主張

東日本大震災3年

政治は被災地の努力に応えよ

 死者、行方不明者あわせて約1万9千人にのぼる大惨事をもたらした東日本大震災の発生から丸3年です。巨大地震と大津波、東京電力福島第1原発事故が重なった前例のない“複合災害”は、いまも全国で約27万人に不自由な避難生活を強いています。本格的な復興への動きは立ち遅れ、避難の長期化で健康を崩す被災者も増加しています。政府は、生活再建と復興へ向けて懸命な努力を続ける被災者の願いと思いを正面から受け止め、抜本的な対策を強化するべきです。

住まいの対策待ったなし

 3度目の冬をすごした仮設住宅暮らし、大幅に遅れる災害復興公営住宅の建設――。「希望がなかなか見えない」と被災者から悲痛な声があがります。

 約10万人が入居するプレハブ仮設住宅の暮らしは、すでに限界に達しています。もともと狭い間取りのため精神的ストレスはたまる一方です。隣家を隔てる壁は薄く、音が漏れないようにと、子どもの泣き声にも気を使う人たちも少なくありません。受験生の勉強できる環境を確保するのに、神経をすり減らした家庭もありました。「仮設」仕様のつくりのために、早くも老朽化がすすみ、住環境の悪化に拍車をかけています。

 少なくない被災者にとって、仮設住宅を出たくても出られない現実があります。復興住宅の建設はようやく動きだしましたが、完成戸数は目標の数%の水準です。入居を望んでも新たに発生する家賃の負担から二の足を踏む人たちも生まれています。年金暮らしの高齢者からは「このまま仮設で死ぬしかないのか」というあきらめの声も漏れます。

 せっかくできあがった復興住宅に、経済的理由で入居できない事態は避けなくてはなりません。負担軽減に努力している自治体もあります。建設が大幅に遅れているため、アパートなどを借り上げている仮設住宅を公営住宅化することも必要です。

 高台移転などでの宅地造成も始まるなかで、自力で住宅再建をめざす人たちを応援するため、被災者生活再建支援法の支援額の引き上げなどが急がれます。安心の住まいが保障されてこそ、被災地外への人口流出をおさえることが可能になります。国・自治体は、住宅問題を「復興の根幹」と位置づけて本腰を入れた対策を講じるべきです。

 避難長期化と復興の遅れで、いよいよ心配なのは被災者の健康です。被災者が、避難生活のなかで体調を崩して命を落とす「震災関連死」が増加していることは、あまりに痛ましい事態です。働き盛りの人が自ら命を絶つ悲劇も起きています。過酷な大災害のなか、九死に一生を得た命が、その後の生活困難のなかで失われることは、まさに「人災」です。被災者の心身の健康をささえる体制の拡充が緊急に求められます。医療・介護の減免制度の復活など国が責任を果たすのは当然です。

被災者と手をたずさえ

 前例のない大災害からの復興へ必死でがんばる被災者をしっかり支える政治がいまほど求められるときはありません。消費税増税は緒に就いた復興を妨げる逆行以外のなにものでもありません。

 被災者の気持ちに寄り添い、ともに手をたずさえて復興をすすめる政治への転換が急がれます。