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「息子の命は憲法が守ってくれていた」―陸自空挺団員の父の思い
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「息子の命は憲法が守ってくれていた」―陸自空挺団員の父の思い

2014-07-14 11:26

    勝手な解釈改憲 約束が違う

     安倍内閣が集団的自衛権行使容認の「閣議決定」(1日)を強行したことに、自衛隊員やその家族が不安を強めています。陸上自衛隊の「最強部隊」とされ、戦地にもっとも近いといわれる「第1空挺(くうてい)団」(千葉県習志野駐屯地、約2千人)の隊員の父親が本紙に、「息子の命を守ってほしい」と思いを語りました。

     (憲法問題取材班)
     
     「勝手に憲法解釈を変えられて、息子が死んだら、うらんでもうらみきれないよ」

     東日本に住む50代男性が、切迫した口調で訴えます。男性の息子は、災害救助にあたる自衛隊にあこがれて入隊を希望。ところが、体格のよさを見込まれて第1空挺団に引き抜かれました。

     第1空挺団は、パラシュート降下で敵地に乗り込み、戦闘や破壊工作を行うのが主な任務です。「精鋭無比(せいえいむひ)」を掲げ、最強を自称する部隊です。

    真っ先に戦場送り

     「太ももなんて、腰みてえに太いんだ。模擬ナイフで格闘して、相手の喉(のど)に刃をあてる訓練までしてるってよ」

     人を殺す訓練を重ねている空挺団が、いざ集団的自衛権の行使となればどうなるのか。男性は、「真っ先に、うちの息子が戦争に取られてしまう」と危機感を強めます。

     男性が見せるアルバムの最初の数ページには、無邪気に笑うスポーツ少年の写真が。しかし、ページをめくるうちに、少年の姿は一変します。迷彩服に身を包み、小銃で標的を狙う目は殺気すら感じさせます。

    「おれが死んだら」

     あるとき、息子が電話で告げた言葉に、男性は胸をえぐられるような衝撃を受けました。「おれが死んだら、親父(おやじ)にカネが出るからね」

     自衛隊員は入隊時に、「我が国の平和と独立を守る」として、「事(こと)に臨(のぞ)んでは危険を顧(かえり)みず」と宣誓し、有事に命を投げ出す覚悟を求められます。

     これまで、「事」の範囲は憲法9条のもとで、専守防衛と災害救助に限られてきました。アフガニスタン戦争でも、イラク戦争でも、戦闘地域に送らないという“歯止め”がありました。

     一方、アフガニスタン戦争で戦闘地域に踏み込んだ北大西洋条約機構(NATO)軍は、計1031人(米軍を除く)の死者を出しました。

     「憲法が、息子を守ってくれていた。急に、自衛隊は戦闘地域に行けると言われても、約束が違う」

     1日の「閣議決定」を受け、男性は息子を除隊させようと決意しました。すでに、その思いを息子に伝えましたが、返事は「仲間を裏切れない」とかたくなです。

     あいつは純粋だから、自衛隊の精神教育に洗脳されてしまった―。

     男性は、入隊を応援した後悔や、いつか息子を失うのではないかという不安に苦しんでいます。

     「閣議決定したって言うけどさ、国民の声は聞かなくていいのかよ。いまからでも撤回させられないのか。海外の戦争に出て行って、息子の命を勝手に賭けられたら、たまんねえよ」

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