主張
国民春闘大詰め
賃上げと増税中止待ったなし
4月からの消費税増税実施が間近に迫る中、国民春闘が大詰めを迎えています。一部の大企業では基本給の引き上げ(ベースアップ)に踏み切る動きもありますが、中小企業を含め全体として春闘はこれからです。安倍晋三政権が進めた経済政策「アベノミクス」は行き詰まり、消費税増税が個人消費の冷え込みに拍車をかけようとしています。財界・大企業の賃金抑制をやめさせ大幅賃上げを実現するとともに、消費税増税を中止させることが待ったなしです。
「アベノミクス」の失速
国民の所得の減少が消費を冷え込ませ、経済を悪化させていることが、消費税増税を前にいよいよ明らかになっています。
内閣府が発表した昨年10~12月期の国内総生産(GDP)は前期に比べた伸び率が速報段階の0・3%(年率換算1・0%)が10日発表の2次速報では0・2%(同0・7%)に下方修正されました。GDP全体の約6割を占める個人消費も0・5%の伸びから0・4%に低下しています。
GDPの伸び率は昨年1~3月期の4・5%、4~6月期の4・1%から、7~9月期は0・9%、10~12月期は0・7%へと急速に鈍っています。「アベノミクス」の「効果」が短期間で薄れたといわれる根拠です。とくに10~12月期は消費税増税を見越した駆け込み需要で消費が増えるといわれていたのに予想より大幅に低下しました。景気の失速は明らかです。
「アベノミクス」は異常な金融緩和と公共投資の拡大で刺激しながら大企業のもうけを増やせば雇用も所得も増え、消費も拡大するという「トリクルダウン」(おこぼれ)の経済政策です。しかし、日本経済が長期にわたり悪化しているのは勤労者世帯の収入が1990年代末より70万円も減っていることに象徴されるように国民の所得が減り、消費が落ち込んでいるためです。大企業のもうけを増やすのではなく、国民の所得を増やす経済政策に転換しなければ、景気はよくなりません。
実際、厚生労働省の調査では、昨年の勤労者世帯の所定内給与は8年連続、所定内給与と所定外給与をあわせた定期給与(きまって支給する給与)は3年連続の減少です。ここにメスを入れ、国民の所得を増やす対策をとらない限り、消費が増え、経済が上昇に向かうことはありません。
企業がため込んでいる480兆円もの内部留保の一部を活用して賃上げを実現すること、そのためにも中小企業への支援策とあわせ最低賃金を政府の責任で大幅に引き上げること、労働者に「生涯ハケン」を押し付ける派遣法の改悪など労働法制の改悪をやめることなどが不可欠です。
消費税増税は実質賃下げ
消費税の税率を現在の5%から8%に引き上げるだけでも国民に8兆円もの負担を押し付ける消費税増税は、消費をさらに冷え込ませる最悪の景気破壊税です。国民にとっては可処分所得が落ち込むのと同じで、実質的に賃下げです。暮らしも経済も破壊する消費税増税は中止が不可欠です。
全労連系の労働運動総合研究所の試算によれば、消費税増税による家計の負担を穴埋めするには、約2%の賃上げが必要だといわれます。賃上げとともに消費税の増税中止が最大の景気対策です。