会社にたてつかない労働者をつくるため、業務と関連のない“精神修養”や“苦行”を押し付ける「ブラック研修」がまん延しています。吉良氏は、「ブラック研修」には(1)眠らせない(2)外部との連絡を遮断する(3)競争・序列化(4)アイデンティティー(人格)の破壊―の四つ特徴があると指摘。医療関連企業が宗教法人に依頼して行った「ブラック研修」のスケジュール(図)を具体的に示して、実態を告発しました。
それによると2泊3日、朝から晩まで“寺修行”ともいうべき「研修」でぎっしり埋まっています。
「(1日目の)夜の写経時間分の残業代が支払われていない」「『お百度参り』『川行』『滝行』など、業務とは何の関係もない」
吉良氏はこう指摘したうえで、不採用・解雇など不利益な扱いを受けるため労働者はなかなか不当性を告発できないと述べ、「こうした事態を行政は見過ごしていいのか」と迫りました。
塩崎厚労相は「法令に触れるならば、指導しなければならない」と答弁。上川陽子法相は「業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的な苦痛を与えているならば、人権擁護上の問題がある」と述べました。
吉良氏は、宗教行為の強制は憲法(信教の自由)、労働基準法(国籍、信条による差別の禁止)にも抵触すると指摘。「ブラック研修」の実態把握とともに、ガイドラインの作成などによって違法・無法な「研修」を是正するよう重ねて求めました。