国民1人あたり250円(年額320億円)の税金を政党が山分けし、支持もしない政党に“強制献金”させられる政党助成金。1995年の制度開始から今年まで20年間の山分け総額は6311億円にのぼります。政党助成金は政治の特権そのもの。受け取りを拒否している日本共産党は、廃止に向け国民的大運動を起こそうとしています。
何に使おうが勝手放題
政党助成金は国民の税金にもかかわらず、「国は…使途について制限してはならない」(政党助成法第4条)と定められています。何の苦労もなく巨額の税金を手にし、受け取ったら何に使おうが勝手放題。「政治とカネ」に対する感覚を麻痺(まひ)させている元凶です。
小便器取り換え代、カーナビ代、「会議費」名目での高級料亭での飲み食い、租税・保険料支払い、選挙での供託金没収費用、党名変更・新党普及キャンペーン費用、党大会の会場費・設営費…。制度開始以来、こうした野放図な支出が政党助成金を原資に行われてきました。買収資金の穴埋めに使われた事件もおきています。
2013年の政党本部収入の64・6%を政党助成金が占めた自民党。同年の支出をみると、テレビCMや新聞広告料金など宣伝事業費の100%を政党助成金から出しています。
民主党は党本部収入の82・5%が政党助成金。宣伝事業費の99%、候補者の公認・推薦料、ポスター・ビラ製作など選挙関係費の100%を政党助成金で賄っています。
余ったらため込める
政党助成金を山分けしている政党は、使い残しても国には返さず、「政党基金」の名でため込んでいます。
「政党基金」にするときは、「政治活動の目的を記載してもらうだけ。国側がこの目的ではだめだという規制はしておらず、使途の制限もしてない」(総務省政党助成室)といいます。
2013年の政党助成金使途報告書によると、同年に政党助成金を山分けした9党の基金残高の総額は147億5307万円です。うち7割近くが民主党のため込みとなっています。民主党の13年本部収入は、その年の政党助成金の山分け額が激減したため前年の12年に比べ51・8%も減りましたが、政党助成金のため込みでしのいだ形です。税金頼みの“国営政党”化した政党の実態を示しています。
自民党の閣僚は自ら政党助成金のため込みをしています。最高額は山谷えり子国家公安委員長で、12年より684万8633円も増やしました。安倍晋三首相は271万7211円増、麻生太郎財務相は597万2601円増、菅義偉官房長官は569万8567円増、有村治子女性活躍相は422万635円増となっています。国民に消費税増税を押し付けながら、政府構成員みずから税金を“私物化”しているのです。
解散してももらえる
政党助成法には、5人以上の国会議員がいることなどの政党要件を満たさなくなった場合であっても、政党助成金を受けたいと総務省に申請すれば残額分の一部を月割りでもらえる“抜け道”があります。
今回の総選挙で議席を減らし政党要件を満たさなくなった生活の党は、選挙後も「特定交付金」という名の政党助成金を手にしました。12年末の総選挙は政党の離合集散が相次ぎました。このときの総選挙を前後して解散届を提出した当時の新党きづな、太陽の党、新党大地、新党日本の4党も、「特定交付金」を受け取りました。
政党の堕落・腐敗の大本
政党助成金は「民主主義のコスト」という名目で導入されましたが、民主主義どころか政党の堕落・腐敗をもたらしただけでした。
制度開始から今年までの20年間に政党助成金を受け取った政党は35党にのぼります。うち27党が政党助成金を手にすると離合集散を繰り返して解散・消滅しました(表)。綱領や政策はそっちのけで、いかに政党助成金を手に入れ生き残るかが政党づくりの本命となったからです。
「離合集散を繰り返してきたプロ政治家たちが、私たちの税金を政党助成金という形でかすめとっている」(北海道新聞9日付「読者の声」欄)との批判がでています。
自民、公明、民主、維新など各党は国会議員定数の削減を迫る「身を切る改革」を主張しています。しかしこれは国会議員の定数削減と引き換えに消費税増税を押し付けるものであり、比例定数の削減によって国民の声を切り捨てる民主主義破壊の暴論です。
政治の不当な特権をただすというなら、憲法違反の政党助成金こそ廃止すべきです。