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第297号 2018.12.25発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…今年一番の出来事は、何といっても4月に『ゴーマニズム宣言』が「週刊SPA!」で23年ぶりに連載再開したことである。この復活劇は、アンチ・小林よしのりの連中にとっても相当に大きな脅威として映ったようで、今年は特にバッシングや誹謗中傷が吹き荒れた。匿名のネトサヨはともかく、マスメディアに実名で登場し、反論した気になっている左翼言論人の劣化が酷い!!単なる「商業アンチ」の陰謀論めいた駄文が重宝される原因とは??
※泉美木蘭の小説「わたくしのひとたち」…先週に引き続き、怖い怖いミクシィのお話。日本で二番目に古い招待制SNS(当時)「ミクシィ(mixi)」…そこには“認識されたい欲”全開の人々が寄り集まり、日々、心の空白を埋めるためポエムな日記を書き連ねていた。SNS創成期の黒歴史…身に覚えのある人も多いのでは!?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!“正義を貫き勇猛果敢に闘う人生”なんて優等生や超人にしかできないのでは?「走れメロス」を巡って友人と押し問答!どうすれば良い?7歳少女の素朴な疑問…おばあさんのサンタさんはいないの?なぜ“ギャグ漫画”でデビューしたの?国際捕鯨委員会からの脱退をどう思う?正月にはどんなジャンルの映画を見るのがオススメ?お笑いの分野では、やっぱり女は男に勝てない?…等々、よしりんの回答や如何に!?


【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第306回「倉橋耕平という劣化サヨク」
2. しゃべらせてクリ!・第254回「輝く?しゃべクリアワード2018!」
3. 泉美木蘭の小説・わたくしのひとたち「怖い怖いミクシィのお話 その2」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記




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第306回「倉橋耕平という劣化サヨク」

 平成30年もあと1週間。
 今年は何といっても4月に『ゴーマニズム宣言』が「週刊SPA!」で23年ぶりに連載再開し、12月に単行本『ゴーマニズム宣言2nd season』第1巻が発売されたことが大きな出来事だった。
 65歳にして週刊連載、しかも毎号違った題材で描いていくことなどできるのだろうかとの危惧も当初はあったが、実際始めてみれば、毎日でも描きたいこと、描かねばならないことが次から次に出てきて、ネタは貯まる一方で消化しきれない状態になっている。
 この『ゴー宣』復活劇は、ライジング版「今年の出来事」の第1位に選ばれ、読者にとっても非常に大きなことだったようだが、これはアンチ・小林よしのりの連中にとっても相当に大きな脅威として映ったようだ。今年は特にわしに対するバッシングや誹謗中傷が多く、ついには立憲民主党の公式ツイッターがわしに関するデマを書いた記事を拡散する事態まで起きてしまった。

 とはいえ匿名のネトサヨはともかく、マスメディアにまで実名で登場してわしの悪口を言っていた者は実際のところ、二人しかいない。文筆家の古谷経衡と、社会学者の倉橋耕平だ。 
 以前は朝日新聞が社説まで使ってわしを批判してきたものだが、近年のわしは安倍政権を徹底批判し、安保法制にも共謀罪にも反対するなど、左翼とも歩調の合う意見も多く、時々朝日の紙面にも登場するようになっているから、朝日新聞はわしを批判しにくくなっている。
 そんな中で、とにかく小林よしのりを全否定するような論調を唱える者がいれば、左翼メディアは大喜びで飛びつくのだ。
 ところが生憎、そんな無謀な左翼言論人もなかなかいない。かくして出番は古谷と倉橋というチンカス言論人に回ってくるようになる。彼らはわしを批判することで仕事がもらえる「商業アンチ」なのである。
 
 中でも倉橋耕平なる者に至っては、わしを批判することで初めてメディアに出てきた、全く無名の人物である。
 プロフィールを見ると1982年生まれ、関西大学大学院で社会学の博士号を取ったらしいが、現職は「立命館大学ほか非常勤講師」。大学の非常勤講師なんか「高学歴ワーキングプア」のアルバイトみたいなもので、何の肩書にもならない。
 どうやら倉橋は博士号を取得しながらマトモに就職できなかった、典型的な「野良博士」らしい。肩書は「社会学者」だが、確たる実績がなければそれはあくまでも「自称」でしかない。

 倉橋は今年2月に『歴史修正主義とサブカルチャー』という著書を出版、その中の1章を「『慰安婦』問題とマンガ――『新・ゴーマニズム宣言』のメディア論」と題して、わしへの批判に充てた。
 これが左翼業界内で評判になり、「世界」10月号に論文が掲載され、ついには朝日新聞10月24日付のオピニオン面に写真付き4段組みのインタビューが載った。
 また、「世界」の論文は掲載から3か月も経った12月20日の朝日新聞「論壇時評」で小熊英二がわざわざ取り上げ、評価している。
 一介の野良博士が、わしを批判しただけで左翼メディアにこぞってちやほやしてもらえて、いっぱしの「識者」の扱いで朝日新聞にまで登場できるのだ。
 社論としては書けないようなことを、外部の「識者」に言わせて載せるというのは、朝日に限らず新聞の常套手段である。
 朝日新聞は、社論としてはわしの批判がしづらくなってしまったが、それでも社の内部にも、読者にも、わしを嫌う硬直左翼がまだまだ大勢いる。そんなところにわしを批判する本を出した者がいるとなれば、そりゃもう大喜び。それが本当に「識者」なのかどうかなんてことはどうでもよく、紙面に載せてしまうのだ。

 もちろん、野良博士だろうと誰だろうと、正当な批判であればわしは真摯に耳を傾ける。
 だが倉橋の主張は、実に愚にもつかない代物なのだ。