集団的自衛権の行使容認に向けて安倍政権が狙う憲法解釈変更に対し、地方議会で反対の意見書が相次いで可決され、報道各社の世論調査でも「反対」が大きく上回っています。安倍政権の暴走政治への批判・懸念が急速に広がっています。
解釈改憲を行わないことを求める意見書を可決した地方議会は48市町村(4日時点、別表)。長野県では全自治体の30%にあたる23市町村で意見書を可決しています。北海道で札幌市など8市町、東京都、神奈川県、京都府、滋賀県で2市、新潟県で2市町などと続きます。
北海道奈井江(ないえ)町議会の意見書は、集団的自衛権の行使は許されないとする政府の従来の憲法解釈を示しつつ、「それを首相の責任で解禁するなどということは、そもそも首相の権限の範疇(はんちゅう)を超えており、恒久平和主義の憲法原理と立憲主義を否定するもの」だと批判。「国会での審議を経ず集団的自衛権に関する憲法解釈の変更をしないこと」を求めています。
滋賀県湖南(こなん)市議会の意見書は、「そもそも憲法は、首相をはじめ国家権力を厳格に拘束するものであり、政権が変わるたびに多数派が憲法の解釈を自由に変えることができるなら、憲法が憲法でなくなってしまう」と指摘しています。
「朝日」7日付世論調査(2~3月)では、集団的自衛権について「行使できない立場を維持する」が昨年の調査の56%から63%に増加。憲法9条を「変えない方がよい」も昨年調査(3~4月実施)の52%から64%に増えました。「毎日」3月31日付の世論調査(同29、30両日実施)でも集団的自衛権行使容認のための解釈改憲「反対」が64%にのぼるなど、各種調査で安倍政権が進める解釈改憲への反対が増えているのが特徴です。
ブロック紙や地方紙も「限定的なら認められる、というのは詭弁(きべん)ではないのか」(「東京」5日付)と、自民党内で唱えられている集団的自衛権行使の「限定容認」論に疑問を投げかける社説を掲げています。
意見書採択の市町村
集団的自衛権行使を容認する解釈改憲を行わないよう求める意見書などを議会で採択した市町村一覧(数字は都道府県ごとの採択自治体数。4月5日現在、日本共産党自治体局調べ)
【北海道8】函館市、札幌市、芦別市、根室市、奈井江町、斜里町、本別町、士別市
【茨城県1】取手市
【埼玉県1】鳩山町
【東京都2】小金井市、国立市
【神奈川県2】座間市、大和市
【新潟県2】新潟市、湯沢町
【長野県23】飯綱町、南木曽町、小布施町、高山村、小海町、富士見町、大桑村、山形村、木曽町、下諏訪町、中野市、坂城町、山ノ内町、長和町、飯島町、中川村、上松町、木祖村、野沢温泉村、佐久市、筑北村、豊丘村、阿智村
【山梨県1】市川三郷町
【愛知県1】扶桑町
【滋賀県2】湖南市、守山市
【京都府2】向日市、長岡京市
【広島県1】庄原市
【高知県1】土佐市
【福岡県1】中間市
=以上計48自治体