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安倍政権にどう立ち向かい、国政の重要課題にどうのぞむか
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安倍政権にどう立ち向かい、国政の重要課題にどうのぞむか

2013-01-14 10:43

    安倍政権にどう立ち向かい、国政の重要課題にどうのぞむか

    NHKインタビュー 志位委員長が語る

     日本共産党の志位和夫委員長は13日、NHK「日曜討論」に出演し、党首インタビューに答えました。聞き手は、NHKの神志名泰裕解説委員。

    総選挙をふまえて

    自民「圧勝」に国民から不安――公約実現のため元気いっぱい力つくす

     神志名泰裕解説委員 よろしくお願いします。

     志位和夫委員長 よろしくお願いします。

     神志名 共産党は、去年の衆議院選を総括し、どんな取り組みをしていくのですか。

     志位 議席を後退させたことは残念ですが、2月に予定している第6回中央委員会総会でしっかりと総括をおこなって、次の参議院選挙の前進に必ず生かしていきたいと考えております。

     同時に、今度の選挙で、自公だけで(衆院の)3分の2を占める結果が出た、そういうもとで、保守の政治家の方々などからも、“日本の政治が右へ右へとなびく状況はたいへん心配だ、こういうときこそ共産党が頑張ってほしい”という声がたくさん聞こえてまいります。ですから、そういう声にこたえた奮闘を大いにやっていきたい。

     自民党「圧勝」と言いますけれど、民主党政権への怒りの風が吹いたのであって、自民党の政策が支持されたわけではないと思うんです。消費税、原発、TPP(環太平洋連携協定)、基地、憲法、そして復興の問題――どの問題でもたたかいはこれからですから、掲げた公約の実現のために、元気いっぱい大いに力をつくしたいと思っております。

    安倍政権の経済政策をどうみるか

    「三本の矢」というが、破たんが証明ずみの“折れた矢”を三つ並べただけ

     神志名 安倍政権にどう立ち向かうのか、とくに安倍総理が主導する経済政策、これについてはどう見ていますか。

     志位 政府の方針(「緊急経済対策」)を見てみたんですが、なぜデフレ不況がここまで深刻化したかについての原因の分析がない。ですから、まともな処方せんが立てられないという中身になっていると思うんです。5549e8f6b2b810dc7a2b0e091173ff1d92aaf363

     デフレ不況の最大の原因は、働く人の所得が減り続けているところにあります。1997年を100としますと、資本の方の取り分である経常利益は163まで増えているのに対し、労働の方の取り分である雇用者報酬は88まで減っている(グラフ)。ここに最大の原因があるんですが、その分析がない。

     ですから出てくる方針というのは、「三本の矢」といっていますが、新しい中身は何もないと思うんですよ。

     「金融緩和」といいますけれど、これまで散々やってきたけれど効果のなかったことをもっとやろうと(いうものです)。

     それから「大型公共事業」のばらまき、これは経済成長につながりませんでした。残ったのは借金の山だった。

     さらに「成長戦略」といいますけれども、貧困と格差をひどくして破たんした小泉「構造改革」の焼き直しですね。

     ですから、「三本の矢」といいますけれど、どれも破綻が証明された“折れた矢”を三つ並べただけだというのが実態だと思います。

    どうやってデフレ不況から抜け出すか

    最大のカギは、働く人の所得を増やす政策への転換をはかること

     神志名 なるほど。(デフレ不況打開の)対抗策はあるんですか。

     志位 最大のカギは、働く人の所得を増やす政策への転換だと思います。

     三つあるのですが、第一は、消費税増税を中止する。一口に「税率10%」といいますが、サラリーマンのご家庭で言いますと、丸々1カ月分のお給料が消費税に消えてしまうのが「10%」です。所得を増やさなければならないときに、奪うというのは論外です。

     第二は、大企業がいま進めている身勝手なリストラ・賃下げ、これは政治の責任でやめさせていく。電機産業の13万人の首切り計画、あるいは経団連が“賃下げ宣言”をやっている、これは政治の責任でストップをかける必要があります。

     第三は、人間らしい暮らしを保障するルールをつくっていく。雇用のルールを強化して、非正規で苦しんでいる方がたを正社員にしていく。中小企業にたいする手当てはしっかりやりながら最低賃金を抜本的に引き上げる。さらに、中小企業と大企業の公正な取引のルールをつくっていく。大企業の260兆円の内部留保――ため込み金のごく一部を活用しただけで可能になりますから、ぜひそういう改革をやりたいと思っています。

    改憲策動にどう立ち向かうか

    広がる日本国民、世界とアジアからの批判の声――草の根の運動で包囲していく

     神志名 憲法改正、集団的自衛権の行使の問題で、いわゆる護憲勢力は後退している印象も受けますが、存在感は発揮できますか。

     志位 たしかに国会の中では改憲派が多数かもしれませんが、国民の中では少数だというところが大事なところだと思うんですよ。総選挙後、いろんな世論調査がありますけれど、どれを見ても、憲法9条改定に対して、毎日新聞で52%、朝日新聞で53%が反対と、多数が反対なんですね。ですから草の根で、ぜひ改憲派を包囲していくような運動で、これを食い止めていきたいと(思います)。

     それからもう一点いいますと、憲法改定の動きに対して、世界とアジアからも批判と懸念の声が広がっている。憲法9条というのは、侵略戦争の反省を踏まえて、日本が二度と侵略国にならない、そして世界平和の先駆になる、そういう「国際公約」なんです。これを投げ捨てるというのは、日本の国際的信用のはかりしれない損失になります。

     ですから、この歴史に逆行する動きを、ぜひ食い止めたいし、食い止めることはできると考えています。

    どうみる村山・河野談話見直しの動き

    戦後の世界秩序の土台をくつがえす動きを、絶対にやってはならない

     神志名 歴史認識の問題に関連して、「村山談話」「河野談話」の見直しの動きがあります。どうお考えになりますか。

     志位 安倍首相が、侵略と植民地支配の誤りを認めた「村山談話」、日本軍「慰安婦」問題について軍の関与と強制を認めた「河野談話」、この二つの談話の見直しを発言したことにたいして、ニューヨーク・タイムズが「安倍氏の恥ずべき衝動」という非常に厳しい、異例の社説を書きました。

     第2次世界大戦後の世界の秩序というのは、日本とドイツとイタリアのおこなった戦争は、不正・不義の侵略戦争だったということを共通の土台としているわけですね。この土台をくつがえしてしまうような動きを、万が一にも具体化することになれば、日本が世界で生きていく地位をまさに失うことになるわけで、絶対にやってはならないと、厳しく警告したいと思います。

    選挙制度改革にどう対応するか

    害悪が明瞭となった小選挙区制と政党助成金をやめ、民意が反映する制度への改革を

     神志名 通常国会に関連して、衆議院の定数削減、選挙制度改革についての対応はどうでしょう。

     志位 私は、今度の総選挙をつうじて、小選挙区制と政党助成金、この二つの制度の害悪が誰の目にも明らかになったと思うんです。

     自民党は、小選挙区で、だいたい4割の得票で8割の議席を得た。大政党有利に民意をゆがめるという小選挙区制(の害悪)が、まさに猛威をふるったと思います。

     それから政党助成金目当てに、政党の離合集散がおこる。この制度が政党の堕落の原因になっているということもはっきりした。

     ですから、まず政治改革というんだったら、小選挙区制と政党助成金を撤廃する。そして、民意が反映する比例代表制、もしくは定数3から5の中選挙区制への抜本改革が必要だと訴えています。

    参議院選挙にどうのぞむか

    安倍政権、「増税・改憲連合」に正面から対決する共産党の姿を訴えていく

     神志名 夏の参議院選挙、何を重視してたたかいますか。

     志位 今の国会の状況を見ますと、自公民3党が消費税問題では「増税連合」をつくっています。それから、自公に加えて維新(の会)とみんなの党が、いわば「改憲連合」をつくっている。

     そうしたもとで、安倍政権、そして「増税連合」「改憲連合」、これに正面から対決してがんばれる、野党としての仕事をしっかりやれるのは共産党だということを訴えて、躍進を期したいと思っております。

     神志名 どうもありがとうございました。

     志位 ありがとうございました。

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