• このエントリーをはてなブックマークに追加
麻雀最強戦2015全日本プロ代表決定戦レポート
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

麻雀最強戦2015全日本プロ代表決定戦レポート

2015-10-22 19:00

    強くなりたくてプロ入り

     キャリアも実績も関係なく、優勝すれば最強戦ファイナルへの道が開ける。それが全日本プロ代表決定戦である。予選会場には、他の代表決定戦にも出場したプロの顔もちらほら見える。182名参加の予選から翌日の代表決定戦に進むのは僅か8名。勝ち上がった選手の中に、プロ1年目の江崎文郎の姿もあった。

    724ff49d7a0e64a5b12573363dc6369a23a85b13

     今年30歳の江崎。他のプロに比べやや遅いプロ入りである。
    江崎「麻雀が強くなりたかったのでプロ試験を受けました」
     サラリーマンと麻雀プロを両立させている大学の先輩。その存在に江崎は刺激を受けた。江崎のサラリーマン生活は6年目、土日祝日などの休日は確保できる。そこでリーグ戦が休日に開催されているプロ協会を受験し、合格した。だが合格後、江崎は先輩プロの麻雀に驚愕した。
    江崎「今まで何となく感覚で打っていた自分の麻雀が如何にダメだったかを思い知りました」
     そこで江崎は日常生活にメスを入れた。普段の仕事を効率的にこなし、できるだけ麻雀を打つ時間を作るようになる。週に一度は矢島亨プロ主催の研究会『やじ研』に参加。他の日も競技ルールのセット麻雀を積極的に行った。そして出られる大会は全て出た。その甲斐あって、江崎は全日本プロ代表決定戦の2日前に開催された大会で見事優勝を決めている。そして今回も厳しい通過率を突破して代表決定戦へ駒を進めてきた。
     この日は運も味方した。トップのみ勝ち上がれる予選最終戦では、ダントツの打ち手がラス前で国士を放銃し、繰り上がった江崎がそのまま勝ち上がりを決めたのである。

    裏ドラに賭けた理由とは?

     翌日の代表決定戦、江崎は予選B卓に振り分けられ、秋葉啓之・藤井すみれ・荒木栄二の3名が相手となった。

    9f5068073ac1757b578c911e37bfc8a1361ef24a

     そのB卓は藤井がリードする展開。

    42cef23ab1851a11c5e5ed302409eb42c22a3be0

     江崎はなかなか主導権が取れずに苦しんでいた。ラス前、荒木がハネ満をツモりトップが逆転。

    9e1a2949ceb385ac4ec9f8f250b9ca47ee68219a

     江崎の目標は藤井となった。満貫差を逆転すべくオーラスへ臨む。
     西家・江崎はタンヤオ含みの好配牌を手にし、4巡目にカンpai_s_6m.jpg待ちでテンパイした。

    205f3a380345834fb9a4f5ec3b8a7f5d42c0b8f9

    江崎の手牌
    pai_s_2m.jpgpai_s_3m.jpgpai_s_4m.jpgpai_s_5m.jpgpai_s_7m.jpgpai_s_3p.jpgpai_s_4p.jpgpai_s_5p.jpgpai_s_7p.jpgpai_s_3s.jpgpai_s_3s.jpgpai_s_5s.jpgpai_s_6s.jpgpai_s_7s.jpg ドラpai_s_2p.jpg

     だが、リーチをかけても満貫にはツモって裏ドラが必要。さすがにリーチはかけられず打pai_s_7m.jpgでテンパイを崩す。が、その次巡でpai_s_4m.jpgを引き、今度はピンフのつくリャンメン待ちになった。

     ここで江崎はリーチに踏み切った。一発以外は裏ドラ頼みになるが江崎はそこに賭けた。



     実は、予選A卓でも似たような状況があった。予選A卓は日向藍子・古本和宏・須藤泰久・大島智の組み合わせ。
    a3fbafaa785e0330ba839db85fe2dcaba6301fef

     ラス目・古本は満貫ツモか2着の大島から5200直撃が必要だった。
    43d77d79a28518afd061304f4d8b606724336727

     ドラ1枚のテンパイを入れた古本は裏ドラに賭けてリーチ。そのロン牌が大島から出たが、待望の裏ドラは乗らず敗退した。

    f0ca8090c810bb0ed6d4fb46f6957989bbc92bb4



     裏ドラが乗らなかったら負け。それを直前に見ている江崎にも、不十分な手牌からのリーチが良いのかどうかの葛藤があったはず。まだ5巡目。ドラのpai_s_2p.jpg引きやpai_s_5m.jpgツモで高めイーペーコーの変化もある。それを放棄するリーチでよいのかどうか?

    江崎の手牌
    pai_s_2m.jpgpai_s_3m.jpgpai_s_4m.jpgpai_s_4m.jpgpai_s_5m.jpgpai_s_3p.jpgpai_s_4p.jpgpai_s_5p.jpgpai_s_3s.jpgpai_s_3s.jpgpai_s_5s.jpgpai_s_6s.jpgpai_s_7s.jpg ドラpai_s_2p.jpg

    江崎「A卓の『裏ドラ乗らず』も見ていましたが、この時は特に頭にはよぎりませんでした。手替わりについては、マンズが変化してもそこからさらに条件がつくため、本当に欲しいのはマンガンが確定するpai_s_2p.jpgだけです。その1種類だけのために裏ドラ条件の出アガリを放棄し、他家を自由に打たせるのは見合わないと思いました」

     この待ちが、同じく満貫条件の秋葉から出た。ゆっくり裏ドラ表示牌をめくる江崎の手に注目が集まる。開かれた牌は*四だった。これで荒木・江崎の決勝進出が確定した。


    荒木の追い込みを完封し優勝

     決勝は、日向・荒木・大島・江崎の並びで始まった。
    e618cae9267b6e95d6f1c58e53103fc4c08405a3

     実力・実績からすれば荒木が抜けている。
    f606284833c189c30e0c80555b1644ad29248703

     その前評判通り、東3局までは荒木が場をリードしていた。だが、そこへ江崎の一撃が飛び出した。
    13c2168dca5a113f65c9ea6b7417378c34b29c8d

    東4局 東家・江崎のアガリ(すっげぇ一打参照)
    pai_s_3m.jpgpai_s_3m.jpgpai_s_7m.jpgpai_s_8m.jpgpai_s_9m.jpgpai_s_7p.jpgpai_s_8p.jpgpai_s_2s.jpgpai_s_3s.jpgpai_s_4s.jpgpai_s_5s.jpgpai_s_6s.jpgpai_s_7s.jpg リーチ一発ツモpai_s_9p.jpg ドラpai_s_3m.jpg 裏ドラpai_s_2m.jpg

     このアガリで大きくリードを広げた江崎は、ここで優勝を意識したという。
    江崎「自分の選択がいい方向にハマった! と思いました」

     南入後、最大の関門である荒木の親では、10巡目に荒木のリーチがかかるが、江崎は荒木に一度もツモらせずにアガりきる。

    南2局 西家・江崎のアガリ
    bf47f5d8a8630eb225a747baedf534e0a8c145cb

     だが、親が落ちた荒木もラス前で満貫をツモって、オーラスを迎えた。江崎と荒木の点差は5200点。トップめ江崎が親なので1局勝負だ。ただ、荒木の条件も重くないため、江崎ものんびりと流局を待つわけにいかない。自力決着をつけるべく、食いタンに走る。一方の荒木はツモがなかなかかみ合わず、12巡目でイーシャンテン。

    7436adc986422a2ea7d71352f2312d5c29bcda1b

    荒木の手牌
    e725934fafcc4d80585d52a8048fddba0d17ea92

     だが、次巡にpai_s_9s.jpgを引いた瞬間、状況が一変した。pai_s_9s.jpgを暗槓した荒木の手はpai_s_3p.jpgを引いてテンパイ。しかもカンドラがpai_s_9s.jpgになり、文句なしの逆転手に化けたのだ。半ば諦め気味だった荒木自身も一気にテンションが上がる。当然、即リーチだ。待ちのpai_s_1p.jpgが山に1枚生き。だが、荒木は一回のツモすら引けず勝負が決着した。

    江崎のアガリ
    b2704c354d525574335b129931bed05e1f0f4422

     まさに金本大会委員長のテーマ「高速エレベーター」を実現させた瞬間だった。
    江崎「一番嬉しかったのが、『やじ研』のメンバーからの祝いの言葉でした。競技麻雀について数多くのことを教えていただいた研究会に優勝報告出来たのが本当に本当に嬉しいです」
     12月、再び同じ報告ができるように江崎はファイナルへ臨む。

    すっげぇ一打

    決勝戦 東4局7巡目 東家 江崎文郎 27600(2着目)

    pai_s_3m.jpgpai_s_3m.jpgpai_s_7m.jpgpai_s_8m.jpgpai_s_5p.jpgpai_s_7p.jpgpai_s_2s.jpgpai_s_3s.jpgpai_s_4s.jpgpai_s_5s.jpgpai_s_6s.jpgpai_s_6s.jpgpai_s_7s.jpg ツモpai_s_9m.jpg ドラpai_s_3m.jpg

    親でドラ2のテンパイを入れた江崎。が、ここで江崎はリーチでもヤミでもなく、打*pai_s_5p.jpgのテンパイ崩しに出る。その意図はどこに?

    江崎「打点的には十分でも、カンpai_s_6p.jpg待ちのリーチには全く自信がない。ソーズの多メンチャンかピンズの上の変化をみました」
     打pai_s_5p.jpgを選んだのは、pai_s_8p.jpgツモのpai_s_6p.jpgpai_s_9p.jpg待ち以外に、pai_s_9p.jpgツモでのカンpai_s_8p.jpg待ちも想定していた。前巡に捨てたpai_s_5p.jpgにより、通常のスジ待ちより出が期待できるのだ。結果、江崎はpai_s_8p.jpgツモで打pai_s_6s.jpgのリーチ。pai_s_9p.jpg一発ツモの親ハネで優勝に大きく前進したのだ。

    東4局 東家・江崎のアガリ(すっげぇ一打参照)
    pai_s_3m.jpgpai_s_3m.jpgpai_s_7m.jpgpai_s_8m.jpgpai_s_9m.jpgpai_s_7p.jpgpai_s_8p.jpgpai_s_2s.jpgpai_s_3s.jpgpai_s_4s.jpgpai_s_5s.jpgpai_s_6s.jpgpai_s_7s.jpg リーチ一発ツモpai_s_9p.jpg ドラpai_s_3m.jpg 裏ドラpai_s_2m.jpg

    チャンネル会員ならもっと楽しめる!
    • 会員限定の新着記事が読み放題!※1
    • 動画や生放送などの追加コンテンツが見放題!※2
      • ※1、入会月以降の記事が対象になります。
      • ※2、チャンネルによって、見放題になるコンテンツは異なります。
    ブログイメージ
    麻雀最強戦ブロマガ
    更新頻度: 未定
    最終更新日:
    チャンネル月額: ¥880 (税込)

    チャンネルに入会して購読

    コメントを書く
    コメントをするにはログインして下さい。