「貯蓄なし」3倍 賃金70万円減

 安倍晋三・自公内閣は、4月1日から消費税率8%への増税を強行しようとしています。消費税率を3%引き上げれば8兆円の大増税です。年金削減や社会保険料引き上げという社会保障などの改悪を合わせれば10兆円の負担増。史上空前の大増税です。 (佐久間亮)

 消費税が5%に増税されたのが1997年です。この17年間で国民の貧困化が進みました。

 正規雇用が不安定で低賃金な非正規雇用に置き換えられました。非正規雇用の割合は、97年の23・2%が今年1月には37・6%まで上昇。3人に1人が非正規雇用という状況が生まれています。

 働いているのに年収が200万円に届かない貧困層が1090万人に達しています。97年と比較すると276万人の増加です。

 「貯蓄なし世帯」は、97年の10・2%から昨年は過去最高の31%に3倍化しました。

 労働者の年平均賃金は97年には446万円でした。現在は377万円。約70万円も減少しました。雇用者報酬(雇用されている人の賃金と社会保険料の企業負担分の総額)は30兆円のマイナスです。

 消費税の8%への増税は、貧困化が進んだ国民生活を直撃します。国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費が冷え込み、景気が悪化します。景気悪化に対応しようと企業がさらなる雇用破壊を進めれば、内需の低迷は決定的となり、負の連鎖を生み出します。

 大企業はうるおっています。経常利益は15兆円から26兆円に増加。内部留保にいたっては140兆円から272兆円にほぼ倍増しています。

 消費税率が引き上げられる半面、大幅に下がったのが法人税率です。97年に37・5%だった法人税率は、98年以降除々に引き下げられ、いまでは25・5%になっています。法人税収も13・5兆円から10・1兆円へ、3兆円以上少なくなっています。

 安倍内閣は、消費税増税の一方で法人税のいっそうの減税に着手しました。“大企業栄えて民滅ぶ”の経済政策への暴走を食い止めることが必要です。

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 表の出典 消費税増税に関する表の出典は以下の通りです。
 雇用者報酬は内閣府「国民経済計算」の1997年と2013年の名目値。賃金は厚生労働省「毎月勤労統計」の97年と13年。貯蓄なし世帯は日銀「家計の金融行動に関する世論調査」の97年と13年。
 年収200万円以下の民間給与所得者は国税庁「民間給与実態統計調査」の97年と12年。非正規雇用は総務省「労働力調査」の97年と14年1月。大企業の経常利益と内部留保は財務省「法人企業統計」の97年度と12年度。法人税収の現在分は13年度補正予算時。