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福島県沿岸部“警戒区域”は今どうなった?原発から7㌔の地区を訪ねて
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福島県沿岸部“警戒区域”は今どうなった?原発から7㌔の地区を訪ねて

2013-06-26 12:01
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 * 堀潤のテレビでは言えない話 vol.13

  ~「政治家の主張・僕らの主張」の巻~

        発行:8bitNews  2013.6.26 (毎週1回発行)

               

     http://www.facebook.com/8bitNews.HORIJUN

       http://twitter.com/8bit_HORIJUN

           http://8bitnews.asia

           http://gplus.to/8bitNews 



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皆さんこんにちは!

今週は久しぶりに、ゆっくり福島県で取材をすることができました。ラジオ福島の名物アナウンサー、大和田新さんとともに、浜通りの各自治体を訪問。南相馬市、浪江町、川俣町、そして飯舘村です。

今年春まで警戒区域に指定されていた浪江町の沿岸部、請戸地区は津波の被害が深刻で、見渡す限り建物という建物が流され破壊され、今では緑の雑草に覆われています。原発事故による放射能汚染が追い打ちをかけ、行方不明になった住民の方々の捜索も当時遅れました。請戸地区から東電福島第一原発まで距離にしてわずか7キロ。小高い山の向こうに原発の排気筒がくっきりと見えました。


僕が訪ねた日、空は快晴。真っ青な明るい空が逆に不条理さを際立たせているようでした。多くの人々が命を、そして故郷を奪われた悲しみと悔しさ。この穏やかな海と空にはぶつけようがありません。


震災直後、浜通りから80キロ以上離れた会津美里町に避難した楢葉町の皆さんを取材した時の会話が忘れられません。


「今朝の磐梯山見ましたかぁ? きれいだったぁ。。。でもどうして、こんなに美しくて穏やかな自然が、僕らにこんなに残酷な試練を与えるんですかねぇ」


涙をうっすら浮かべながらそう語る地元の方の声に耳を傾けたのが、つい最近のようです。


当日、Twitterで発信をしました。以下に転載しますね。


福島のことを忘れないで欲しい。「堀さんが、発信を続けてくれたら、僕たちはとっても励みになるんです」。そんな風に言って僕を駅まで送ってくれた大和田さん。これからもよろしくお願いします。どうかどうか、皆も一緒によろしくお願いします。


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8bit_HORIJUN


AM9:50 JR福島駅前に到着。駅前の放射線測定器を見ると値は毎時0.226マイクロシーベルト。上限値の目安である年間1ミリシーベルト以内におさまる値だ。

 @ 福島駅西口 http://t.co/8tleMnn323

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AM10:40 ラジオ福島の大和田アナの案内で飯舘村に。道の両脇に広がっている水田は一面、雑草の緑で覆われていた。 @ 飯舘村役場 http://t.co/YrD4aZObTL
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飯舘村役場。数人の職員が交代で常駐している。役場前の道路のタイルは張り替えられ、除染作業が続いていた。 @ 飯舘村役場 http://t.co/vHu1vKUVKW
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飯舘村役場前の放射線測定器の値は毎時0.63マイクロシーベルト。放射線との長い闘いが続いている。 @ 飯舘村役場 http://t.co/zgE2UaaXY0
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役場の目の前。雑草が一面を覆うこの広場は、野外運動場。陸上のトラックは二年の間に姿を変えた。 @ 飯舘村役場 http://t.co/rVAbHqA9jV
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役場の裏手にまわると除染して取り除いた土を入れた土嚢が積み上げられている。国との協議で将来的には国有林の敷地内に移されるという。 @ 飯舘村役場 http://t.co/mWmqANrfCD
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ラジオ福島の大和田アナが持ってきた手元の線量計では、土嚢周辺では毎時0.61.0マイクロシーベルトと値が上昇した。土嚢の処理も優先的課題だと話す。 @ 飯舘村役場 http://t.co/dDVkgvfAS0


AM11:50
飯舘村役場から少し車を走らせると、農地でトラクターが動いていた。聞くと試験のためクローバーを植えて調査を行うという。かつての水田だ。 @ 飯舘村公民館 http://t.co/G6ppbNjxGV

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PM0:10 飯舘村から浪江町に向かう。途中抜けた原町。「いくつもの店が営業する中、マクドナルドだけはいつまでたっても再開しないんですよ」と教えてくれた。 @ 原町郵便局 http://t.co/lqLXtcMpU8

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PM0:40 南相馬市に入った。立ち寄ったのは、震災後一ヶ月で営業を再開した、今野畜産。メンチカツが名物だという。 @ 南相馬警察署 http://t.co/7LTba0m5ya

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店を切り盛りする今野千栄子さん。店では全頭検査を実施済みの福島県産の肉と県外から仕入れた肉が並ぶ。客足は震災前の五割に回復したと話すが、将来への不安とも日々向き合っているという。 http://t.co/AXDb5qV0bz

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PM1:00 移動の車の中でメンチカツを食べた。柔らかく肉汁が口いっぱいに広がった。避難を続ける人々のために店主は震災直後いち早く再開を目指した。 http://t.co/DAnFOrPDB2


PM1:20 浪江町請戸地区に入った。第一原発の排気塔が山の向こうに見える。左手には海岸。警戒区域だったこの地区はほとんどが手つかずのままだ。 http://t.co/iaf5n46gvi
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請戸小学校。校舎の二階部分まで津波が押し寄せたが、近隣住民や先生達の迅速な判断で全校児童80人あまり全員が無事に避難した。 http://t.co/2QmVDgIK7X

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体育館を覗くと巨大地震の爪跡が生々しく残る。三月十一日は卒業式に向けた準備の最中だったという。 @ 請戸小学校 http://t.co/iPlbo4EUte


車椅子を含む子供達は先生達に連れられ、1.5キロ先の山を目指した。田んぼを抜け、靴が脱げた二年生の子に、三年生が自分の靴を履かせて励まし合いながら逃げたという。 http://t.co/2MwOklpE6G


津波に襲われる前まで教室の窓からは原発の排気塔は見えなかったという。建物がなくなり木々が流され、目と鼻の先にある原発の存在を思い知らされたと地元の人々は語る。 http://t.co/amaPFUiJTI
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教室の黒板には、全国から救助に入った自衛隊員達などがメッセージを書き残している。地元の方の言葉だろうか。「われらは海の子」。 @ 請戸小学校 http://t.co/7bNXdpO2z4

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打ち上げられた船。よく見ると船体の下にクッションが敷かれていた。「これは船の持主が、これはガレキじゃない、いつか直して必ず海にでる、という意思表示なんです」と大和田アナは話す。 http://t.co/I4N5f2faAS

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船のすぐ側には亡くなった方を弔う共同の慰霊碑が。警戒区域に指定され遺体の捜索は難航した。もっと早く見つかっていれば家族の遺体を抱きしめられたのにと涙する人も絶えなかったという。
@ 請戸小学校 http://t.co/AyT5tjpnqB
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東電福島第一原発の水素爆発。当時の風向きなどにより同じ浪江町内でも放射線の値は全く異なる。請戸小近くは毎時0.077マイクロシーベルトと表示されていた。 http://t.co/Psl4QigNTq


あの日、住民の避難を誘導した警察官達も津波に飲み込まれ殉職した。若手巡査を先頭に促し最後まで海岸近くから、人々を逃がしたベテラン警察官の慰霊碑がひっそりの草むらにあった。 http://t.co/AAZGwMRTRu

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PM4:00 南相馬市のJR小高駅前でヒマワリを植えている人たちに出会った。町はまだ帰れない。だったら花を咲かそう。微かな呼吸を故郷にさせてやりたいと、誰もいない駅前の広場に苗を植え続ける。 http://t.co/6MBzthaSXK

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飯舘村の村民歌。役場の前に建てられた石碑を見つめた。 @ 飯舘村役場 http://t.co/JcGPI2ZjLZ

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子供たちの唄声が地蔵から聞こえる。 http://t.co/DlarmxoFi3


ではでは、今号のコンテンツはこちらです!


┌───────────────────────────────┐

├○    堀潤のテレビでは言えない話  vol.132013.6.26

├○

├○  01.【堀潤のソーシャル日記から】

├○  4回 民主主義の限界を乗り越えて

├○

├○  02.【ルポルタージュ】

├○  マスメディアが報じない本当の○○

├○  第13回  「“新しい公共はあきらめない” 民主党は消滅するのか?」

├○

├○  03.【メディア批評】

├○  そうだ!ニュースを語ろう

├○  第13回「元日経新聞記者・牧野洋 原発報道とメディアの裏側②」  

├○

├○  04.【ルポルタージュ】

├○  次世代メディアへの創造力+α

├○  第13回 「エバーノート×ホンダ シリコンバレーでおきた融合」

├○ 

├○  05.【告知】今週のスケジュール& お知らせ

├○

└───────────────────────────────┘



前回「Vol.12」へのリンクはこちらです。

[リンク] http://ch.nicovideo.jp/horijun/blomaga/ar264853


未読の方は併せてお楽しみ下さい。


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┗■  01.【活動日記】堀潤のソーシャル日記

   

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このコーナーでは1週間の堀のつぶやきから3本を選んで深堀り。

毎日新聞「MAINICHI RT」の連載と連動しています。

NPO法人代表として、そしてジャーナリストとしての堀の1週間からのルポルタージュ。

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民主主義の限界を乗り越えて


堀 潤 JUN HORI@8bit_HORIJUN

こういう皆の動きは、全力で応援したいな。10代のネット疑似選挙 Teens Opinion http://teensopinion.jp/ #teensopinion


「10代で選挙権がないから私は政治に参加できません」なんていうのは、ただの言い訳だなと思って――去年12月、福岡県に住む当時17歳の吉田拓巳さんが立ち上げた10代のための模擬選挙サイト、Teens Opinion。インターネットを使って10代の若者達が自分が支持する政党などに対して一票を投じる事ができる。前回の総選挙にあわせてサービスが始まった。facebookやtwitterを使って10代の参加者達が自分たちの意見を表明し、それを見ていた大人達もネット上の議論に加わる。10代の声は実に興味深い。

 今週、学校で模擬選挙を行った。まだ有権者になるまで2年はあるけど、やっぱり国政には関わっていたい。自分が生まれて育った国、知らない人に国を運営してほしくない。学校での模擬選挙はもう何年かやってるけど、不思議なことに高校生が投票しても、実際の投票結果と大して変わらない結果になる。投票率も含めて。そう考えたら、ぼくたちはもう準備できてるんじゃないだろうか? 僕は選挙に参加したい。選挙権があるのに行かない人は本当にもったいないと思う。もったいないというより、責任がないと思う。--Junya Igarashi (18)

 みんなが、うんうん唸りながら、難題を、ひとつひとつ分割し、考えられる社会が、いい社会なんだと思う。 そのためには、まず、答えがない問題を「考える力」をつけることなんじゃないかな。 とにかく、困難は分割せよ! 日本はたしかに、問題山積みだ。だから、ひとつひとつ、考えていかなくては!--Meiko Shiozawa (17)


 実は、先進各国で構成されるG8の枠組みでみると、18歳に選挙権が認められていないのは日本だけだ。国会図書館の調べでは、世界189の国と地域のうち、90%で18歳までに選挙権が与えられる。上記した日本の10代の若者達の主張は、国際標準で考えても真っ当なものだ。日本で18歳以上に選挙権が与えられれば、新たにおよそ240万人の有権者が誕生する。

 高齢者をターゲットに票を獲得してきた政党にとっては、こうした若い世代の参入に警戒心を抱く事もあったかと思う。しかしだ。36歳になる筆者は思う。ゆとり教育を受け、競争よりも和を求める傾向が強いと言われる彼らの世代に、この国を前進させるための力を借りたい。

 まもなく成人する彼らの世代と接していると、あらためて気づかされる事がある。彼らはハングリー精神に裏打ちされたガツガツとした競争社会では弱々しい存在だと、上の世代が評価を下す事があるが、彼らは仲間内から落伍者を出さない繋がりを自然と大切にしているようにも見える。自分を優位に見せるためのパフォーマンスよりも、より具体的で現実的な解決策をゆっくり話し合いながら見いだしていけばいいじゃないかという余裕さえ感じる事がある。10代の政治参加は日本丸の推進力になるかもしれない。

 バブル崩壊後の失われた10年と言われる時代で育った自分としてもゆとり世代との共闘で仲間を増やしたいという欲求にかられる。


堀 潤 JUN HORI@8bit_HORIJUN

ぜひこれを機に10代の政治参加に関する議論と前向きな制度改革を促したい。「RT、ダメですよ」――ネット選挙運動、未成年者は禁止 総務省が注意呼びかけ - ITmedia ニュース http://www.itmedia.co.jp/news/articles/306/20/news057.html…


 インターネットを使った選挙運動が解禁となるのを前に先週、総務省が行った呼びかけには失笑も聞かれた。twitterを使って未成年が選挙運動絡みのツイートを他の誰かに紹介してはいけないというもの。いわゆるRT・リツイートをすると選挙違反になるので控えるようにという呼びかけだ。ネット空間の動きをどこまで制限できるのか疑問の声があがった。Twitter上で政治の話が出来なくなるのか? それともグレーゾーンを巧みに利用してネットネイティブ世代は独自の言論空間を開拓していく事になるのか今後の展開を筆者も興味を持ってウォッチしている。

 この国に足りないのは、熟議の文化だ。刹那的な多数決にこだわる民主主義よりも、決定の過程を共有できる民主主義であって欲しいと願う。世代を越え、知識や経験、そして新たな視座を共有しながら問題に対する解決策を打ち出しそして実行する。議論に時間をかけ、多様な角度で検証し、それぞれが自分の意志で決定する。そうした手順を踏んだ丁寧な議論をする機会を増やしていきたい。参院選挙も目前だが、各党のマニフェストや政権公約について、自ら考え、周囲と議論するだけの時間を持つ事が出来ているのか。熟議なきまま結果を出しては、いつまでたってもお任せ民主主義からの脱却ははかれない。

「言いたい事がある。伝えたい想いがある。この国で、大人になっていくのだから。選挙権はない。意見はある」

 そんな風に、メッセージを発信する10代の叫びに耳を傾け、熟議のきっかけとしてみてはどうだろうか。この国の民主主義の限界を乗り越えるために。


講演や講師の依頼なども受け付けています

hori@8bitnews.org までぜひ!



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┗■  02.【ルポルタージュ】

     マスメディアが報じない本当の◎◎

     

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「テレビでは言えない話」というタイトル通り、「テレビでは扱いづらい」

という理由でなかなか放送されない話題もたくさんある。

国家や大企業を敵にまわしがちなテーマについては、局側の判断で

ニュアンスが弱められたり、企画そのものが採用されなかったりする場合もある。

このコーナーでは、そうしたマスメディアが報じない現場の実態をルポ。

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13 

「 “新しい公共を諦めない” 民主党は消滅するのか?」


夏の参議院選挙の前哨戦と言われた東京都議会議員選挙。自民が候補者全員を当選させて圧勝した一方、「反自民」として共産とみんなの党が躍進した。維新は惨敗し、民主は大幅に議席を減らした。民主は同じ選挙区に複数の候補者を立てるなど、戦術ミスも指摘された。投票率は過去2番目の低さで、前回より10.99ポイント減って43.50%だった。有権者の半数以上が棄権したことになる。低投票率は、組織票に優位に働く。いよいよ約1カ月後に迫った参院選。民主党消滅のシナリオはより現実性を増した。現職議員はこの状況でどう闘おうとしているのか。かつて2大政党制を標榜し、政権を担った彼らは今何を思うのか。元閣僚たちに聞いた。3回シリーズでお届けする対談シリーズの2回目、津田大介さんと佐藤大吾さん、長妻昭議員、蓮舫議員、馬淵澄夫議員と堀潤による議論の模様をどうぞ。


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(津田)

個々の代議士の立場の尊重だとか、民主党がフワフワしたグループだとかいう話は、やっぱり民主党っていうのは寄せ集め集団だ、と当然批判の対象にもなっています。コメントを見ていると、党綱領として一本つないでいるものが民主党にはない、という批判もあると思うんですけど、そういうものを作り直してまとまるという出直しみたいなものはないんですか?


(蓮舫)

党の綱領は1月にもう作りました。綱領を作ればみんなそれに向かって心から尊敬の念を示すんですけど、じゃあそれによって今までの「言論の自由」は黙るかというと、それは違うと思って。


(津田)

もちろん拝見したんですけど、けっこうふわっとした綱領だなと感じたんですよね。


(蓮舫)

例えばどういうところがですか?


(津田)

例えば今注目されている経済、社会保障、外交、エネルギー、いろいろある中で、みんながより良く住みよい社会にしていくというというのは政治としてはいいんだれど、具体的にそれをどう実現していくのか、ということと、日本をどういう社会にしたいのか、ということがあまり伝わらなかったかと思うんですけど。


(長妻)

綱領というのは、当然個別の具体的な政策はマニフェスト、または参議院選挙で作ってますけども、綱領の中で言ってるのは、目指すべき社会が自民党や維新の会とはずいぶん違うということ。ともに生きる社会、すべての格差を是正して、すべての方に居場所と出番がある社会を作っていくと。自立というのは基本なんですけれど、自立できない人にもちゃんと光を与えていくと。そういう趣旨のことが具体的に書いてあるのですが、さっき佐藤さんがおっしゃったことは、外から見るとその通りなんですね。我々も政権をとるのが目前になってきた時点で、政権に就いたらどうなると、そんなことは予想できたんじゃないかと。ただこれ、なかなか難しいのが、実際に政権に入ったことのある人間が民主党にはほとんどいなかったわけで、やっぱり具体的に中に入って政権を実行するときの感覚というのが、経験不足というのがあって野党時代にはなかなかできなかったということがあるのと、やっぱり一つはマニフェストの問題ですね。野党時代、政権の中に入っていないことによって、マニフェストがある程度、ここまでできるんじゃないかということを把握しきれていなかった。財務省とのやり取りは野党時代にもしてましたけど、詳細な資料などは出てきませんので、これぐらいは無駄遣いが削減できるんじゃないかとか、あるいはこれぐらいのことはできるんじゃないかとか。それともう一つは、もっとできるはずだ、できるはずだと追求するうちに、それは「できるに違いない」という形になって、結果的にマニフェストが大風呂敷になってしまった、ということはあるんですね。それを政権に就いた時に、もっと早く修正をする必要もあったと思うんですが、なかなかその見極めが遅れて、タイミングが悪かったという点があるということ。もう一つは腹合わせ不足ということ。民主党というのは自民党とどこがどう違って、この違いを明確に実現するのが民主党政権なんだ、という部分。こういうことはマニフェストやいろいろな政策集でもあるんですけれど、中に入ると閣僚が重要なんで、閣僚がA案件、B案件、C案件のような腹合わせをして、A案件については官僚とか周りが何と言っても、一致結束をして説得を重ねて絶対にやる、絶対に妥協しない、と。たとえばB案件は、やるけれどもよっぽど問題が発生して抵抗が大きい場合はいったん引く、と。C案件はもうお任せして、官僚の皆さんにやっていただく。こういうメリハリをつけて、絶対に譲れないというところを各閣僚、各議員の中で、腹合わせということがきちっと落とした形でできていない。つまり「政権をとる」ということに精力を集中するあまり、運営というところの準備が不足していた。


(津田)

準備不足っていうのはもちろんそうだったんだろうな、と思いつつも、じゃあその反省を今後どうやって生かしていけるのか、ということの具体策を、1つでも2つでも聞けたらイメージがしやすいんですけれども。本当に、同じようなことでつまずいてしまうんじゃないかと。


(堀)

もう新しい公共はやらないんですか?


(馬淵・蓮舫・長妻)

いやいや。やります、やりますよ。


(堀)

僕はあれを、やりきるんだっていうことを、もっと打ち出した方がいいと思うんですよね。


(馬淵)

まぁ、それだけじゃないですけどね。綱領に書いてあることというのは、まさに政策のど真ん中、柱なんですよ。そこから派生する政策を、全議員が共有してるっていうプロセスが必要なんです。


(津田)

それが、共有できていなかった?


(馬淵)

少なくとも前回のマニフェストの段階では、全議員が完全に共有できていたかというとそうではない。なぜならば党の中で、マニフェストのあの項目はやるべきではないという批判が繰り返されたからです。本来マニフェストというのは、政策自身のパッケージを作って「どうですか?」と見せるものではなくて、絞り込む作業、そのプロセスそのものをマニフェストと呼んでいるわけですよ。だから我々は3年、4年の野党の時間をかけて、広く国民の皆様と対話を繰り返しながら、綱領に基づいた基本理念に合致した政策をしっかりと絞り込んでいく。そうすれば、少なくとも政権交代した時に優先順位は自ずと決まってきますよ。でもそれができてなかったんです。はっきり言って、野党時代のマグマのような政策集を出してしまった。


(津田)

マグマのようなというのは、煮詰まっていない、という意味ですか?


(馬淵)

長年の野党時代にたまっていた、あれもやりたい、これもやりたいという政策を全部盛り込んで、それが一気に出てしまった。もちろん絞りましたよ。本来ならば政権交代した瞬間から、優先順位って決めなきゃならないでしょ?


(津田)

それは今、自民党が政権を取り戻してから、まぁ安倍さんもやりたいことはたくさんあるんでしょうけども、経済のこと一本に絞っている。参議院選のあとも経済が中心じゃないかと言われている中で、民主党はそこが十分に絞り切れずに破綻してしまった、いろいろやろうとしてしまった。その最大の原因はどこにあるんでしょうか?


(馬淵)

いま申し上げたように、優先順位を定めていなかったんです。CO2を25%削減というのを、鳩山さん自身はすぐに気候変動サミットで発表された。じゃあそれをやるためのすべての政策順位が決まったかというと、そうではない。子ども手当もありました、「コンクリートから人へ」のスローガンもありました。本来ならばそれを、一つ一つ優先順位を決めていかなきゃならないわけですよ。それをやる中で、最終的な増税もセットされていくというのであれば、理解をいただけたでしょうけれども、結果、コンクリートから人へ、人への投資、社会保障が大事だ、と言いながらも、ちぐはぐな状況が続いてしまった。


(津田)

コメントで、「いま民主党が一番優先している政策ってなんなの?」という質問がありましたけれど。


(馬淵)

私は、年金、社会保障の部分だと思っています。これに関しては去年、増税の法案を成立させる時に三党合意で、社会保障の抜本改革、年金と高齢者医療については法的措置をこうむるということ、8月21日までにやるということを決めてたんですよ。これはなされなければ、裏表である消費増税は本来やれないわけですよ。そこまで決めてたわけですから、民主党が主張すべきは、そのことを政府はきちっとやれってことなんです。それは長妻さんがこの5月の本会議でも強く主張してきましたし、これから参院選での争点になるでしょうけども、社会保障は極めて重要な課題だと思いますよ。


(長妻)

さっき津田さんが重要なことをおっしゃられたんで。準備不足や経験不足、それはわかってたんだけれども、じゃあもし次に政権をとるときに克服するような活動を、今してるのか、と。見えないじゃないか、というご指摘だと思うのですが、これ、ひとりひとり内閣に入った人間……副大臣、政務官を含めるとかなりの人間が内閣の中に入ってるんで、官僚とも一定の人脈ができ、いろんな有識者、圧力団体とも人脈ができて、夜な夜なみんながそれぞれのルートで酒を飲みかわすこともあるし、いろいろ意見交換をすることもあるし、これ、野党時代には考えられないことですね。官僚の皆さんや、外のブレーンやいろいろな団体の方と、かなり具体的に、綿密に意見交換をして、結果としては人脈を作っていっている、と。綱領の議論も、外には目立たなかったでしょうけれどもかなり時間をかけて、全議員を集めて非常に濃密な議論をして、あとは馬淵さんがまとめた、先の選挙の惨敗の原因も、落選した多くの議員も含めてかなりの時間をかけて、民主党が目指すべき社会はどういうものなのかと、自民党の安倍内閣とは全く違う社会なんだ、と。我々の仕事は、内閣を倒して内閣を作ることですから、それに向けて理念の腹合わせを野党の時代に十分するような、そういう土壌はできてきていると。


(堀)

僕が思うのは、内閣を倒して内閣を作るんじゃなくて、既得権を倒して内閣を作ることこそが民主党が目指すべきで、さっき僕がどうして、新しい公共はもうやらないんですか?と聞いたのはまさにそこなんですけれど、つまり戦う相手っていうのが現政権じゃないんですよ。政権は誰がやっても別にいいんですね。戦わなきゃいけない相手は、これまで日本が閉塞感を生み出してきた既得権であり、既得権の中で生まれてきた古い慣習であり、お金が停滞している流れで、それが上の世代や下の世代に流れ込んでこないことに対して民主党の皆さんが新しい公共、リベラルな観点から、僕らみたいな若い世代であったりとか、いま生活に非常に困窮している人たちが、まさに再チャレンジしていけるような、市民が参画してきちんと生きてる実感を得られるような社会を作ってもらいたい。それがかつて僕たちが民主党を支持した、最大の理由だったんですね。


(蓮舫)

それは、旗はまだ全く下ろしていませんし、綱領の中にしっかり入れてますし、長妻さんが言ったように、綱領を作るのに全議員が参加した時、ここでも反対する人はほとんどいなかった。なぜならそれは我々が共有している考え方で、官でもなく民でもなく、その中間にあるものをすべての人たちが支えあって作って、それが主になるようなものを私たちは目指している。でもそうすると、やっぱり官僚の反対もある、あるいは民の部分の、ビジネスチャンスを逃してしまう人たちの、ものすごい抵抗もある。これには政権をとっている時の私たちはすごい戦ってきました。野党になっても戦ってる。じゃあ、それをどういう風に戦っていくか、という時に、与党の時に残念ながら、その民の人であり官の人であり、あるいは団体の人の声を、代弁する仲間が出てきたのは事実です。なぜなら、与党というのは責任をもって、いろんな声を代弁するから。その時の優先順位を新しい公共に特化できればよかったんですけれど、そこの特化が残念ながらずれた部分もあったんですね。だから今、私たちが何をしているのかというと、新しい公共を中心としてやっていくという時、参議院議員のマニフェストを作る時に、政調の中の限られた人だけで作るんじゃなくて、骨格は作りますが、どれを削いでいってどれを優先していくかというのは、全議員でバイアスをかけてきっちり議論しようと。これまでは実は地方の声を吸い上げてなかったんです。中央では、我々は地方を優先すると言っておきながら頭でっかちだった部分があったので、ネットで、テレビ電話でつないで、全地域とその自治体議員に集まっていただいて、政策担当者と議論をして、どれを優先するのか?ということは相当詰めてきています。これは表に見せる作業じゃないんでね。今までバラバラになってしまった部分をみんなで責任をもって、一緒になって議論をしたよね、あの時納得したよね、もう決めたことに対して、表だって悪口を言うのはやめようという方向に、いま相当修復してきてると思います。


(堀)

調整しなければいけないところと、調整をしていく中で、党の目指した理念であったりとか、党の結束というものが揺らいでいった、というお話でしたけれども、じゃあ次を目指して具体的にどういったアプローチ、どういった戦いを、経団連を含めて戦わなければならない人たちに対して策を打って出るのか、これからの作戦というのをぜひ聞きたい。

 
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