冒頭、辰巳氏は「JR東海は、公共交通を担う会社として、リニアに限らずどのような事業をすすめるにあたっても自治体や住民の理解、丁寧な説明は不可欠だ」と指摘。これに対し、太田昭宏国交相も「丁寧な説明が必要だ」と認めました。
JR東海は、旧国鉄時代から大阪府摂津市に37万平方メートル(甲子園球場9個分)の東海道新幹線鳥飼(とりかい)車両基地を保有しています。新幹線が開業した1964年から30センチメートル以上の深刻な地盤沈下が発生したため、摂津市は72年に地下水くみ上げの中止を要請。77年9月に市は地下水の保全と地盤沈下防止のため、くみ上げ禁止の「環境保全協定」を国鉄と締結しました。
辰巳氏は、地下水くみ上げを停止したところ、地盤沈下が明らかに止まったことを示しました。同様の協定は88年と99年にも締結、「公害の恐れがある施設を設置、変更するときには事前に市と協議する」との取り決めも交わされました。
ところが、昨年9月、JR東海は事前協議もなく、「コスト削減」などを理由として、市の制止を無視し、車両基地面積全体の3%にあたる茨木市側の敷地に井戸の掘削を開始。市は11月、大阪地方裁判所に提訴しました。摂津市議会も、JR東海に対し「環境保全協定」順守を求める決議を全会一致で採択。住民署名も人口8万5千人中、3万5411人分集まりました。
「たとえ隣接する市でも地下水脈はつながっている。そもそも、国鉄時代の地盤沈下の原因は地下水くみ上げではないか」との辰巳氏の追及に、国交省の藤田耕三鉄道局長は、「承知していない」とまともに答えませんでした。
辰巳氏は、摂津市長が面会を求めたのに対し、「そんなシステムがない」とJR東海が拒絶するなど自治体の意見を無視する姿勢をただしました。太田国交相は、係争中だとして答弁しませんでした。
辰巳氏は「あらゆるところでコストカットしていくというのがJR東海の方針だ。井戸水くみ上げで年間1億円の経費削減ができると試算されている」と、利益最優先で環境保全協定を守らない姿勢を批判。「このようなJR東海がリニア建設をすすめることなど絶対に許されない」とリニア計画の中止もあわせて強く求めました。