佐賀市長“熱気球大会に影響”
小野寺五典防衛相は25日、佐賀県を訪問して古川康知事や秀島敏行佐賀市長らと会い、陸上自衛隊が導入する垂直離着陸機オスプレイ17機の佐賀空港配備に向けた関連経費を2015年度軍事費の概算要求に盛り込むことを表明しました。
政府は15年度から配備に必要な用地取得に入りたい考えですが、古川知事は配備の是非について回答を保留しました。ただ、概算要求への計上は容認しました。
一方、秀島市長は「なぜ佐賀空港なのか、複雑な気持ちだ。2年後には佐賀市でバルーン(熱気球)の世界選手権大会がある。空港の自衛隊の活用は頭の中に入っていないので困惑している」と述べ、あらためて難色を示しました。
小野寺防衛相は「バルーン大会の前後は飛行を配慮する」と述べましたが、秀島市長は「世界選手権だけではなく、秋の稲刈り後には毎週、さまざまな大会がある」と指摘しました。さらに秀島市長は、「安全性の問題や、騒音問題、沖縄での米軍の活用の仕方で、時間を守らないと聞こえてくる。心中穏やかでないというのが率直な意見だ」と述べました。
小野寺防衛相の来訪にあわせ、佐賀県庁前では労組、市民団体など約200人が抗議集会を開き、「古川知事はきっぱり断れ!」「佐賀空港を基地化させない」と訴えました。日本共産党から武藤明美県議らが参加しました。
米軍オスプレイ佐賀空港配備
本土の訓練拠点に
小野寺五典防衛相は25日、佐賀県の古川康知事と県庁内で会談し、佐賀空港を米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの本土での補給・訓練拠点にする考えを示しました。小野寺氏は「県民の理解が前提」と言いますが、陸上自衛隊のオスプレイ配備と併せ、同空港を日米の一大拠点にする計画に県民の反発は避けられません。
日米両政府は「沖縄の負担軽減」を口実に、普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属の米軍オスプレイの本土への訓練拡大を進めています。現在、同機は岩国基地(山口県)へ頻繁に飛来。同基地で補給・整備や離着陸訓練などを行い、東日本へも訓練を拡大しつつあります。
ただ、岩国基地には普天間からKC130空中給油機15機が移転し、厚木基地(神奈川県)から空母艦載機59機の移転も狙われていることから、小野寺氏は「(岩国と)同様の設備を佐賀空港に整備するので、米軍オスプレイの本土での訓練の際、給油・整備拠点として使いたい」との考えを示しました。
オスプレイの沖縄配備に伴う米軍「環境レビュー」によれば、岩国とキャンプ富士(静岡県)を本土での訓練拠点に位置づけ、それぞれ年間500回の飛行を想定しています。
一方、武田良太防衛副大臣が7月22日に佐賀県を訪問していた際に言及した、普天間所属の米軍オスプレイ「暫定配備」について、小野寺氏は言及しませんでした。これについて米側は難色を示しているため、断念したものとみられます。