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 石川 温の「スマホ業界新聞」

                                                  2013/02/24(vol.023)

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《目次》

1.iPhoneは本当に「売れていない」のか

━━実は隠れたベストセラーのiPhone4S

2.開発プロデューサーが語る「MEDIAS W」

━━ 折りたたみ2画面にNECカシオの本気を見た

3.ドコモが「ショッぷらっと」サービスを開始

━━O2Oでどこまで存在感を示せるか

4.今週のリリース&ニュース

5.編集後記

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1.iPhoneは本当に「売れていない」のか

━━実は隠れたベストセラーのiPhone4S

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 ここ最近、度々「iPhoneの勢いが止まった」という報道が話題となっている。つい先日も、日経新聞が「鴻海、iPhone中国工場で従業員募集停止 販売減速 」(2月20日付け)と報じたばかりだ。様々な報道を受けて、iPhoneが不調であるため「販売数をのばすためにも、ドコモから発売されるのではないか」という憶測も呼ぶほどだ。 

 だが、不調が伝えられている割には、アップルの2013年第1四半期(2012年10~12月)決算ではiPhoneの販売台数が過去最高を記録している。生産の現場では「不調で減産処理に入った」と伝えられ、販売の現場では「過去最高を記録」という矛盾した報道がなされている。実際のところ、どうなのか。 

 IDC ジャパンの木村融人氏は「アップルは昨年12月16、17日あたりにiPhone5の減産を決めたようだ」と語る。12月16、17日といえばクリスマス前に当たる。iPhone5が販売を開始したのは9月21日。アメリカなどはクリスマス商戦が最も盛り上がるはずなのに、その渦中に早くも減産を決めたとは驚きだ。 

 年末から年明けにかけて、「各部材メーカーに対して計画から減産するという通達があり、中には春頃にはすべての生産がストップするメーカーもあるようだ」(関係者)というほどだ。 

 日本にいると、ソフトバンクとKDDIがiPhone5を売りまくっているため「不調報道」にはいまいちピンと来ない感がある。しかし、思い起こせば、発売当初は売れ行きもよく、在庫がなくて「買いたくても買えない」状態であったはずが、11月あたりには一気に在庫薄が解消されて、すぐに買えるようになった。また、今週からはKDDIがiPhone5のキャンペーンを展開。MNPで2万円のキャッシュバックを展開するなど、販売でテコ入れをしている感がある。どうやら背後には「世界的にiPhone5が売れていないので、アップルが売れる見込みがある日本での在庫を増やしている」という理由があると伝えられている。 

 では、なぜ世界的に売れていないのか。ひとつの理由として指摘されているのが「LTE」だ。世界的に見れば、LTEのネットワークが充実している国は限られている。LTEが使えることが魅力のiPhone5ではあるが、国によってはLTEネットワークが一部しか使えない、またはLTEの電波すら飛んでいない国も多い。そんななか「LTE対応のiPhone5を買うメリットがない」という国が圧倒的に多いのだ。