と長州が行ったんだよ。「今日、変なことは起きないだろうね?」って話をしにね。猪木は「大丈夫だよ」と。「小川にはシビアな試合をやるように言っただけだ」と。

――シビアな試合……。なるほど。


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