主張

安倍政権改造人事

世論に逆らい暴走続けるのか

 昨年末の総選挙で第3次政権をスタートさせた安倍晋三政権が約10カ月ぶりに内閣改造と自民党役員人事を行い、第3次安倍改造内閣を発足させました。9月末に安倍氏が自民党総裁選で無競争再選されたのもうけ、主要閣僚や党役員を留任させ、安倍政権が進めてきた戦争法、消費税増税、環太平洋連携協定(TPP)参加、原発再稼働や沖縄新基地建設などの悪政推進の姿勢を露骨に示したものです。「アベノミクス」の「第2ステージ」と称して持ち出した「1億総活躍社会」のため担当相を新設したのも、国民犠牲の政治を目先を変えて進めるためです。

戦争法など継続の布陣

 憲法の平和主義も民主主義も立憲主義そのものも踏みにじる暴挙として国民各層の怒りが文字通り沸騰した戦争法だけでなく、消費税増税もTPP参加や原発再稼働も、世論を踏みにじって強行する安倍政権に国民の怒りが高まっています。まさに暴走に次ぐ暴走であり、各分野で悪政に反対する「一点共闘」が広がり、とくに戦争法に対してはその廃止のため、安倍政権を倒し「国民連合政府」をつくろうという日本共産党・志位和夫委員長の提唱に、共感と歓迎が寄せられているのもその表れです。

 そうしたなか安倍政権が行った内閣改造と自民党役員人事には、国民の声に配慮したそぶりは全くみられません。

 前国会で強行した戦争法については、自民党で公明党との折衝にあたり法案をまとめた高村正彦副総裁や、法案の担当大臣だった中谷元・防衛相、岸田文雄外相らを留任させ、引き続き法律の施行や具体化にあたらせる布陣です。戦争法廃止の声に真っ向から逆らう態度があらわです。

 消費税増税路線を推進してきた麻生太郎財務相を引き続き副総理兼務で留任させたほか、TPP交渉で「大筋合意」したばかりの甘利明経財担当相も留任させました。TPPの国会審議で焦点となる農業問題を担当する農水相には自民党でTPPを担当した森山裕氏を起用し、反対を抑え込む狙いです。

 社会保障・労働法制の改悪を推進してきた塩崎恭久厚労相の留任や米軍新基地建設を沖縄県に押し付けてきた菅義偉官房長官の「基地負担軽減担当」としての留任など、安倍政権には国民の圧倒的多数が反対する政治を改める姿勢はありません。

 「1億総活躍社会」担当相を新設し、これまで官房副長官の加藤勝信氏を起用したのも、国民から反対の強い悪政を強行するための目くらましでしかありません。だいたい「1億総活躍社会」のためという「国内総生産(GDP)600兆円実現」や「希望出生率1・8」、「介護離職ゼロ」など「新3本の矢」の目標には何の裏付けもありません。悪政を覆い隠し、国民の暮らしも経済も破壊したアベノミクスを加速するだけの「第2ステージ」なら願い下げです。

悪政の「結果」許さず

 安倍首相は改造人事の決定にあたり「仕事重視、結果第一の体制」、「新しい体制でしっかり結果を出していく」と主張しました。しかし、国民の意思を踏みにじり、暴走に暴走を重ねる「結果第一」など国民は求めていません。

 悪政の「結果」を許さず、立憲主義も民主主義も平和主義も破壊した安倍政権を一日も早く打ち倒すことこそ、国民多数の願いです。