図1 奥田工場長による資源に関する講義
【1】銀の単離実験
銀の単離実験では,銀と銅の混合水溶液から銀だけを回収して単離しました。銀と銅は,どちらも基板の配線などに用いられている金属ですので,実際の回収技術でもふたつの金属を分離して単離する技術は重要です。今回の実験は色の変化が豊富なため,実験の進み方がわかりやすいことも特徴でした。
図2 青い水溶液(銀と銅の混合水溶液)に飽和食塩水を加えると白色沈殿が落ちました
図3 (左)塩化銀を還元して銀に戻しました,(右)ろ過で銀を回収しました
図4 還元して単離した銀。黒い沈殿ですが薬さじでこすると金属光沢が観察できました
【2】金の単離実験
金の単離実験では,溶媒抽出とイオン交換樹脂のふたつの実験を行いました。回収した資源に金が含まれる量によって,ふたつの分離技術を使い分けていることを学びながら,受講生は慎重に実験を行いました。
【2-1】溶媒抽出
図5 (左)分液ロートで金を溶かした水溶液から抽出溶媒に金を抽出しました,(右)静置すると水相(分液ロートの下側)にあった金が,有機相(分液ロートの上側)に移りました
その後,金イオンを還元して単体の金を取りだすことに成功しました。単離した金も,そのままでは金に見えません。そこで,銀の場合とおなじように薬さじでこすると,金の美しい光沢を観察することができました。
図6 還元して取り出した金(一部分だけ金色に見えます)
図7 薬さじこすると金属光沢が観察できました
【2-2】イオン交換樹脂による抽出
私たちに身近なPCやスマートフォンが大きな鉱山になるという不思議や,環境を守り,資源を有効に活用する田中貴金属工業株式会社の活動について学び,受講生は資源やリサイクルの重要性を学びました。環境問題への新しい知見を得ることができ,化学工学という新たな研究者の道についてご示唆をいただく貴重な機会を与えていただいた,田中貴金属工業株式会社に深く感謝します。
図8 おまけ(大学生も夢中になっています)