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第9回「都市鉱山リサイクル」(田中貴金属工業株式会社様実施)を行いました
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第9回「都市鉱山リサイクル」(田中貴金属工業株式会社様実施)を行いました

2016-12-08 18:00
    12月4日に,貴金属の回収技術で世界をリードする田中貴金属工業株式会社の奥田湘南工場長と武富マネージャーが来学され,小中学生7名に貴金属の回収技術として使われている都市鉱山リサイクル技術の実験を,ご指導していただきました。

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    図1 奥田工場長による資源に関する講義 
      
    一般に金属は鉱山から運び出された鉱石から取り出されています。しかし,もし,鉱石よりも多くの貴金属を含む資源があったとしたらどうでしょうか。実は,私たちの身の周りにあるパソコンやスマートフォンなどにも貴金属が含まれていて,その量は鉱石よりも遙かに多いのです。そのため,こうした都市に眠る資源から貴金属を回収することができれば,小資源国とよばれる日本も大きな資源を得ることができます。それが,田中貴金属工業株式会社が開発している都市金属鉱山リサイクル技術です。
    講座では,こうした都市金属鉱山リサイクル技術にまつわるポイントについて講義をしていただいたのち,実際に銀と金の分離回収に挑戦しました。今回ご指導いただいた実験は,実際の回収技術として用いられる手法を基本としています。

    【1】銀の単離実験 
    銀の単離実験では,銀と銅の混合水溶液から銀だけを回収して単離しました。銀と銅は,どちらも基板の配線などに用いられている金属ですので,実際の回収技術でもふたつの金属を分離して単離する技術は重要です。今回の実験は色の変化が豊富なため,実験の進み方がわかりやすいことも特徴でした。

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    図2 青い水溶液(銀と銅の混合水溶液)に飽和食塩水を加えると白色沈殿が落ちました

    銀と銅の青い混合水溶液に塩化ナトリウム水溶液を加えると,塩化銀の白色沈殿が得られます。塩化銀にヒドラジンを加えて還元すると,黒色の銀が得られます。次々と変わる色が金属の状態を表しており,受講生は興味深く色の変化を観察しました。

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    図3 (左)塩化銀を還元して銀に戻しました,(右)ろ過で銀を回収しました

    得られた黒色沈殿は,そのままでは銀には見えませんが,薬さじでこすると,もっとも反射率の高い銀の金属光沢を観察することができました。

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    図4 還元して単離した銀。黒い沈殿ですが薬さじでこすると金属光沢が観察できました

    【2】金の単離実験
    金の単離実験では,溶媒抽出とイオン交換樹脂のふたつの実験を行いました。回収した資源に金が含まれる量によって,ふたつの分離技術を使い分けていることを学びながら,受講生は慎重に実験を行いました。

    【2-1】溶媒抽出 
    金の水溶液に抽出溶媒を加えて分液操作をすると,最初は水相が黄色,油相が透明でしたが,操作後は油相が黄色に,水相が透明になりました。水にとけていた金が抽出溶媒に溶けることで,金を簡単に単離することができました。

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    図5 (左)分液ロートで金を溶かした水溶液から抽出溶媒に金を抽出しました,(右)静置すると水相(分液ロートの下側)にあった金が,有機相(分液ロートの上側)に移りました 

    その後,金イオンを還元して単体の金を取りだすことに成功しました。単離した金も,そのままでは金に見えません。そこで,銀の場合とおなじように薬さじでこすると,金の美しい光沢を観察することができました。

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    図6 還元して取り出した金(一部分だけ金色に見えます)

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    図7 薬さじこすると金属光沢が観察できました

    【2-2】イオン交換樹脂による抽出 
    この他にイオン交換樹脂を使って,基盤によく使われる銅と金の混合溶液から金と銅を別々に単離する実験にも挑戦し,受講生はそれぞれの貴金属を取りだしました。

    私たちに身近なPCやスマートフォンが大きな鉱山になるという不思議や,環境を守り,資源を有効に活用する田中貴金属工業株式会社の活動について学び,受講生は資源やリサイクルの重要性を学びました。環境問題への新しい知見を得ることができ,化学工学という新たな研究者の道についてご示唆をいただく貴重な機会を与えていただいた,田中貴金属工業株式会社に深く感謝します。

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    図8 おまけ(大学生も夢中になっています) 
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