緒方氏は、「被爆国で活動し、核兵器廃絶を国際平和の緊急・最重要の課題として取り組んできた共産党として懸念を持つ」と前置きし、最終文書案の草案にあった世界の指導者らに被爆地訪問を提案する文言が、歴史問題を理由にした中国の反対で削除された問題で中国側に削除要求の撤回を求めました。
「第2次世界大戦で日本が侵略戦争をおこなった問題と、無法で非人道的な大量破壊兵器が広島・長崎に投下されたことは別の問題だ。この文言があるからといって、第2次世界大戦の歴史的事実を歪曲(わいきょく)することにはならない」と指摘しました。
さらに、「被爆の実相を証言しているのが被爆地であり、だから被爆者も訪問を求めている。国連の潘基文(パンギムン)事務総長も、世界のすべての指導者、とりわけ核兵器国の指導者が被爆地を訪問することを呼び掛けている」と被爆地訪問の意義を強調。「被爆地訪問の提案の削除要求には道理がなく、『核兵器のない世界』を願う世界の世論と運動、被爆地と被爆者の願いに背を向けることになる」と述べました。
これに対し、張参事官は中国側の立場を説明し、この申し入れを「上司と本国に伝えます」と応じました。
会談には日本側から小島良一国際委員会委員らが同席しました。
NPT再検討会議最終文書案草案から削除された部分
NPT再検討会議最終文書案の8日付草案から削除されたのは以下の部分です。「核兵器使用70周年にあたり、会議は、世界の指導者、軍縮問題専門家、青年に対して、核兵器使用の壊滅的な人道上の結末を自分の目で確認し、生存者(被爆者)の証言に耳を傾けるため、広島・長崎を訪問するよう求める提案に注目する」