9条を生かした自主自立の平和外交で、世界から信頼される日本を
――日本共産党の躍進で、憲法改定の危険な動きを許さない
神戸・大阪 志位委員長の訴えから
日本共産党の志位和夫委員長が9日に神戸・大阪両市で行った憲法問題に関する訴えを紹介します。
憲法問題が、総選挙の大争点になってきました。
私は、この間、党首討論会に出席してきましたが、たいへんきな臭いにおいが漂ってくるのです。
いま、自民党も、民主党も、「維新の会」も、未来の党も、みんなそろって言っていることがあります。「集団的自衛権を行使できるようにせよ」「憲法9条を変えろ」。憲法改定の危険なうごきが、頭をもたげています。
イラク戦争のような戦争を、米軍とともにたたかう自衛隊に
みなさん。これを許すとどういうことになるでしょうか。具体的な話を、一ついたしましょう。
2003年に、米軍がイラク戦争を引き起こしたさいに、「イラク特措法」という法律が強行され、日本の自衛隊が派兵されました。憲法違反の海外派兵です。しかし、憲法9条があり、「集団的自衛権行使ができない」という解釈であったために、あの法律には重要な条文が入っているのです。「武力の行使は行わない」という条文です。ですから、あの時に、当時の小泉首相はよく言ったでしょう。「戦闘地域に行きません」「後ろの方で水をまいているだけです」、そう言いました。これはごまかしなのですが、同時に、そこに「武力の行使は行わない」という条文があり、歯止めとなって働いていたことも事実なのです。
実は、「イラク特措法」の他にも、これまでさまざまな自衛隊の海外派兵法がつくられてきました。2001年にアフガニスタン戦争を支援するために自衛隊を派兵した「テロ特措法」などもありました。しかし、これまでのどの自衛隊の海外派兵法にも、「武力行使はしない」という条文が入っていました。ここに歯止めがあったのです。
集団的自衛権を行使する、憲法9条を変えるということは、イラク戦争のような戦争で、自衛隊が最前線にまで行って、米軍と一緒に戦闘行為を行うということです。どんどんぱちぱちの戦争をやるということなのです。
もしも、イラク戦争のときに、9条がとりはらわれ、この歯止めがはずされていたら、自衛隊がイラクの人たちを殺すことになったでしょう。自衛隊員に戦死者がでることになったでしょう。
みなさん。そんな日本に絶対してはならないということを、私は心から訴えたいと思うのであります。(大きな拍手)
軍事同盟にかわって、地域の平和共同体が広がっている
こういう批判をしますと、憲法改定派からは、日本はアメリカと軍事同盟を結んでいる、「日米同盟」を重視する立場からも、憲法改定は当然だという調子の議論が出されます。
しかし、みなさん。世界をみてください。いまの世界のなかで、軍事同盟として機能しているのは、三つしかないですよ。一つは、日米軍事同盟。二つ目は、米韓軍事同盟。そして三つ目はNATO(北大西洋条約機構)です。
それまであった軍事同盟は、みんな解体されるか、機能停止におちいっているかです。21世紀の世界では、軍事同盟は圧倒的少数派です。軍事同盟をきっぱり拒否した、非同盟・中立こそ圧倒的多数派になっているのです。軍事同盟などというものは、もはや時代遅れの存在、20世紀の遺物となっているのです。
東南アジアをみてください。東南アジアには、かつて軍事同盟(SEATO・東南アジア条約機構)がありましたが、いまでは解散しています。軍事同盟に代わって、ASEAN(東南アジア諸国連合)という地域の平和共同体がつくられ、ASEANが中心になって、TAC(東南アジア友好協力条約)を、ユーラシア大陸の多くの国々を覆う、圧倒的な流れに発展させています。
ASEANの合言葉は、「紛争の平和解決」なんです。つまり、人類の社会には紛争―もめ事はなくならないかもしれない。しかし紛争を戦争にしないことは、人類の英知でできる、これが「紛争の平和解決」という考えなのです。
みなさん。この理念を、世界で最も先駆的にうたっているのが日本国憲法9条ではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)
世界とアジアの諸国民から、心から信頼される平和日本を
この世界に誇る憲法9条を変えるなんてとんでもありません。9条を生かした自主自立の平和外交によって、世界とアジアの平和に貢献する―日本共産党の躍進で、そういう日本をつくっていこうではありませんか。世界とアジアの諸国民から、心から信頼される平和日本をつくっていこうではありませんか。(大きな拍手)
憲法9条を守り抜こう―この願いを、反戦平和を貫く党、日本共産党にたくしてください。(大きな拍手)