主張
安倍首相改憲策動
選挙口実の加速は許されない
昨年末の総選挙をうけ第3次政権をスタートさせた安倍晋三首相が、新年になってからも憲法「改正」の策動を加速する発言を繰り返しています。総選挙で国民の支持を得たというのがその口実ですが、選挙中は「アベノミクス解散」だなどといって国民に改憲についてまともに説明せず、選挙が終わったとたんその加速を言い出すのは、文字通り民意に背く暴走そのものです。国民は安倍政権に改憲を求めていません。集団的自衛権の行使容認など解釈改憲の企てとともに、憲法そのものを変えてしまう明文改憲も許さない世論と運動が急務です。
改憲まで委任していない
「政党として選挙戦を通じてお約束をしたこと、公約に掲げたことについては、実行していくという責任を負っている」―年頭の記者会見で、安全保障法制の整備や原発の再稼働、憲法「改正」の具体化について問われた安倍首相の回答です。安倍首相は昨年末の第3次政権発足直後の記者会見でも、憲法「改正」は「自民党の結党以来の大きな目標」「今回の(総選挙での)公約においても明記している」とのべ、“私自身、幹事長時代や第1次、第2次政権で取り組んできた”と、なみなみならない執念を示しています。繰り返し発言することで、改憲策動の加速をねらっているのは明らかです。
自民党が改憲政党であり、安倍氏が自民党内でも有名な改憲論者であることは明白ですが、今回の選挙結果を引き合いに出して国民が改憲を支持したといいはることは絶対にできません。安倍首相自身、先の総選挙では経済政策「アベノミクス」を最大の争点としました。「憲法改正」は総選挙政策の1項目に書き込まれてはいますが、総選挙の論戦の焦点となったわけではありません。総選挙の結果、国民から改憲でも「白紙委任」を得たように強弁するのは、国民の審判をゆがめるものです。
第3次政権発足後、国民が安倍政権になにを求めるかを調査した世論調査でも、上位を占めるのは経済政策や社会保障です。改憲を優先課題にあげたのは、二つまであげる共同通信の調査で5・8%、複数回答の「日経」の調査でも9%で、ひとつだけあげる「読売」などの調査では項目にもありません(いずれも昨年12月26日付)。改憲を国民が望んでいるかのようにいうのは成り立ちません。
憲法「改正」を「歴史的なチャレンジ」(第3次政権発足後の記者会見で)という安倍首相は、「まず(改憲発議に必要な)3分の2の多数を衆議院、参議院でそれぞれ構成する」「国民投票で過半数の支持を得るのが正念場」「どの条文から改正するか理解を深める」―などと、改憲実現に向けたスケジュールを描いています。圧倒的多数の国民が、憲法9条などの改憲を望んでもいないのは明らかです。安倍政権の改憲“暴走”を阻止することが重要です。
解釈も明文も改憲許さず
安倍政権が集団的自衛権の行使容認など憲法を乱暴に踏みにじる解釈改憲の策動を進める一方、明文改憲の策動も強めているのは重大です。解釈改憲を突き進めたうえ、憲法の表現が現実に合わなくなったと明文改憲に拍車をかけるとなれば、それこそ最悪です。
解釈改憲も明文改憲も許さない世論と運動が強く求められます。