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山田玲司のヤングサンデー 第282号 2020/3/23

ワニと黒死病

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もうウンザリかも知れないけど、先週のネット界隈では「ワニの話」で持ちきりだった。


Twitterでの1ページ連載で「100日後に死ぬワニ」というタイトル。


内容は「普通の若者」であるワニくんの日常だ。

ワニは平凡で大した取り柄もないけど、優しい。


彼の日常はあくまで普通で、特に大きな事件が起こるわけではない。


でも読者は、ワニが「100日後に死ぬ」という事を頭に入れて読むという仕掛けのために、彼の何でもない日々が愛おしく見えるわけだ。


この構成は「余命もの」のバリエーション一つだ。


黒澤明の「生きる」から、クドカンの「木更津キャッツアイ」まで、お馴染みのやつで、最近でも「君が死ぬまであと100日」みたいな漫画が発売されている。


「ワニの漫画」は、少し前の映画「横道世之介」がかなり近い。


この映画も近く死ぬ事になる「優しい若者」の何でもない日々が描かれている。

(おすすめですよ)




実はこの手法、あざとく見えるので避ける人も多くて、僕もやらなかったのだけど、「漫画の終わり」をテーマにした「シカーダ」で初めてこの手法を使った。


当時の僕は、このままだと「漫画」そして「漫画にあった自由」が死んでしまうと思っていたので、その危機感と思いを、余命わずかなヒロイン「ロルカ」に託したわけです。




ところで今回の「ワニ漫画」は、漫画が個人発信のインディーズ漫画に見せつつ、実は大手企業の盛大なタイアップ企画だという事がわかって失望した人が多かった。


その議論に関しては「いつものやつ」なので、ディスカバリーレイジチャンネルで語ろうと思うんだけど、それより興味深いのは、今回の「ワニの死」が「コロナパンデミック」と重なっていた事だ。

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「死」を思うこともなく、平凡な日々を送っていた「ワニ」


皮肉な事にこの連載でワニの死に合わせたかのように新型ウイルスという「死の匂い」が近づいてきた。



大手企業のタイアップはともかく、このウイルスに関しては偶然としか思えない。