大阪・橋下市長「思想調査」不当労働行為

憲法踏みにじる無法 全面的に誤り認めよ

 大阪市の橋下徹市長が職員3万人余を対象に行った「思想調査」アンケートが25日、大阪府労働委員会から「不当労働行為」と認定されたことは、準司法機関も同調査の違法性を認めたものであり、同調査に「問題ない」と開き直っていた橋下氏に、これまでの無法行為への猛省を迫るものです。

再発防止策を

 府労委の認定に対し、橋下氏は25日午前、「異議はない」と述べ、「組合に対する不当介入ということであれば大変申し訳ない」と語りました。

 「今後、このような行為を繰り返さない」とする文書を関係組合に手交するよう求めた府労委の命令には、「従う」という姿勢を示しました。ところが夜になって一転、不服申し立てを行うと明言。無責任極まりない態度を示しました。

 橋下氏には、同調査の誤りを明確かつ全面的に認めることが求められます。単なる命令の形式的実行だけではなく、調査の経緯と問題点を自ら明らかにし、再発防止策を講じる責任があります。

 「思想調査」は橋下氏が労働組合や職員に対して行った数々の不当・違法な行為の象徴であり、同調査が断罪されたことで、組合事務所退去要求や職員基本条例、政治活動制限条例による権利の侵害など一連の行為についても、これまでの態度を改めることが求められます。

市民にも矛先

 また、昨年7月に市職員55人が提訴した「思想調査」裁判の原告団も示しているように、同調査には、労働組合に対する「不当労働行為」であるという問題だけではなく、憲法19条に保障された思想・良心の自由、第21条に保障された政治活動の自由を蹂躪(じゅうりん)する違憲の調査だというもう一つの重大問題があります。

 同調査は「処分」で威嚇しての「市長の業務命令」として行われ、組合活動への参加の有無のみならず、政治活動への参加の有無、投票要請をされた経験の有無などまで問うものでした。

 たとえば職員には「特定の政治家を応援する活動」への参加の有無ばかりか、「誘った人」の氏名まで回答を求めており、その矛先は全市民・国民に向けられたものでした。

 憲法順守擁護義務を負う自治体の長が幾重にも憲法を踏みにじり、思想・良心の自由、政治活動の自由を蹂躪するという無法だったのです。

 日本共産党大阪府委員会の山口勝利委員長は同日の談話で、「橋下市長は、今回の『思想調査』の誤りについて、市職員への謝罪はもとより、市民の前で非を認め、あらゆる問題で憲法違反の行為を二度と繰り返さないことを明瞭にすべきである」と求めています。 (藤原直)