北島秀一・山路力也・山本剛志 共同責任編集
【目次】
□クロスレビュー「必食の一杯」
■ラーメン活動月報(1月)
□告知スケジュール
■編集後記
■巻頭コラム
『サービスの心とは?』北島秀一
京都「新福菜館」が新横浜ラーメン博物館に出店したのは1997年の事。この当時、まだ首都圏のマニアでも新福を食べた人は多くなく、また首都圏でも本物の京都ラーメンを出す店は少なかった事もあり、たちまち人気店となった。私も一時期は大いにハマり、ラ博に行くとまず新福。で、それから一風堂に向かうかすみれにするかそれとも別のどこかにするか決める、と言う状態になっていた。余談ながら、山本氏がこの時の新福にどっぷりハマってラーメンマニアとなり、その後ラーメン王まで上り詰めたのも有名な話だ。
さてこの新福、開業から暫くの間、店主、店主家族を含め、メインのスタッフを京都から動員していた。新福としても初の関東出店で大いに力が入っていた訳で、その頃のフロアでは雅な京言葉での接客だったのだ。ラーメン屋と言えば男性の大声での接客で、ガサツで当然と思っていた私にとってはカルチャーショックだったし、同様の感想がインターネットの掲示板や日記などにも散見されていた。特に食べ終わって店を出る時、にっこり笑って「おおきに」と言われると、ちょっとほわほわしたりもした。
それから数年後くらいかな。首都圏某所にとある京都系のお店が進出。老舗ではないが、新進気鋭の新店として私を含めて何人かのマニアは既食でもあり、友人数人と期待を込めて訪問してみた。店内は、もちろん普通に首都圏の学生バイト中心の接客。特に問題もなく、ラーメンもきちんと美味しく満足しながら出ようとしたら、バイトの兄ちゃんが「おーきに!」と叫びおった。むろん京言葉のニュアンスなどなく、ごくごく普通の関東弁のイントネーション。思わずたたらをふんで、我ながらドリフのコントかと思うくらいずっこけそうになった。クルマに戻ってから友人達と「そうじゃないんだよなあ」「なあ」と盛り上がったのは言うまでも無い。
要するに、店のサービスとか雰囲気は、結局それぞれのお店が考え抜いて努力して築き挙げたり醸し出したりする物。評判になっているからと言って、マニュアルで表面上だけ真似をしても誰も感動してくれないよと言うお話。ちなみにそのお店は、あまり長続きせずに撤退したと言うのがオチ。【ラーマガ013号(2014.2)より転載】
□クロスレビュー「必食の一杯」
一杯のラーメンを三人が食べて語る。北島、山路、山本の三人が、今最も注目しているラーメン店の同じ一杯をクロスレビュー。それぞれの経験、それぞれの舌、それぞれの視点から浮かび上がる立体的なラーメンの姿。今回は今年1月、錦糸町にオープンした新店「真鯛らーめん 麺魚」の「真鯛らーめん」を山路と山本が食べて、語ります。
「真鯛らーめん」800円