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ラーメンレビュー 山本増刊40号
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ラーメンレビュー 山本増刊40号

2016-12-29 22:00

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    ■「ラーマガ」本誌に載せきれなかったレビューを掲載する「ラーメンレビュー増刊号」です

     「ラーマガ」本誌では、各号で7件の個別レビューを掲載しています。遠征や連食などで、そこに収まらない私のレビューを、随時「ら~マニア共和国」で掲載します。

     今回は年末限定の「金乃武蔵」をはじめ、ラー博の卒業限定2軒をレビュー。「TCKラーメン☆餃子フェスタ」の速報を含め、全編無料公開です。ラーマガ本誌と合わせてお楽しみください。

    □目次

    1.「金乃武蔵」レビュー

     ・麺屋武蔵武骨@御徒町

    2.ラー博「卒業ラーメン」レビュー

     ・カーザルカ@ラー博
     ・元祖名島亭@ラー博

    3.「TCK ラーメン☆餃子フェス2016」速報


    1.「金乃武蔵」レビュー
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    【麺屋武蔵武骨@御徒町】
    「熊武骨」2,160円
    ※12/28~12/31、1日10食限定

     2016年、毎月1回、武蔵の各店舗で提供されてきた「金乃武蔵」。「革新的で上質」をテーマにしてきたこのシリーズのトリを飾るのは、「武骨」が繰り出す「熊」をテーマにしたこの一杯。宮本武蔵終焉の地が「熊本」だったというのはやや強引に思えるが、冬眠する為に栄養を蓄える熊を味わってほしいというのが理由との事。熊肉については臭いや固さを気にする人が多いが、その先入観を覆す一杯になったとのこと。でも、考えてみれば、熊肉をちゃんと食べた記憶などない(汗)

     スープにはローストした熊骨を使って煮出したもの。熊骨自体には髄のエキスがあまりないそうだが、骨についた肉が出汁のポイントになったという。「一番出汁」だけではやや匂いが強かったため、残った骨を再度煮出した「二番出汁」とブレンドして、熊のクセを抑えながら、まろやかな存在感に繋げている。

     天然醸造味噌には、蜂蜜でキャラメリゼした「熊油」を加え、木の実を練り込んでいて、味噌を中心にした香りが力強く、どんどん広がっていく。

     麺はやや固めの武骨麺が180g、具には体を温める効果や滋養強壮にもいいと言われる熊肉を使用。それも脂が乗った京都と青森産のツキノワグマバラ肉を100g。このボリューム感も武骨らしい。〆にご飯も提供されるのでスープに入れて、一杯で満腹。インパクト溢れる、熊の力を受け止められる一杯だった。

    アメ横は 売り子の声と 熊の肉


    麺屋武蔵武骨
    東京都台東区上野6-7-3
    JR「御徒町」駅から徒歩3分


    2.ラー博「卒業ラーメン」レビュー
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    【カーザルカ@ラー博】
    「イタリアの海そして風 ミラノボンゴレロッソ」1,200円
    ※1/9まで

     イタリア・ミラノに本店を置き、2015年5月からラー博に出店していた「カーザルカ」が、2017年1月9日に卒業される事が発表された。その後3種類の「卒業ラーメン」が販売される事になったが、それがこの3杯目、オーラスの卒業ラーメンになる。店主のルカさんが飲食業で修業していたニューヨークで初めて出会い、ラーメン店を開くきっかけになったのが一風堂のラーメン。今回は河原店主とのコラボによって仕上げた一杯になっている。

     スープは「ミラノとんこつラーメン」で使っているあっさりした豚骨スープをベースに、ホタテ貝柱をメインにした和出汁と、アサリとトマトを使ったボンゴレスープをブレンド。デュラム小麦を使った中細麺がその中に入っていく。具にはアサリやイカ、トマトだけでなく、海老を加えた挽肉がたっぷり入ってボリューム感もある。後半はレモンを絞って味変も楽しめる。チャンポンのイメージも込めた一杯ではあるが、麺にもう少し力があっても面白かった。とはいえ、スープパスタのようでもあって完成度の高い一杯。あさりの殻の処理が面倒なこと以外は楽しめると思う。

    ミラノへの 風にチャンポン 受け渡す

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    カーザルカ
    神奈川県横浜市港北区新横浜2-14-21 新横浜ラーメン博物館B2
    各線「新横浜」駅から徒歩7分


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    【元祖名島亭@ラー博】
    「名島の冬タンメン」900円
    ※1/25まで

     ラー博からはもう1軒、2015年2月に開店した「元祖名島亭」が、2017年2月26日での卒業が発表された。こちらも12/20から、3種類の卒業ラーメンが販売される事が発表されていて、まずは第一弾の「名島の冬タンメン」が発売されている。これは今年の札幌ラーメンショーに出店した「名島亭スペシャル」をベースにした一杯。

     スープは名島亭の、あっさりしてうっすら濁らせた豚骨スープ。そこに乗るのは、キャベツ、モヤシ、ニンジンなどのたっぷりの野菜。キャベツのシャキシャキ感が残っているので、もう少しスープと合わせて柔らかめに茹でてもいいかな、と思った。固さ口の中でほぐしながら食べるのは、若干時間がかかるので。麺は名島亭の細麺を使っているので、野菜を食べる前にある程度引き上げておいて、のびるのを防いでおいた方がよさそう。

     具には大きな豚バラチャーシューと半熟味玉半分、そして多めの青ネギ。チャーシューの味付が濃いので、口にする度にスープの旨みがついた舌がリフレッシュされる。

     今後の名島亭では「チャンポン」「原点のラーメン」が卒業ラーメンとして登場予定との事。そちらも楽しみです。

    野菜乗り 豚骨タンメン 賑やかに

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    元祖 名島亭
    神奈川県横浜市港北区新横浜2-14-21 新横浜ラーメン博物館B2
    各線「新横浜」駅から徒歩7分


    3.「TCK ラーメン☆餃子フェス2016」速報

     東京シティ競馬(大井競馬場)では、例年年末の開催に合わせ、ラーメン店を集めたイベントを開催している。以前は内馬場で開催していたが、今年はパドックを抜けて、建物を解体した跡にできた広場「UMILE SQUARE(ウマイルスクエア)」での開催になりました。(東京シティ競馬への入場料が必要になります。大人100円)

     仮設スタンドの手前にラーメンブースが8軒並び、右手には餃子4軒とドリンクブースが並んでいる。トイレはその奥のスタンド内にあるが、そこには煮込みなどの立ち食い立ち飲みスペースもあったりします。

     今回は、ラーメンwalkerが選んだ8軒という事で、百麺人の私もラーメン店の選定に協力させていただきました。そんなわけで、各店舗の紹介を短めですがまとめました。残りは30と31日の昼間。29日が一番混雑していたようで、そこまで並ぶことはなさそうです。

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    【我武者羅】
    「幻の鯛出汁鶏白湯」800円

     店舗では「生姜醤油」を看板にしている「我武者羅@幡ヶ谷」だが、開店当初は、鯛の煮干を使ったラーメンを提供していた。今回のイベントでは、鯛出汁をベースに鶏白湯と合わせ、濃厚さがありながらすっきりした鯛出汁の香りが嬉しい。チャーシューも高級感ある仕上がり。

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    【ど・みそ】
    「濃厚東京スタイル味噌ラーメン」800円

     京橋の本店をはじめ、関東各地に店舗を広げる味噌ラーメン専門店。味噌ダレをスープで割る「東京スタイル味噌」を看板にしている。味噌味に胡麻も香らせ、たっぷりのチャーシューやほうれん草、そしてモヤシの上に乗せられたコーンの甘さが、味噌ラーメンらしさを出している。

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    【パパパパパイン】
    「パイナップル塩ラーメン」800円

     パイナップルラーメンとして話題を集める「パパパパパイン」、この手のラーメンイベントへの出店は初めてらしい。というか、誘う側も一瞬躊躇してしまいそうだけど、店主が出店に積極的だったとか。魚介ダシとパイナップルの汁を加えて甘さと酸味をプラス。塩味と海老塩味から選べるという所もお店と一緒。

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    【自家製熟成麺 吉岡】
    「自家製チャーシュー麺」800円

     目白で居酒屋の間借り営業をしながら、人気を集めるこちら。今回は鶏ガラベースに煮干がきいて澄んだスープに細麺をあわせ、具には丼を覆うたっぷりのチャーシュー。肩ロースを使っていて味付けがしっかりしている、熟成させた細麺がしなやかな食感を持っている。実は、澄んだ醤油ラーメンは8ブース中ここだけ。

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    【麺匠 うえ田】
    「渚の担々麺」800円

     熱海に本店を置く「うえ田」が、今回は本店でも人気の新メニューを持ってきた。澄んだスープには丁寧な旨みが感じられ、そこにじんわりとした辛さ。中央に乗っている挽肉に辛さと山椒によるしびれが集中しているので、これをスープに溶かすことで一気に辛味が広がる。鶏団子を交互に食べると舌がリフレッシュされる。

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    【味噌屋八郎商店】
    「炙り豚バラ味噌らーめん」800円
    ※写真は炙り豚バラチャーシューと味玉トッピング


     「なんつッ亭」グループの味噌ラーメン専門店として、新宿と下北沢にある店。今回は豚骨スープに濃いめの味噌ダレを合わせた味噌ラーメンに、炙り豚バラチャーシューをトッピングさせたもの。味噌には辛味も加えられていて、寒い時に嬉しい味付け。マー油とモヤシの相性もしっかりしている。

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    【牛骨らぁ麺 マタドール】
    「黄金の鶏塩中華そば」800円

     北千住では牛骨を使った醤油・塩・味噌ラーメンが人気の「マタドール」だが、今回のイベントでは鶏を使って澄んだ塩ラーメンを提供。澄んだ中に独特の味わいを出している。トッピングでは、店でも人気の「焼牛」なども提供。

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    【信州鶏白湯 気むずかし家】
    「鶏白湯ラーメン」800円

     長野でラーメンブームを巻き起こした「気むずかし家」がラーメンイベントに登場。濃厚な鶏白湯スープに中太麺を合わせ、食べごたえのある一杯に仕上げている。 別皿には削った鮭節。この鮭節をスープと交互に口に含んでもいいし、スープに乗せてかき混ぜれば、鮭節の味が徐々に強くなって楽しめる。


    ■編集後記

     大井競馬場のラーメンイベントは、何軒か決まっている所に残り分をお願いして回る形で担当させていただきました。既に決まっている店の中には「自分だったら声をかける事を考えていなかった」店もあって、自分の見聞の狭さを思い知らされました。

     あとは年末のラーマガ本誌を書かなければ~!


    1d12777c7c29bf73cd6d25efb0e1b67a4b35bee3山本剛志:ラーメン評論家、ラーメン王。1969年生まれ。東京都出身、東京都在住。TVチャンピオン第6回ラーメン王。ぐるなび「メシコレ」キュレーター。「ラーメンwalker」百麺人。

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