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沖縄本島うるま市沖で12日に発生した米軍ヘリ墜落事故で、図らずも米軍と自衛隊の特殊部隊間で一体化が急速に進んでいることが浮かび上がりました。日本共産党の井上哲士議員は25日の参院安保法制特別委員会で、戦争法案の先取りだとして追及しました。
今回の事故は米国を拠点とする特殊部隊が、日米安保条約の下で日本を自由勝手に使っている一端が明るみにでたものです。
沖縄には、すでに米軍嘉手納(かでな)基地に米空軍第353特殊作戦群が、トリイステーション(通信施設、読谷村)に陸軍第1特殊部隊群・第1大隊(通称グリーンベレー)が配備されています。海軍の特殊部隊シールズ(SEALs)の存在も指摘されており、海兵隊の特殊作戦訓練もしばしば目撃されています。まさに沖縄は、米特殊作戦部隊の「拠点」です。
特殊作戦は、少人数の部隊で特定の目標を制圧・破壊する作戦です。しばしば国際法や他国の主権を無視して秘密裏に行われ、米国でも大きな問題になっています。
今回の墜落事故に関して県内全域の36漁協が加盟する県漁協組合長会は、米軍機事故で初めてとなる抗議決議を全会一致で可決。決議は「漁業者を直撃する大惨事につながりかねない」「憤りを禁じ得ない」と糾弾しています。県議会も事故原因究明と再発防止策がないままでの飛行を停止するよう求めた抗議決議を全会一致で可決しています。
これに対し、米陸軍トップのオディエルノ参謀総長は「1件の出来事に過剰に反応するつもりはない。残念だが事故は時々起きる」(12日)と放言し、県民の不安と怒りを歯牙にもかけない態度です。
その下で、事故直後の18日、事故機と同型ヘリ2機が嘉手納基地で離着陸するのが確認されています。
20日には、墜落事故が起きた近傍にある津堅島訓練場(うるま市)で、特殊作戦支援機からのパラシュート降下訓練まで実施しています。しかも、7日前までに沖縄防衛局に通報することが日米の合意事項ですが、この訓練に関して通報は一切ありませんでした。
12日の事故機は、機体側面に「63」と記されています。7月下旬に厚木基地(神奈川県)に飛来し、東富士演習場(静岡県)で離着陸、空挺(くうてい)訓練を実施した3機のヘリのうちの1機も同じ番号を記しています。訓練中、静岡県小山町の中学校に空包を落下させる事故を、3機のうちのいずれかが起こしています。
「同一のヘリではないか」。井上氏の追及に、中谷防衛相は「米側から情報を得られていない」とのべ、事態の解明に後ろ向きな姿勢を示しました。
井上氏は、「本土でも危険な訓練をしたうえで、沖縄にいって事故を起こしたということだ」と指摘しました。
「特殊作戦群」の任務について中谷防衛相は、対ゲリラ戦などのために2004年に習志野駐屯地(千葉県)に創設した、「高い機動力と高度な近接戦闘能力を有する」300人の精鋭部隊だと説明しました。同群は07年に創設された中央即応集団の傘下に編入されました。中央即応集団とは、迅速な海外派兵へ対応するための防衛相直轄の部隊。当時から特殊作戦での海外展開を視野に入れていたとみられます。
今回の「研修」の実態をただした井上氏。中谷氏は「ヘリから艦艇への移乗要領の確認」などのため、ヘリ同乗の2人のほか、艦上に8人の同群隊員も参加していたことを明かしました。「移乗」とは、ロープなどを使用しての強制乗船作戦とみられます。
「研修」は、「訓練」と異なり、日程や内容を含めて、実施した事実そのものが対外的に公表されません。今回の事故を契機に、初めて日米特殊部隊の訓練の一端が明るみに出た形です。
防衛省が井上氏へ提出した資料からは、09年度以降、沖縄の基地・提供区域が日米特殊部隊の訓練場として常態化していた状況も浮かび上がりました。
また井上氏は、4月に合意した日米新ガイドライン(軍事協力の指針)に特殊作戦部隊間の「協力」が初めて盛り込まれ、横田基地(東京都)への配備が狙われる米空軍の特殊作戦機CV22オスプレイを使って、自衛隊との共同訓練もできるようになると中谷氏が明言していることを指摘。先取りで進む日米軍事一体化の実態を、方針化・法律化するのが新ガイドラインと戦争法案だと強調し、国民の命を脅かす危険な訓練の中止と、法案撤回を求めました。
沖縄が特殊作戦訓練の拠点に
国際法無視した作戦も
中谷元・防衛相は事故機が、米陸軍第160特殊作戦航空連隊所属の特殊作戦ヘリ・MH60ブラックホークであることを認めました。同連隊は、米ケンタッキー州フォート・キャンベルを拠点にしています。今回の事故は米国を拠点とする特殊部隊が、日米安保条約の下で日本を自由勝手に使っている一端が明るみにでたものです。
沖縄には、すでに米軍嘉手納(かでな)基地に米空軍第353特殊作戦群が、トリイステーション(通信施設、読谷村)に陸軍第1特殊部隊群・第1大隊(通称グリーンベレー)が配備されています。海軍の特殊部隊シールズ(SEALs)の存在も指摘されており、海兵隊の特殊作戦訓練もしばしば目撃されています。まさに沖縄は、米特殊作戦部隊の「拠点」です。
特殊作戦は、少人数の部隊で特定の目標を制圧・破壊する作戦です。しばしば国際法や他国の主権を無視して秘密裏に行われ、米国でも大きな問題になっています。
今回の墜落事故に関して県内全域の36漁協が加盟する県漁協組合長会は、米軍機事故で初めてとなる抗議決議を全会一致で可決。決議は「漁業者を直撃する大惨事につながりかねない」「憤りを禁じ得ない」と糾弾しています。県議会も事故原因究明と再発防止策がないままでの飛行を停止するよう求めた抗議決議を全会一致で可決しています。
これに対し、米陸軍トップのオディエルノ参謀総長は「1件の出来事に過剰に反応するつもりはない。残念だが事故は時々起きる」(12日)と放言し、県民の不安と怒りを歯牙にもかけない態度です。
その下で、事故直後の18日、事故機と同型ヘリ2機が嘉手納基地で離着陸するのが確認されています。
20日には、墜落事故が起きた近傍にある津堅島訓練場(うるま市)で、特殊作戦支援機からのパラシュート降下訓練まで実施しています。しかも、7日前までに沖縄防衛局に通報することが日米の合意事項ですが、この訓練に関して通報は一切ありませんでした。
12日の事故機は、機体側面に「63」と記されています。7月下旬に厚木基地(神奈川県)に飛来し、東富士演習場(静岡県)で離着陸、空挺(くうてい)訓練を実施した3機のヘリのうちの1機も同じ番号を記しています。訓練中、静岡県小山町の中学校に空包を落下させる事故を、3機のうちのいずれかが起こしています。
「同一のヘリではないか」。井上氏の追及に、中谷防衛相は「米側から情報を得られていない」とのべ、事態の解明に後ろ向きな姿勢を示しました。
井上氏は、「本土でも危険な訓練をしたうえで、沖縄にいって事故を起こしたということだ」と指摘しました。
09年度から「研修」で秘密裏に
新ガイドラインで方針化
沖縄で墜落した米軍機には陸自中央即応集団の特殊作戦群の隊員2人が「研修」名目で同乗していたことが判明し、日米の軍事一体化が秘密主義を貫く特殊部隊の間でも進む現状が露呈しました。「特殊作戦群」の任務について中谷防衛相は、対ゲリラ戦などのために2004年に習志野駐屯地(千葉県)に創設した、「高い機動力と高度な近接戦闘能力を有する」300人の精鋭部隊だと説明しました。同群は07年に創設された中央即応集団の傘下に編入されました。中央即応集団とは、迅速な海外派兵へ対応するための防衛相直轄の部隊。当時から特殊作戦での海外展開を視野に入れていたとみられます。
今回の「研修」の実態をただした井上氏。中谷氏は「ヘリから艦艇への移乗要領の確認」などのため、ヘリ同乗の2人のほか、艦上に8人の同群隊員も参加していたことを明かしました。「移乗」とは、ロープなどを使用しての強制乗船作戦とみられます。
「研修」は、「訓練」と異なり、日程や内容を含めて、実施した事実そのものが対外的に公表されません。今回の事故を契機に、初めて日米特殊部隊の訓練の一端が明るみに出た形です。
防衛省が井上氏へ提出した資料からは、09年度以降、沖縄の基地・提供区域が日米特殊部隊の訓練場として常態化していた状況も浮かび上がりました。
また井上氏は、4月に合意した日米新ガイドライン(軍事協力の指針)に特殊作戦部隊間の「協力」が初めて盛り込まれ、横田基地(東京都)への配備が狙われる米空軍の特殊作戦機CV22オスプレイを使って、自衛隊との共同訓練もできるようになると中谷氏が明言していることを指摘。先取りで進む日米軍事一体化の実態を、方針化・法律化するのが新ガイドラインと戦争法案だと強調し、国民の命を脅かす危険な訓練の中止と、法案撤回を求めました。