第5テーマ「水素社会に必要な科学技術」の事前学習課題について,まとめましょう。

研究者とは,どんな人たちなのでしょうか?
あなたなら,どんなことを聞いてみたいですか?


課題2 (有効回答数36)
岩谷産業株式会社中央研究所の荘所研究員へのインタビューを考えよう!


1 みんなの質問は?
質問の内容を整理して以下に示します。内容が重複していた質問に関しては,ひとつのまめて文章を修正しています。みなさんのインタビューの内容は,大きく分けて
・水素について
・研究全般について
の2つの分けることができました。

水素についての質問
  1. 水素ステーションは、全国に何個あるのか?
  2. 水素ステーションを普及させるには何が障害になりますか?
  3. 水素ステーションを作る時、他のものと違い苦労する事は何ですか?
  4. 水素ステーションで1つの機械にどのくらいの水素を入れることが出来るのか?
  5. 今の水素燃料の燃費はガソリンと比べてどれくらい高いですか?
  6. 最初に水素に対応して動くようになったものは何ですか?
  7. 水素にはどんな新しい使い道があると思いますか?
  8. 水素を安全に使うために何に気をつけていますか?
  9. 水素電池は、事故をして電池が壊れたら爆発の危険はないのですか。?
  10. 11月30日のニュースでトヨタがカリフォルニア州ロングビーチに再生可能エネルギーから水素を生み出す大規模な施設を建設すると聞きました。日本では再生可能エネルギーから水素を生み出す施設はどのような所がありますか?
  11. 全ての車が水素自動車になれば、それだけで本当に二酸化炭素の量を減らすことができるのですか。
  12. 水素エネルギーとガソリンを燃焼させた時のパワーの違いはありますか?
  13. 水素ガスをもっと日本で活用するために、私たち小中学生にできること、してほしいことがあれば、どんなことがあるか教えてください。
  14. 水素社会化によって、水素エネルギーは日本の電気の何割を占めることになりますか?
  15. 燃料電池は家庭用の電力エネルギーとして使えますか?
  16. 家電なども水素電池を使ったものは、あるのですか?
  17. 水素を作る方法として,一番効率が良いのはどんな方法ですか?
  18. 荘所先生にとって水素のみりょくはなんですか。
  19. 水素を運ぶ時に一番気を付けないといけないことは何ですか?
  20. 2020年東京オリンピックで世界に発信したい水素エネルギーの技術はありますか?
  21. 燃料電池車の一回の走行のぶんに必要な水素はどのくらいですか。
  22. 燃料電池車と電気自動車では,どちらの電力消費が少ないのですか?
  23. 水素を圧縮して、乾電池のように持ち運ぶようにすることはできますか?
  24. 石油など、どんな資源を利用してもコストは、少なからずかかります。水素を利用する上でのコストは、石油と比べてどのくらい差があるのですか?
  25. 水素の利用効率がもっとも良いのは,どのような状況ですか?
  26. 水素と酸素から水を発生させる化学反応から電気エネルギーを取り出すことは、必要である物質が存在していれば、永遠にエネルギーとして発生させ、活用することは可能ですか?
  27. 水素燃料の開発は日本が世界の最先端と聞きました。その他の国で取り組みに熱心な国はありますか?
研究全般について
  1. なぜ、水素についての研究をしようと思ったのですか。
  2. 水素について研究するときに一番大変だったことはなんですか?
  3. 中央研究所で普段はどんな研究をされているのですか?
  4. 岩谷産業で水素ガスを作る設備で、安全性を十分確保してあることと思いますが、それでも気をつけなければならないことは、どんなことがありますか。
  5. 研究していくなかで実験をすると思うのですが今まで実験した中でどの実験が先生にとって一番意外で面白い結果、実験だった実験はなんですか?
  6. 自動車のほかに、水素エネルギーをどんなことで役立てていきたいですか。
  7. 今、水素エネルギーを研究していて、どんな問題(これからの課題)があると思いますか?
  8. 先生が思う水素の一番面白いところや、性質はなんですか?
  9. 僕は微生物の力をかりてごみから水素を取りだせたら環境にも優しくて良いなと思います。可能でしょうか?
  10. 未来のエネルギーが先生の見解で我々庶民に利用できるようになるのは何年後かとお思いですか。(先生の研究の進み具合等を踏まえてお願いします)
  11. 燃料電池は随分前に英国の学者により作られたことを僕は知っています。今はそこからどの様な進歩を遂げたのでしょうか。
  12. 水素について研究してきて、一番驚いたことはなんですか。
  13. 水素の研究をする上で、いつも注意していることは何ですか。
  14. まだ分かっていない新技術を見つける時にどのような方法で思いつきますか。
  15. 今までどんな研究をしてきましたか。
  16. これからどんなものを作っていきますか?
  17. これからの目標は何ですか?
  18. 研究で、どういうことが楽しいですか?
  19. 水素を扱えて一番「楽しい!」と思えた時はいつか。
  20. 研究において個人的に何が大事だと思うか
2 質問項目の傾向は?
質問について,見える化エンジン(プラスアルファ・コンサルティング)で分析してみましょう。

見える化エンジンは,こちらの解説記事か,以下の動画を見てください。


動画はYouTube版も公開されています(視聴はリンクをクリックしてください)。

すべての質問で出てきた単語の数の多い順番に並べると表1になります。

表1 単語ランキング
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岩谷産業株式会社様は,水素ステーションや液化水素のリーディングカンパニーですので,質問は水素(1位)や水素ステーション(3位),エネルギー(5位)に関するものが多いことがわかります。また,研究についてインタビューするため,研究する(2位)が多く入っています。

1 単語ランキングに,校種や男女間の差はある?
単語ランキングの小学校と中学校をくらべてみましょう。

表2 単語ランキングの小学校と中学校のちがい
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小学校と中学校,どちらも1位は水素でおなじでした。ステーションや使う,研究は,どちらも10位以内に入っています。

小学生と中学生のちがい
一番ちがうのは,『運ぶ』です。
この単語は小学校ではランキングに入っていませんが,中学校では5位に入っています。具体的な記述では,水素を運ぶ方法や安全性について興味があることがわかります。

男女ではどうでしょうか。単語のランキングをくらべてみましょう。

表2 単語ランキングの男女のちがい
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男女でも水素が1位になるのは変わりませんでした。

男女での大きなちがい
もっとも大きくちがいが出たのは『研究する』でした。女子は30%の記述で,研究という単語が出てきますが,男子では9%でした。研究するという単語は,荘所研究員の研究感や研究についての質問です。
これまでの分析結果とおなじように,記述からは女子は『人』を中心に見ていると考えることができそうです。

男女のちがい
女子の『なんだ』,男子の『何だ』は,疑問についてまとめられています。
『荘所先生にとって水素のみりょくはなんですか?』
『最初に水素に対応して動くようになったものは何ですか?』
女子の単語ランキングは20%,男子の単語ランキングは11%ですので,女子は『問いかける』質問が多いようです。この結果も,女子は『人』を中心に考えているためかもしれません。

2 ヒートマップで見てみよう!
単語ランキングだと,いまいちピンとこない。そういうこともあるでしょう。そこで,おなじ結果をヒートマップという方法で見てみましょう。

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図1 小学生と中学生のちがい −ヒートマップ−

ヒートマップは,色の濃いところの数が多くて熱い(HEAT),色がうすいところは数が少なくて寒いという見方です。ヒートマップは全体のちがいを見るときに役に立ちます。ヒートマップでは,中学生にしか出てこなかった『運ぶ』はありません。
小学生と中学生に共通してよく出てくる単語のちがいは,『研究する(上から2番目)』『ステーション(上から3番目)』『作る(下から3番目)』です。いずれも小学生の方がたくさん単語を使っています。

男女についても見てみましょう。

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図2 男女の違い −ヒートマップ−

ヒートマップの濃さがちがうのは,男女の数がちがうからです。一番ちがうのは『電気(一番下)』です。

男子の場合
質問例:『
水素社会化によって、水素エネルギーは日本の電気の何割を占めることになりますか』
考え:電気エネルギーへの応用についての興味がある。

女子の場合
質問例:『
水素ガスをもっと日本で活用するために、私たち小中学生にできること、してほしいことがあれば、どんなことがあるか、教えてください』
考え:電気エネルギーにかぎらず生活全般への影響に興味がある。

※『何だ』の色が大きくちがいますが,これはさきほど説明した『なんだ』と『何だ』が別々に数えられているために起こっています。

3 まとめると
小学校と中学校のちがい
小学生はさまざまなことに興味があって,質問がバラバラになりやすい。作るなどの工作系への興味がある。
中学生は,生活への影響などの社会的影響に興味があり,それらを解消する科学技術への期待や興味がある。

男子と女子の違い
男子は,物質や現象そのものへの興味が強く,電気エネルギーなど特定のものを思い浮かべて考える傾向が強い。
女子は,人や生活への興味が強く,その人が『なぜ』『どのように』研究をしているのかや,科学技術が生活そのものにどんな影響があるのかを考える傾向がある。

どうでしょうか?
これまでの結果もふりかえりつつ,小学生と中学生のちがい,男子と女子のちがいについて考えてみることをオススメします。