主張
米軍関係経費負担
「思いやり」もうやめるべきだ
安倍晋三内閣が閣議決定した2015年度予算案の軍事費(防衛関係費)は約4兆9800億円と過去最大となりました。この中には、在日米軍への「思いやり予算」など、日米安保条約・地位協定上も支払い義務のない米軍関係経費が多く含まれています。沖縄県民の多数が反対している名護市辺野古の米軍新基地建設費も全額日本側負担として計上されています。米軍の日本居座りばかりか一層の基地強化を許す根拠となっており、やめさせることが必要です。
日本に負担の義務ない
米国防総省は今月上旬、英国やドイツなど欧州6カ国で計15カ所の米軍基地・施設を閉鎖し、返還すると発表しました。国防予算の大幅削減に伴う措置で、年間約5億ドル(約580億円)の節約になるとしています。一方で、在日米軍基地については、国防予算削減に伴う閉鎖・返還の動きは一切ありません。
その大きな理由の一つは、在日米軍に対し日本政府が巨額の財政負担を行っているからです。
15年度予算案の軍事費に含まれる在日米軍「思いやり予算」は、総額で1899億円に上ります。
内訳は、▽米軍基地で働く日本人従業員の給与などの労務費1426億円▽米軍基地で使用される光熱水料249億円▽米軍基地の施設整備費221億円(歳出ベース)▽米空母艦載機の訓練移転費3億円―となっています。
日米安保条約に基づき日本に駐留する米軍の法的地位などを定めた米軍地位協定は、「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費」について「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と定めています(24条)。「思いやり予算」はこの規定に反して支出されているものであり、廃止が当然です。
15年度予算案の米軍関係経費はこれだけではありません。
沖縄の普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の最新鋭基地の建設や、厚木基地(神奈川県大和市、綾瀬市、海老名市)からの米空母艦載機部隊移駐に伴う岩国基地(山口県岩国市)の大増強など、「米軍再編計画」を実施するための経費(米軍再編関係経費)は歳出ベースで総額1461億円(契約ベースで3112億円)になります。
このうち、辺野古の新基地建設費は244億円(同1736億円)、岩国基地の増強費は926億円(同1019億円)などとなっています。昨年の沖縄県知事選で示された「新基地ノー」の民意を踏みにじる辺野古の新基地建設などを国民の血税を使って強行することは許せません。
米軍関係経費は他にも、沖縄の米軍基地の県内移転=“たらい回し”などを行うための「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」関係経費46億円があります。
予算の抜本組み替えを
日本に負担義務のない「思いやり予算」、米軍再編関係経費、SACO関係経費を合わせれば3400億円超にも達しており、国民に深刻な基地負担を押し付ける元凶になっていることは明白です。
国の財政が大変だといって国民には消費税増税や社会保障費圧縮を押し付けておきながら、軍事費を突出させ、米軍には至れり尽くせりの逆さま予算は抜本的に組み替えることが必要です。