主張
パレスチナ「国家」決議
国連が認めた大義を実現せ
国連総会がパレスチナを「国家」と認める決議を採択しました。賛成138、反対はイスラエルや米国など9、棄権41と、圧倒的多数の国が支持しました。
決議は、国際社会がパレスチナ人民の民族自決権を支持し、パレスチナの独立とイスラエルとの平和共存を強く求めていることを示しました。パレスチナの速やかな独立の実現に向けて、大きな後押しとなるべきものです。
米国の孤立鮮明に
決議はパレスチナを従来の「オブザーバー機構」から「オブザーバー国家」に格上げするものです。国連への正式加盟申請が、安保理事会で拒否権を持つ米国の反対で棚上げされている不当さを突いたものともなっています。
米国は今回の決議採択を「不幸」で「逆効果」(クリントン国務長官)だと敵意をあらわにしました。その姿勢は、米国がパレスチナ独立に反対するイスラエルの右派政権を支持することで中東和平への障害をつくりだし、中東でも国際社会からも孤立していることを鮮やかに描き出しています。
先月起きたイスラエルによるガザ地区への大規模攻撃は、パレスチナ人が日常的に恐怖にさらされ、基本的な人権が奪われていることとともに、中東でのこの間の政治状況の変化がパレスチナへの支持を広げていることも示しました。欧州の多くの国が賛成に回ったのにも、パレスチナの事態をこれ以上続けるべきではないとの判断があるからです。それは世界の大勢となり、日本政府も日頃の「日米同盟最優先」はとれず、賛成せざるを得ませんでした。
パレスチナとイスラエルが、「オスロ合意」に始まる和平交渉に入って20年になろうとしています。交渉が中断しているのは、イスラエルが国際世論を無視して国際法に反する占領地への入植を拡大し、将来のパレスチナ国家の領土を侵食しているためです。そのイスラエルの行動を、同国に影響力を持つ米国が容認していることこそ、和平交渉が常に困難に直面している原因です。
国連総会は1960年、民族自決権をうたった「植民地独立付与宣言」を採択しました。しかし、半世紀後の今なお、パレスチナはイスラエルによる軍事占領下におかれ、人々は暴力と生活苦にさいなまれています。パレスチナ問題は長く国際的な不公正の象徴となり、中東で緊張が続く最大の要因となってきました。
日本共産党はパレスチナ人民の民族自決権を一貫して擁護し、イスラエルの占領地からの撤退を要求するとともに、パレスチナとイスラエルとの生存権の相互承認を主張してきました。総会決議はその立場が国際社会のすう勢となっていることも示しています。
和平交渉の進展を
決議が採択された11月29日は、1947年に国連総会がパレスチナとイスラエルそれぞれの国家建設を認めた「パレスチナ分割決議」を採択して65年にあたります。パレスチナ問題をもはや先送りできないのは明らかです。決議採択に国連の潘基文(パンギムン)事務総長は「有意義な交渉の再開の緊急性を示す」と指摘しました。イスラエルが占領地から撤退し、パレスチナが国際的に認められた領土に独立国家を建設するよう、国際社会が努力を強める必要があります。