憲法施行67周年記念日にあたり、日本共産党の山下芳生書記局長が発表した談話は次の通りです。
一、今年の憲法記念日は、安倍内閣による集団的自衛権の行使容認など、憲法9条をふみにじり、日本を「海外で戦争する国」に変える策動に対して、広範な国民の中から、「憲法を守れ」「立憲主義を守れ」という声がまきおこるなかで迎えた。
一、集団的自衛権の行使を容認するとは、日本に対する武力攻撃がないのに、武力の行使をする――すなわち海外で武力行使をするということである。2001年の米国によるアフガニスタン報復戦争、2003年の米国によるイラク侵略戦争において、日本が自衛隊を派兵したさい、「戦闘地域にはいかない」「武力行使はしない」との「歯止め」がかけられたが、集団的自衛権の行使を容認するなら、この「歯止め」が外されることとなる。若者を海外の戦場に送り、「殺し、殺される」国となる。このような憲法9条のあからさまなじゅうりんを、憲法解釈の変更で行うなど断じて許されない。
安倍内閣は、「必要最小限の行使に限定する」などと言っているが、歴代内閣が「憲法9条があるからできない」としてきた集団的自衛権の行使をいったん容認してしまえば、ときの政権の判断によって、米軍との軍事行動の規模も範囲も、際限なく広がることは明白である。
一、安倍内閣のもとで、すでに、5年間で25兆円もの軍事費を投入し、自衛隊を海外で戦争できる軍隊へと大改造する計画が策定された。秘密保護法の制定、教育への政治介入・統制強化、NHKをはじめ報道機関への露骨な介入など、「海外での戦争」に国民を動員する仕組みづくりもおし進められている。しかし、こうした道を進めば、戦後、国民の不断の努力によって築いてきた「平和国家」としての信頼を損ない、かつて日本が侵略したアジア諸国との関係も決定的に悪化させ、戦争のない平和な世界を探求する国際社会からの孤立を深めることは避けられない。
一、安倍内閣のこうした動きに対し、国民のなかで批判と危機感が急速に広がり、力強い反撃も始まっている。世論調査では、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認も、9条の明文改憲も、「必要ない」との回答が多数をしめ、増える傾向にある。自民党の元幹部、改憲派の憲法学者、歴代の内閣法制局長官、内閣官房で自衛隊の海外派兵に直接携わっていた元担当者など広範な人々からも、「立憲主義を守れ」「解釈改憲反対」の声が相次いでいる。
ここにこそ、平和と民主主義を求める日本国民の底深いエネルギーがある。草の根からのとりくみ、各界・各層の運動を大きく合流させるなら、安倍内閣の危険な改憲策動を打ち破ることは可能である。日本共産党は、「戦争する国づくり、暗黒日本への道」を許さない、国民的な共同を心からよびかけるとともに、その先頭に立って奮闘する決意である。