主張

米軍新基地建設

「この期に及び」強行許されぬ

 沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設問題で、翁長雄志県知事は、沖縄防衛局が辺野古沖で強行している海底ボーリング(掘削)調査などの中断を指示し、指示に従わなければ、ボーリング調査の根拠となっている仲井真弘多前知事時代の岩礁破砕許可を取り消すことがあると通知しました。昨年11月の県知事選で翁長知事が「オール沖縄」の意志として掲げた「新基地建設阻止」の公約に基づく行動です。翁長知事を支え、安倍晋三政権による新基地建設強行を許さない県民・国民のたたかいを一層強めることが必要です。

道理のない立ち入り拒否

 翁長知事の指示は、安倍政権が新基地建設に向けた海上作業のために設けた立ち入り禁止海域(臨時制限区域)やその内側のボーリング調査実施海域を囲むブイ(浮標)やフロート(浮具)を固定する巨大コンクリートブロックがサンゴ礁を破壊している問題にかかわるものです。

 翁長知事は岩礁破砕許可区域外でのコンクリートブロックの設置について「許可を得ずに岩礁破砕行為がなされた蓋然(がいぜん)性が高い」として、「県が必要とする調査を実施する」と通知しました。県はこのため、米軍に再度立ち入り禁止海域内での調査を申請しており、実現に向け安倍政権は「責任ある対応」(翁長知事)を行うべきです。

 沖縄防衛局は昨年夏、ブイやフロートを固定するために海底にアンカー(いかり)約250個を設置しました。ところが、このうち半数近くが昨年10月の台風通過後に消失し、アンカーが海底を傷つけた痕跡も多数見つかりました。

 こうした事態を受け防衛局は今年1月に入り、県との協議も行わず、それまでの重さ百数十キロのアンカーに代え、これをはるかに上回る数十トン規模のコンクリートブロックを次々と海底に投下しました。このコンクリートブロックがサンゴ礁を破壊していることが発覚し、県も調査に乗り出しました。

 ところが、県の調査は立ち入り禁止海域の外側でしかできず、米軍が管理する立ち入り禁止海域の内側は「運用上の妨げになる」という理由で拒否されました。その上、米軍が立ち入り調査を拒否した直後に、沖縄防衛局は昨年秋以降中断していたボーリング調査の再開を強行しました。

 米軍の立ち入り調査拒否に道理がないことは、翁長知事が沖縄防衛局に出した通知で明白です。

 立ち入り禁止海域内では「民間工事船や海上保安庁の船艇が多数出入りし」、沖縄防衛局も「自らの潜水調査を実施して」おり、県の調査船の立ち入りだけが「運用上の問題」になるなどというのは拒否の理由に全くなりません。「(昨年6月に)立ち入り制限が課される前までは自由に航行できた水域について、県の公務遂行の調査さえ出来ないということは、不合理きわまりないものである」という指摘も当然です。

県民の審判は明白

 菅義偉官房長官は知事の指示について「この期に及んで甚だ遺憾だ」などと述べ、作業を中止する考えを示しませんでした。しかし、安倍政権が、知事選や総選挙で審判が明らかになってもなお、「この期に及んで」新基地建設をあくまで強行しようとすることこそ決して許されない行為です。