核兵器禁止条約交渉開始を
国連総会で決議採択
消極的な日本政府
【ワシントン=山崎伸治】第67回国連総会は3日、軍縮・国際安全保障問題を扱う第1委員会関係52本の決議を採択しました。このうちマレーシアなどが提出した核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議は、賛成135、反対22、棄権26、欠席10で採択されました。
採択された決議のうち、全会一致で無投票だったのは28本。残りの24本が採決に付されました。核軍縮に関連するおもな決議の採決状況は別表の通り。核兵器保有国の中で米国と英国、フランスが歩調を合わせていることが分かります。
マレーシアなど非同盟諸国が提案した決議「核兵器合法性に関する国際司法裁判所の勧告的意見の後追い」は、「核兵器の開発、生産、実験、配備、備蓄、移送、威嚇ないし使用を禁止し、その廃絶をもたらす核兵器条約の早期締結につながる多国間交渉の開始」を求めています。
ミャンマーなどが提出した決議「核軍縮」も、化学兵器禁止条約、生物兵器禁止条約に続き、「核兵器禁止条約を確立するよう決意する」と表明しています。賛成124、反対44、棄権18、欠席7で採択されました。
日本は昨年に引き続き「核兵器の全面廃絶に向けた共同行動」決議を提出し、賛成174、反対1(北朝鮮)、棄権13(中国、インド、イラン、イスラエル、パキスタンなど)、欠席5の賛成多数で採択されました。
日本は10月、スイスなど非核保有国34カ国とオブザーバー国家のバチカンが核兵器の非人道性に懸念を表明し、核兵器の非合法化を求めた共同声明を発表した際、参加を求められたにもかかわらず拒否。関係者を驚かせました。
総会で採択された日本の決議は前文で「核兵器使用の悲惨な人道的結末に深い懸念を表明」(日本外務省訳)しています。しかし日本政府はその「結末」を招かない保障ともいえる核兵器禁止を求めない立場。核兵器禁止条約の実現を求めるマレーシア提出の決議にも、ミャンマーなど提出の決議にも、昨年に続き棄権しました。
日本の決議は「核兵器の全面的廃絶」を掲げながら、核兵器保有国には「努力目標」として呼び掛けるだけで、実際に保有国の手を縛る具体的な措置には背を向けています。